イン VS アウト論争の盲点


インブリード(近親交配)の弊害とはなにか?

これらに関しては諸説あるが、実際は不明な部分が多く明確な答えは出ていない。
しかし諸説あるなかでもメリットに対してデメリットを唱える説が多いことは確かで、インブリードや少数の個体群で交配を繰り返せば、遺伝子の多様性が低下することはわかっている。

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しかし、一般家庭での飼育での個体異常とインブリードを結びつける因果関係を証明することは困難で、データより感覚で判断されている場合が多く感じる。
特に外国産昆虫に関しては歴史も浅く、♂の長い幼虫期間と♀との羽化ズレを考えると実証と言えるデータは皆無と思われる。
そして近年まで叫ばれてきたインブリードによる障害は怪しいものが多く「極太は選別とインブリードにより産まれた」とする人達が累代の浅い交雑個体が繁殖しにくいことへの言い訳と流布した節もある。

しかし近年インブリードの弊害を嫌い、アウトブリード派を標榜する人が多くなっている。
こういった議論のなかで注意しなければならないのは「定義」の問題だ。

まず、アウトブリードとはなにか?
これは単純に共通の祖先をもたない個体同士の交配といって間違いないでしょう。
昆虫でもクワガタ・カブト業界で言えば「知りうる限り共通の祖先を持たない」をアウトと言います。

対して、インブリードとはなにか?
人間でいう血縁関係がある親戚内での交配がインブリート。
共通の祖先を持つが傍系として分かれて飼育された個体どうしでも血縁を辿って共通の祖先ならインブリートとなり、これは生物学的に言えばアウト以外はすべてインということで、当然といえば当然だ。
(※人間の傍系は原則血縁関係のない者との婚姻で維持されるのに対し、昆虫の傍系は、傍系内での近親交配が主流)

しかし限られた個体数から累代され日本国内に流通した種ならば、アウトと思われながら実は共通の祖先を持っている確立は無視できずインブリードとアウトブリードを正確に判定することは難しい。
それでも定義としてはアウトブリード派が明確で、目的もほぼ統一されている。

難しいのは「インブリード派」である。
アウト派が徹底して血縁を避けることに対し、徹底的に近親での交配にこだわる人は少ないと思う。
そもそも、主義主張でインブリード派と言える人は少なく、恒久的に近親交配する目的も有効性を信じているとは思えない。
近親交配する目的は主に、大型化や形態の維持である。
しかしこれらの行為は、近親での交配を重ねる度に有効性が増すものではなく、あくまで親から子へ遺伝的に受け継がせたい特徴を狙ってのものである。
インブリードを行っている人がその弊害に無知であるかのように批判されるのは完全な誤解である。
インブリードの目的が、より大きく・より格好良くとするならば「弊害・障害」は当然避けたい。
避けるためには定期的にアウトブリードする人もいれば、近親で維持した傍系を入れたり途中アウトを入れた傍系に掛け合わせる。
障害が出ても兄弟間の近親交配を繰り返す意味などないし、インブリード派とはいえ適宜系統維持のために傍系というインブリードを行っていることが無視されてはいないだろうか。

私の見解としては、アウトブリード派が批判している対象「インブリード派」は架空の集団であるように思える。
相手の知識や実情を一方的に決めつけているようにも見える。
インブリードとは求める形態への過程における手法であって主義ではない。
頭から、「アウト=安全=善」「イン=危険=悪」と二極化した議論もフェアではない。
もし、極論ではなく潜在的な障害まで言及するならばイン・アウト以前の問題でもある。
人工飼育において、単純に自然での状況を語ることがナンセンスであり人工飼育下自体が多様とは言えない隔絶された環境であり、必要のない能力も多数出てくる。
よって、潜在的に障害があったとしても、それが顕著に現われることがないことも十分予想できる。

また、イン・アウト関係なく人口飼育は自然選択(自然淘汰)が行われない。本来なら淘汰されるべき個体も気づかずにペアリングをする。
これによ潜在的障害は、アウトブリードで選別飼育をしない場合、インブリードより危険性が高まるかもしれない。
しかし議論が白熱するなかで、どんな小さな障害にまでも批判の矛先が向くのであればアウト派は「飼育をしない」が目指すところになってしまう。
生き物を飼育するということは必ず、対象となる生命にリスクを負わせているのであって、所詮は人間の我侭であり、そのスタイルによって善悪を二分することは難しいし正しいこととも思えません。
インブリードもアウトブリードも人工飼育であり、弊害・障害も双方にある。
その障害・弊害の差は五十歩百歩ほどにもない。

双方ともに、自己の「欲」と「愛でる対象」への愛情の狭間で適切な判断が行われていると私は信じたい。

今後はnoteで記事を書きます

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