熊本「地震でライオンが放たれた」で逮捕された理由と問題点
写真:dailymail
熊本地震の混乱に乗じて「おいふざけんな、地震のせいで うちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」とライオンの写真を添付してツイッターに投稿した男が逮捕された。
デマツイートで使われた写真は熊本ではなく、南アフリカ共和国のヨハネスブルクでの映画撮影風景であることが判明している。
今回逮捕された容疑は動物園に対する「偽計業務妨害」であったが、警察が災害時のデマを業務妨害として逮捕するのは初めて。
だが、このデマツイートは業務妨害だけでなく、他にも大きな罪を犯している。
ライオンに怯える子供たち
当時、このデマツイートは2万件以上リツイートされ、さらにそれをコピーする者も現れ収拾がつかない状態になっていた。
熊本市動植物園へは100件以上の問い合わせが殺到し、他の業務ができない状態に陥った。当時は余震も続き動物の逃走がないか確認はしていたが、さらに獣舎などを確認することに。
この問い合わせの数からして、地震で不安が募る近隣住民に追い打ちをかけていたことは明白である。
大きな余震が続き、屋内での就寝中に家が倒壊する恐れもあり、屋外で就寝する住民もいるなかで「屋外にはライオンがいる」というデマは実に悪質である。
もし、ライオンを恐れて避難を躊躇したり、倒壊の恐れのある家屋に閉じこもったことで死者がでていれば、これは殺人と同等。ツイートを行った時点で人命を危険にさらしていたとも言える。
東日本大震災以降、災害にまつわるデマが問題視されてきた。
今回の逮捕は業務妨害によるものであるが、もっと重い罪を適用する必要があるように思えてならない。