デマ確定!「核禁止条約言及懸念、軍縮会議高校生演説見送り」はミスリード!発言の場は用意されていた

政治・社会

デマ確定か?「核禁止条約への言及懸念で高校生平和大使演説見送り」は外務省のコメントではなかった!

スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれるジュネーブ軍縮会議で毎年行われていた、高校生平和大使のスピーチが「核禁止条約への言及」を避けたい外務省の圧力で中止になったという話がリベラル界隈で出回っている。
そのほとんどが共同通信の記事を引用し「今年は軍縮会議の議事上、適当でないと判断した」というジュネーブ軍縮会議日本政府代表部のコメントを根拠としているようだ。
参考:高校生平和大使演説見送り 核禁止条約への言及懸念か – 共同通信 47NEWS

しかし、社民党の福島瑞穂副党首が外務省に問い合わせを行った結果、全く異なる回答がなされている。

高校生平和大使が発言できなくなったことについて、外務省に聞きました。

外務省から、文書で回答がきたので紹介します。

納得できません。

外務省 軍備管理軍縮課

<回答>
軍縮会議は政府間交渉の場であり,通常政府代表の発言しか認められ…

福島 みずほさんの投稿 2017年8月22日

そもそも、共同通信の記事の中にある「関係者」を外務省関係者と勘違いをしたことが発端で、実際は発言の機会もしっかりと用意されているようだ。

「関係者」は外務省の人間ではない

外務省の圧力と勘違いされる原因は、共同通信記事の以下の記述だろう。

平和大使たちは核兵器禁止条約への共感を示しており、関係者は「日本政府が署名しないと明言する条約について演説で言及されることを懸念したのではないか」と指摘した。
出典:高校生平和大使演説見送り 核禁止条約への言及懸念か – 共同通信 47NEWS

ここで言う「関係者」は外務省の関係者ではなく、高校生平和大使の関係者である可能性が高い。22日に毎日新聞がこの件を報じているが、その中に共同通信に出てくる「関係者」と似たような見解を述べているのが、高校生平和大使の活動を始めた長崎市の元小学校教諭、平野伸人さん(70)である。

 今年スピーチができないことは、渡欧前に伝えられていた。平野さんは出発前、毎日新聞の取材に「外務省側が政府側と高校生の意見の違いを例年以上に気にかけている様子だった」と語った。
出典:国連軍縮会議 高校生演説見送り、外務省が配慮? 核兵器禁止条約、見解異なり – 毎日新聞

他の報道を見ても、高校生平和大使の演説内容を理由にしているような外務省関係者のコメントは見当たらない。しかし、この毎日新聞のタイトルでも「外務省が配慮?」と根拠なく記載され、さらなる誤解を生んでいる。

福島瑞穂議員の質問に対する外務省の回答によると、そもそもが特例であり政府代表でない高校生が発言することを他国から指摘されていたようだ。

<回答>
軍縮会議は政府間交渉の場であり,通常政府代表の発言しか認められていない。これまでは,高校生平和大使を当日のみ政府代表団として登録するという例外的な対応を取ってきたが,近年こうした例外的な措置を問題視する国が出てきた。
そうした状況の下,意思決定においてコンセンサスを必要とする軍縮会議において,こうした例外的な対応を継続しスピーチの機会を得ることは困難であることから,本年は高校生平和大使の関連団体に対してその旨お伝えすると共に,日本政府代表部において核兵器国,非核兵器国を含む各国外交官と高校生平和大使との意見交換の機会を設けたところである。
核兵器禁止条約の採択や高校生の発言内容とは関係がない。
(以上)
出典:福島瑞穂フェイスブック

実際には、会議での発言が出来なくなっただけで、外務省はレセプションで各国大使への意見表明の機会を設け、国連欧州本部軍縮局で署名を手渡す際にも発言できるように動いているようだ。

代わりに政府は高見沢将林(のぶしげ)軍縮会議代表部大使主催の夕食会兼レセプションを21日夜に開き、会議参加60カ国のうち約40カ国の代表の前で高校生が意見を表明。22日、国連欧州本部軍縮局で署名を手渡す際にも発言の機会が与えられる。
出典:国連軍縮会議 高校生演説見送り、外務省が配慮? 核兵器禁止条約、見解異なり – 毎日新聞

こうなると、最初に報じた共同通信の記事に出てくるジュネーブ軍縮会議日本政府代表部の「高校生平和大使の演説は毎年必ずやると決まっているわけではない。今年は軍縮会議の議事上、適当でないと判断した」というコメントは、核禁止条約不参加の政府見解と高校生の意見の相違のことではなく、特例である会議での発言を常態化することが困難となり、他の機会を設けるようにしたという意味になる。

なんでも安倍政権のせいにしたがることで、正しい情報の読み取りが出来なくなっている界隈の人たちは、冷静に調べるという事をしない。今回、外務省に問い合わせを行った福島瑞穂議員に至っては、間違いであるという事が判明しているにもかかわらず、自身のブログで「にわかには信じがたい話」としている。これは、信じ難いのではなく、信じたくないという心の現れだろう。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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