串間市で巨大クワガタ発見!その正体はダイオウヒラタ


宮崎県串間市で巨大なクワガタが発見され、宮崎日日新聞がその個体を「ヒラタクワガタ」と報じていますが、画像を見る限りでは「ダイオウヒラタクワガタ」の可能性が高い。
串間市で発見されたヒラタクワガタ
写真:宮崎日日新聞「Miyanichi e-press」より
記事:串間でヒラタクワガタ – Miyanichi e-press
同定ミスなのか、捕獲者と新聞社が同定結果を誤解したのか?

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日本在来種でないことは確実

画像で確実な種の同定は困難ですが、日本在来種でないことは確認できる。
宮崎県に棲息する「ホンドヒラタクワガタ」は学名 Dorcus titanus pilifer というクワガタで、一般的に日本で「ヒラタクワガタ」というと本種を指す。
今回、宮崎県串間市で発見されたクワガタと「ヒラタクワガタ」を見比べてみましょう。
山陽オオクワ倶楽部 国産ヒラタクワガタ 生体 (♂63ミリ♀フリーサイズペア)
画像:山陽オオクワ倶楽部 国産ヒラタクワガタ生体(♂63ミリ♀フリーサイズペア)

どうですか?似ても似つかない姿です。
日本では他にいろいろな種類の「ヒラタクワガタ」が棲息していますが、いずれも串間市で発見された個体とは姿が違う。あえて近い種を挙げれば先島諸島に分布する「サキシマヒラタクワガタ」学名 Dorcus titanus sakishimanus という種が存在するが、顎の形が異なるうえ、顎の間の突起「頭楯(とうじゅん)」が決定的に違う。
また、記事の中で、

県総合博物館によると、自然界で生きるのは3~7センチで8センチは珍しいという。

と、記述されているが、自然界で採集されたヒラタクワガタの最大は75.4ミリ、愛好家による飼育個体でも85.2ミリが最大である。
参考:BE-KUWA(57) 2015年 12 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊

この個体を「ヒラタクワガタ」と確認した、宮崎昆虫同好会幹事の方が「日本のヒラタクワガタ」という同定をしたかは定かではないが、発見者が、
「長生きしてほしいので山に返すか、大切に育ててくれる人にプレゼントしたい」
と語っている事から、外国産であることは告げられていない可能性が高い。
後述するが、外国産であった場合、屋外に放さないようアドバイスをしない専門家はいない。宮崎昆虫同好会と言えば専門的な会報を発行し、宮崎県に棲息する昆虫を知り尽くした方々。もしかすると、説明や新聞社の取材の段階で行き違いがあったのかもしれない。

ジャワ島のダイオウヒラタクワガタ

宮崎県串間市で見つかったクワガタの頭楯(とうじゅん)と特徴的な顎先を見て、もっとも近いクワガタは?
ダイオウヒラタクワガタ
学名 Dorcus bucephalus
インドネシアのジャワ島にしか棲息していない種です。
ダイオウヒラタクワガタ70ミリ台成虫ペア @1,800円
画像:ダイオウヒラタクワガタ70ミリ台成虫ペア @1,800円

どうでしょう?串間市で発見されたクワガタと瓜二つ!
インドネシアのジャワ島にしか棲息しない「ダイオウヒラタクワガタ」ですが、15年ほど前から日本の愛好家向けに大量に輸入されています。
ダイオウヒラタは95ミリの大型個体も確認されており、80ミリ程度ならとくに珍しいサイズではない。
参考:BE-KUWA(57) 2015年 12 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊

本種はホームセンターなどでもお手頃な価格で販売されており、愛好家以外の子どもたちにも人気のある種。こうした飼育個体が逃げ出したか、誰かが故意に屋外に放った「放虫(ほうちゅう)個体」と思われる。
愛好家の間では、日本原産の個体であっても屋外へ放すことは「悪」とされており、ましてや外国産のクワガタを屋外に放すなど絶対に許されない行為とされています。
しかし、残念なことに、故意の放虫や逸出(脱走)は後を絶たず、毎年多くの外国産個体が屋外で発見され、社会問題となっている。
この個体が発見者の手で終生飼育されることを願うばかり。

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