選挙中に飛び交った大誤報「加計獣医学部認可は投票日の翌日」は田中龍作の捏造か?確認ミスか?
安倍自民の圧倒的な優勢が伝えられた選挙戦の折り返しである16日、ジャーナリストの田中龍作氏が配信した安倍政権批判の記事が物議を醸している。
【速報】加計学園獣医学部、23日にも認可 同日に孝太郎理事長が記者会見
田中龍作氏が配信した記事によると、加計学園が新設する予定の獣医学部が、投開票日の翌日に認可されるというものだった。記事によると、「衆院選の圧勝を受けて安倍官邸が力でウヤムヤにする」「安倍官邸が文科省に圧力をかけて設置を認可させた」とされていたが、23日に認可の発表は行われず27日になって林芳正文部科学相が11月に判断が行われることを会見で明かした。
当初23日の予定であったものが11月にずれ込んだとも解釈できるが、どうやら田中龍作氏の「投開票日の翌日」という情報自体が不正確であったようだ。
誤報は確認ミスか?下地幹郎か?
安倍政権が加計の獣医学部の認可を、衆院選圧勝のどさくさに紛れて投票日翌日23日に行うという情報は、選挙中の安倍政権批判の材料として野党支持者の間で拡散されていた。しかし、23日になっても認可のニュースが流れないことで「ガセネタ」とされ、田中龍作氏を「田中贋作」と呼ぶものも現れた。
田中龍作氏に捏造の意図は無かったものと思われるが、ジャーナリストとして致命的な確認ミスを犯した可能性は高い。田中龍作氏が問題の記事を配信した翌日の記事を見ると、ある一般女性が政府に対して行った、加計学園獣医学部に関する文書の開示請求の開示日が23日に変更されたと伝えている。
田中龍作氏が政府関係者から聞いた話は、この開示請求の開示日に関するものと情報が混同されている可能性が高い。以前から、獣医学部の認可は選挙後ではないかという予想と噂があったことで、田中龍作氏が勘違いして先走ったのかも知れない。
ただし、当日に加計孝太郎理事長が会見を行うという情報が、一体どこから出てきたのかは不明で釈然としない。政府関係者の話であれば、加計学園側の会見セッティングにまで関知していないはずだ。この「加計孝太郎の会見」という情報を付け加えてしまったことで「ガセネタ」「デマ」「贋作」と批判されたのは自業自得かもしれない。
一方で、元から23日の認可が予定されていたという情報もある。その情報源は、下地幹郎議員が9月22日にツイッターに投稿した内容だ。
「10月23日」、文科省の審議会において加計学園の認可判断が下されることになりそうです。
この「10月23日認可判断」という日程から逆算すれば、「9月28日の冒頭解散」しかありえない、という判断が行われたようであります。
— 下地ミキオ (@mikioshimoji) September 22, 2017
つまり、どういうことかといえば、10月29日の投開票スケジュールでは加計学園の認可判断が不可能になるため、「9月28日解散・10月10日告示・10月22日投開票」という日程となった、というのが今回の冒頭解散の真相だ、という話です。
— 下地ミキオ (@mikioshimoji) September 22, 2017
今日、文科省の関係者から話を聞きましたが、政府はいま、この話にピリピリと神経をとがらせているのだそうです。
しかし私は、何も悪いことをしているわけではないのだから、当たり前に認可を行って、堂々と説明をすれば済む話じゃないかと思います。
— 下地ミキオ (@mikioshimoji) September 22, 2017
下地幹郎議員の情報源は文科省の関係者と思われるが、23日の認可から逆算して投開票日を予測している。林芳正文科相の会見でも「当初は10月中であった」とされており、当初は23日であった可能性もあるが、この程度のことで解散と選挙の日程が決まるというのは考えにくい。また、田中龍作氏がこの下地幹郎議員の情報を基にしている節もない。
やはり、田中龍作氏の確認ミスであった可能性が極めて高い。また、本当に安倍首相や官邸が獣医学部新設に不正に関与していると言うなら、無理に冒頭解散などせずに認可日を遅らせることも出来たはずだ。このあたりでも田中龍作氏らの言説は矛盾だらけだ。
今のところ、田中龍作氏から訂正も弁明もないようだが、ジャーナリストして誤報の経緯は明らかにしておくべきだろう。