災害デマ「自衛隊が支援物資をコンビニに輸送し販売された」深刻な食糧・水不足は避難所以外で起きている
豪雨災害で地域ごと孤立し物流が滞った広島県呉市では、自衛隊車両が大量の水やカップ麺を配送し深刻な物資不足解消に向け動き出している。7月11日には輸送艦「おおすみ」が大量の物資とコンビニ用食品搭載トラックを呉市に輸送している。
7月11日、輸送艦「おおすみ」は、物資輸送のため、海上自衛隊横須賀基地から呉基地に向けて出港しました。「おおすみ」には、可動式入浴器具、食糧品、浄水装置付8tトラックロング(水資源機構)、コンビニ用食品搭載2tトラック(経産省)などが搭載されています。#海上自衛隊 #精強即応 pic.twitter.com/bmKXSjUClW
— 防衛省 海上自衛隊 (@JMSDF_PAO) July 11, 2018
非常にありがたい話なのだが、一部ではこれに対し「被災者への支援物資がコンビニの店頭に並べられた」という誤った情報が流され拡散している。
驚きました。
政府が自衛隊に輸送させた“支援物資”は、すべてを流され体ひとつで避難所にたどり着いた人たちのところではなく、コンビニの店頭に並べられました。
自分のお友達には手厚く補助金を出す首相は、ひとりひとりの国民(被災者)にはとことん援助を渋るつもりのようです。 https://t.co/pMWCePyNIm— SND 12区市民連合サポート (@osaka12ku) July 13, 2018
説明するのも腹立たしいが、このような事実はなく支援物資は被災者に届いている。現状起きているのは避難所以外で生活する住民の深刻な物資不足である。日常生活を送ることが出来る周辺地域でも食糧や水が全く購入することが出来ない状態が続いていたのだ。
コンビニは災害時の物資供給拠点
意外と知られていないのだが、避難所では支援物資や備蓄で食料や水が手に入るが、自宅生活者や日常生活ができ仕事も再開している周辺地域では広範囲にわたる物資不足が発生している。被災地から離れた地域でも断水のためにコンビニやスーパーの水が常に売り切れ、入荷もほとんどないのだ。パンやカップ麺だけではなく食品全般が不足しており、断水のために自炊できない住民は食べるものが無い。
それでも家を流された被災者の事を考えると、なかなか不満を口にすることが出来なかったのだ。
そんな中、呉市の物資不足は特に深刻で、道路の寸断などで通常の配送トラックが被災地域に入ることが出来なかったため自衛隊の協力が必要となった。コンビニが災害時の物資供給の拠点となることは過去の災害を教訓に事前に定められていたことであり、実際に今回の豪雨災害でもコンビニの物資不足が打撃となっているため、このような対応となっている。
コンビニ各社や物流を担う運送会社は各自治体と連携協定を結んでおり、今回の豪雨災害では生産能力と配送能力をフルに活用し、レトルト食品やおにぎりなどを大量に被災地に届けている。大規模災害時に自治体が物資調達するにあたり、速やかに大量の物資を用意できるのは全国に店舗を張り巡らせているコンビニだけ。コンビニ各社が協定により支援したことで、個人から食品を募ることも必要なくなった。
被災者への優先供給を行った結果、コンビニだけでなく周辺地域のスーパーにまで物資不足は拡がり、自炊の難しい地域での「直ぐに食べられるもの」へのニーズの高まりも相まって「見えない被災地」は広範囲にわたっている。そのような状態でもコンビニ・スーパー・ドラッグストアと運送会社が身を粉にして働いてくれたおかげでそれも解消されつつある。
私も食糧と水の不足に悩まされたひとりとして、物流に携わる彼らに感謝している。そして、彼らが全力を尽くしても手が届かなかった地域の物流を助けてくれた自衛隊と政府にも感謝し誇りに思う。
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