横浜市長選の無効を訴える長島氏の主張に疑問、選挙制度の根幹を揺るがすのではないか?
7月30日に投開票が行われた横浜市長選挙に落選した長島一由氏が、選挙の無効を訴える意義申出書を選挙管理委員会に提出し、神奈川県警本部長への上申書も提出していたことが判明した。
参考:落選した長島一由氏が選挙無効申し立て 「市職員がポスターをはがしたから…」
横浜市長選では、市の職員が誤って一部のポスターを撤去してしまうなどのミスが連発、横浜市選挙管理委員会が選挙後に謝罪するという異例の事態となっていた。
落選した候補者としては異議を申し立てたくなるのは当然であるが、選挙の無効を訴えるとなると根拠に疑問が残る。なぜなら、ポスターを誤ってはがしたミスは全候補者のポスターをはがしており、特に長島一由氏だけに不利になったわけではないからだ。
これは、民進党の混乱で思うような結果が得られなかったことに「納得がいかないからやり直せ」と言ってるようにしか聞こえない。
負けた!やりなおせ!は通用しない
長島一由氏が横浜市長選の無効を訴える理由として、ポスターの撤去の他に「緑区での二重投票の見過ごし、投票された票の破棄が疑われる投票者数の修正公表、全家庭に配布されるべき選挙公報の未達」となっているが、これは軽いミスとは言えないものの、著しく選挙の公正を損ねたとまでは言えず、選挙結果を覆すようなものではない。
選挙無効を訴え再選挙を望んでいるならば、多額の税金が投入されることなどを考えると、市民の側に立った判断をしているとは到底思えない。
今回の市長選では民進党が自主投票となり、現職国会議員が異なる候補の応援に駆け付けるという大混乱が起こっていた。
参考:民進党分裂か?山尾志桜里と牧山ひろえ、自民・公明推薦候補を応援
当選した林文子氏は2009年、2013年と民主党の推薦を受け当選、長島一由氏は民主党の元衆議院議員、伊藤大貴氏は民進党の市議と、大分裂選挙となっていたのだ。
林文子氏は自公の推薦を得ており、それに対抗するために再選挙では野党共闘で長島一由氏に候補を一本化すれば当選の見込みが出てくるという打算が透けて見える。
2017年横浜市長選結果
候補者 | 得票数 | 得票率 |
林文子 | 598,115 | 52.49% |
長島一由 | 269,897 | 23.69% |
伊藤大貴 | 257,665 | 22.61% |
本来は選挙の争点のひとつであった、横浜市の給食問題などが選挙後にメディアで取り上げられ、林市長に対する批判も高まっている。だからといって、一度決着がついた公職選挙を陣営を立て直してやり直すのは、選挙制度そのものを否定することにならないだろうか?