デタラメかつパクリ？BuzzFeed Japanの「関東人か関西人かを見極める」はNAVERから？

2017年5月31日ライフスタイル

写真：BuzzFeed Japanに掲載された設問

BuzzFeed Japanが昨年の10月に掲載した『あなたが「関東人」か「関西人」かを見極める10の質問』が、今更ながらフェイスブックの「発見フィード」経由で話題となっている。
→あなたが「関東人」か「関西人」かを見極める10の質問
副題は「隠しても無駄だぞ!!」と自信満々だが、その精度は極めて低く西日本で生まれ育った筆者は「生粋の関東人」という判定を受けた。ツイッター上でも「違う」という声が上がっている。
安易な関西人・関東人イメージにも呆れるが、物流とインターネットが普及した今の世の中で、日本の文化圏を関東と関西で二分する発想が古い。しかも、この記事を信ぴょう性を確認するためにネット検索をかけてみると類似するNAVERまとめがぞくぞくヒットする。
→関東人と関西人のちがいまとめ – NAVER まとめ

ネット時代に通用しないものばかり

ネットで調べて記事を書くにあたり、一般的な事柄まで引用元や出典を明示する必要があるとは思わないが、明らかに独自の調査と思われる結果を引用する場合は出典元の明示は必須である。
また、内容に関しても、安易にネット情報を引っ張ってくる過程で致命的なミスを犯している。

いっせーの　せ？で？

掲載された10の質問のうち「10. 次の言葉につづくのは？　いっせーのー　で！ or せ！」に関しては、複数人で物を持ち上げるときの掛け声ではなく、親指を立てる掛け声ゲームの呼び方が関東では「いっせーのせ」関西では「いっせーのーで」であることが過去に話題になったが、Jタウンネットの調べによって関東と関西で二分されていないことが判明している。
参考：関東「いっせーのせ」、関西「いっせーので」？ 親指ゲームの掛け声、こんなに違う！
また、複数人で物を持ち上げるときの掛け声としても、テレビの影響などで関西圏のイントネーションがフランクなコミュニケーションの手段として一般化した昨今では「いっせーので」を関西特有とするのは無理がある。

食文化の歴史と現状を混同

桜餅と稲荷ずしの形で関東か関西かを見極めるのは現代では無理。
桜餅に関してはコンビニやスーパーでどちらの形も販売されている。確かにクレープ型は関西では馴染みがなくスイーツ女子向けの商品だと思っている人も多いだろう。ただし、饅頭型の桜餅はコンビニ各社が関東でも展開しているので一般化している。
稲荷ずしに関しては、他の食材と一緒に弁当箱に詰めるか、単品で稲荷ずしを詰めるか？想定として箸で食べるか手で食べるか？などを検討しながら決められているようで、関東人と関西人を見極めるポイントにはならないでしょう。
このあたりに関しては、食文化に詳しい人に聞けば「関東ではこう、関西ではこう」と答えてくれるかもしれないが、それが現代の若者に共通した認識ではないので、生まれ育ちの判定には意味をなさない。

子ども時代を基準にしがち

言語は幼少期から大人にかけて変化する。
問いの中に「ものさし」と「定規」があるが、これに関しては関西や西日本の子供が「さし」という呼び方をする。大人になるにつれ場所と用途に応じて「ものさし」と「定規」を使い分けるようになる。したがって、関東と関西を分ける判定によって「ものさし」と「定規」という問いは間違っている。
これが「さし」か「定規」かと言う問いなら、関西や西日本の人間は現在「さし」とは呼んでいなくても「さし」を選ぶだろう。特に男性が子供時代のことを思い出すとテンションが上がり、強い主張を始める厄介な傾向がある。
「画鋲」か「押しピン」かに関しても同様で、子供時代に「押しピン」と呼んでいたのに、ある段階で「画鋲」と言う呼び方を知ると「画鋲」が正式名称で押しピンは幼児語のような気がして「画鋲」を使いだすのではないだろうか？
ここでも不意に「押しピン」か「画鋲」かと問われると、あえて幼少期の呼び方を選択したがるものだ。
参考：「定規」と「物差し」の違いって何？ – NAVER まとめ

まとめ

以上のようにBuzzFeed Japanの記事は、傾向と歴史・文化を混同した結果、デタラメな判定を叩き出すことになっている。特に、歴史的に関東ではこう、関西ではこう、という豆知識的なものをネットで拾い集め（盗用）、現代にあてはめたことが大間違いだ。
また、10個しかない設問に「USJかユニバか？」「ミルクかフレッシュか？」という、関西人があえて乗ってくるワードを2個も入れたら、そりゃ関西人が関西人と判定されたくなるでしょうに。この二つの設問が九州出身の人間を「生粋の関東人」と判定したり東北出身の人間を「コテコテの関西人」と遠すぎる判定をする結果を招いている。せめて、関東文化に近いか関西文化に近いかくらいの判定は正確でないと。

BuzzFeed Japanには、NETGEEKのようなクソバイラルを駆逐してくれることを期待しているだけに残念です。