追記【糸島でアトラスオオカブト捕獲】の新聞記事に決定的な誤りが・・・


※2014/10/02 「アトラスと国産カブトでは卵が孵化しない」の章を追加
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カブトムシ? クワガタ? 糸島の店先に見慣れぬ昆虫 #西日本新聞

西日本新聞の記事によると、福岡県糸島市のケーキ店「シャトーハギワラ」の店先で9月30日の朝、店主によって発見されたとの事。

こういった外国産の昆虫が屋外で発見されることは、「珍しい」では済まされない問題である。
以前にも記事にしたが、飼育個体の逸出は恥ずべきことである。
記事:逸出は一流の証ではない!中国オオクワガタ相知町で発見
外国産の屋外逸出は多くの問題が危惧され、外来生物法での規制のきっかけにもなりかねない。

しかし、記事中の専門家の見解には決定的な誤りがある。それも専門家なら絶対に間違えないこと。

専門家の見立ては東南アジアに生息するアトラスオオカブト。ペットショップではおなじみの外来種で、どこからか逃げ出したとみられる。
 「逃がして在来種と交配させないように」と専門家から忠告された萩原さんは「これも何かの縁。最後まで責任持って飼います」。

体長5センチの小型個体で種の判別は難しいがアトラスオオカブトのいずれかの亜種で間違いないでしょう。
しかしアトラスオオカブトは日本の在来種と交雑する可能性はゼロです。
なぜなら、アトラスオオカブトはコーカサスオオカブトなどと同じChalcosoma属のカブトムシだからです。
一方、日本のカブトムシTrypoxylus属、種どころか属が違いますので交雑はしません。
他にも日本には広義の「カブトムシ」の仲間がいますがどれもアトラスオオカブトとは属が違います。
専門家がこれを間違うことは絶対にありえません。

アトラスと国産カブトでは卵が孵化しない

一般的に種の違うカブトムシでは交接器の形が違い交尾ができません。
鍵と鍵穴の関係のように違う鍵ではマッチしないのです。
例外的にオオクワガタとコクワガタなど違う種で稀に交雑が確認されていますが、実はアトラスオオカブトと日本のカブトムシも一種の例外と言えます。
昆虫のヒミツ-(九州大学総合研究博物館)「ペット昆虫の環境問題」によると、アトラスオオカブトの雄と日本のカブトムシが交尾を行い卵を産んだと記述されている。
また、こちらの資料http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/p.9では、これらの2種の交尾は特別な手法ではなく、同じ容器に2種を入れただけであることが記述されている。
しかし、属が違うこの2種の間から産まれた卵は孵化しないため交雑には至らない。
こういった稀なケースでもアトラスオオカブトが在来種と交雑することは起きていない。

結論・外国産の逸出は普遍的に悪

昆虫愛好家の間では飼育個体の逸出はです。
しかし、誤った認識で生態系を語ることもまたです。

そもそも国境という概念は人間が作ったものであり、国産・外国産というカテゴライズの仕方が間違っているのかも知れません。
日本に限定すれば、海に囲まれた島国であり一定の地域的隔離が行われているので全く国境に意味が無いとは言えないが・・・
外国産の昆虫が生態系に与える影響は未知の部分が多く、人間の力でコントロールすることが非常に困難です。
その困難に対して、既知の事実に反した見解を流布することは、それらをさらに困難にしていくことは言うまでもない。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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