サッカーE-1選手権「北朝鮮には賞金を払わない」連盟の対応はスポーツへの政治介入か?

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サッカーE-1選手権「北朝鮮には賞金を払わない」連盟の対応はスポーツへの政治介入か?

東アジア・サッカー連盟の田嶋幸三会長は7日、東アジアE-1選手権で北朝鮮チームには賞金を支払わないことを明らかにした。北朝鮮の核開発やミサイル開発に関し、国連安全保障理事会から制裁を受けていることを理由としている。
賞金は男子が25万ドル(約2800万円)、女子が7万ドル(約784万円)で、優勝チームだけでなく2位~4位のチームにも支払われる。出場国は日本・中国・北朝鮮・韓国の4チームで、北朝鮮は最下位だとしても賞金受け取れるシステムとなっていた。賞金を支払わないことは北朝鮮側に伝達済みで、中国と韓国も了承しているとのこと。
参考:田嶋会長 北朝鮮にE―1選手権賞金を支払わないと明言「国際情勢、国連決議などを踏まえて」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

この決定を受けて、ツイッター上では「スポーツと政治の混同」「最初から呼ぶな」「選手には関係ない」と批判の声が上がっている。しかし、これらの意見は北朝鮮の現状と東アジア・サッカー連盟の意図を理解していないものと思われる。

誤解されているようだが、今回の東アジア・サッカー連盟が最優先したことは、「大会を開催すること」「北朝鮮を参加させること」である。スポニチが報じている田嶋幸三会長のコメントが以下、

 一方で、田嶋会長は東アジア情勢が緊迫する中で予定通りに大会が開催される意義を強調。「世界各国が驚いている。アジアはパレスチナの問題、サウジアラビア、カタール、イランの問題などで大会が開かれなかったり、中立地で試合をしたりする中、こういう大きな問題を抱える北朝鮮が男女ともに日本に来て試合をすることには本当に意義がある。日本が東京五輪を前にして、政治とスポーツが離れていることを世界に示す良い機会だと思う。改めて入国を許可してくれた政府に感謝したい」と語った。
出典:田嶋会長 北朝鮮にE―1選手権賞金を支払わないと明言「国際情勢、国連決議などを踏まえて」― スポニチ Sponichi Annex サッカー

連盟としては、国際情勢の影響で中止される大会があるなかで、北朝鮮が参加できる条件としてこの道を選んだのだ。スポーツに政治を持ち込むなという批判も一部は理解できるが、北朝鮮が政治的な意図をもってスポーツの場に選手を派遣しているという見方もできる。
連盟はスポーツと政治を切り離し北朝鮮の参加を認めたが、スポーツで得た賞金が北朝鮮の核開発やミサイル開発に使われることを考えると、国連安全保障理事会の制裁の意図を踏まえて「賞金なしの参加」を決めたのだろう。これは、スポーツを核開発やミサイル開発に利用させないという真っ当な判断である。
この判断を批判している人たちはそういった事情を考えて、北朝鮮が参加できる東アジアE-1選手権を称賛するべきではないだろうか?

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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