netgeekの「民主党がレーダー照射をもみ消した」はミスリード誘う印象操作、時系列を隠し動画投稿

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netgeekの「民主党がレーダー照射をもみ消した」は時系列を隠している、ミスリード誘う印象操作

 バイラルメディア「netgeek」が1月1日に公開した記事『青山繁晴が語る「民主党がレーダー照射をもみ消した騒動」』が、まとめサイトなどにも転載され話題となっているが、これは2013年2月6日に関西テレビで放送された「FNNスーパーニュースアンカー」でのコーナー「青山のニュースDEズバリ!」の動画を2018年末のように見せかけた印象操作だ。
 始めにネットに流れた動画では放送日が明記されていたが、これをnetgeekが動画部分だけをコピーして自社コンテンツとしてツイッターに流し偽装しているのだ。
【元動画】
https://twitter.com/sumerokiiyasaka/status/1079587685298126848
【netgeek】
https://twitter.com/netgeek_0915/status/1080025071454801921

青山氏の証言は「予想」である

 この話題は他のニュース系サイトも取り上げているが、それらは正確に放送日を記述している。netggekの記事ではあたかも最近の動画のように記述されている。

青山繁晴氏が政府関係者から直接聞いた話として過去のレーダー照射もみ消し騒動の情報を明かした。

・安倍内閣は今回、公表した

 青山繁晴氏の言う「今回」とは、2013年1月30日に発生し、同年2月5日に当時の小野寺防衛大臣が緊急会見で公表した「中国海軍レーダー照射事件」のことだ。2018年12月のことではない。
参考:中国海軍レーダー照射事件 – Wikipedia

 尖閣の国有化は、まず2012年4月に当時の石原慎太郎都知事が地権者からの買い取りが合意したことを明かしたが、この時は「東京都」による取得であり募金も集められた。これに対して当時の民主党政権が2012年9月になってから「国有化」することを決めている。
 中国からの激しい反発と反日デモはこれに前後して起こっているので、民主党政権下で尖閣国有化に反発するレーダー照射での威嚇があったとすれば、2012年9月から12月末の政権交代までの短期間である。この部分は青山氏も指摘しており、国有化の話以前から領有権を主張する中国がレーダー照射を繰り返していたとしている。ただし、安倍政権下で公表した事案での場所は「東シナ海」と発表されており、尖閣諸島周辺とは限定していない。これを尖閣問題とするのは青山氏の予測でしかない。また、伝聞と予測であるのに青山氏はレーダー照射を「事実として」と話してしまっている。
※尖閣の国有化完了は2013年9月で当時安倍政権。青山氏が証言した当時は方針の閣議決定のみ。

 ただし、民主党政権下では「尖閣諸島中国漁船衝突事件」で中国人船長を釈放し、衝突時の動画公開も編集して一部の国会議員へ限定するなど、中国への過剰な配慮が問題となっており、予想の範囲で言えばレーダー照射を公表するとは到底考えにくい体制であった。しかし、それは「予想」であって、青山繁晴氏の証言内容だけでは断定も検証もできない。

ジャーナリストの証言

ジャーナリストの安積明子氏は、取材経験から以下のようなことをツイッターに投稿している。

 しかし、当サイト民主党政権下でのレーダー照射事案を探してみたが、現在ネットで閲覧可能な範囲ではそのような報道は見当たらない。安積氏の記憶は2013年安倍政権下での取材なのかもしれない。

 いずれにしても、事実関係と時系列からして青山繁晴氏の証言は人から聞いた話に「予想」を加えたものであり、それが話しているうちに「事実」と断言してしまういつものパターン。また、netgeekが放送日を隠して偽装しなければ参考程度に聞いておく話である。

 個人的には民主党ならやりかねないとは思うが。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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