検証!新潟県知事選、池田ちかこ候補は「拉致問題は創作された事件」という論文を執筆・関与したのか?
新潟県知事選で野党が推薦する池田池田千賀子候補が「北朝鮮の拉致は創作された事件」と言う論文を1997年に書いていたという誤った情報がツイッターを中心に拡散されている。
一部の投稿者は誤りを認め削除とお詫びをしているが、投稿はコピペされて複数人が投稿しており収拾がつかない状態だ。拡散されているコピペは以下のようなもの。
池田ちかこ 新潟知事選候補
『北朝鮮の拉致は創作された事件』
(1997年の論文より)
選挙妨害目的の悪質なデマと思われたが、当サイトで検証調査した結果、この投稿は勘違い(誤読)が発端となり拡散されたものと判明した。
論文は存在したが別人が書いている
問題となっている「北朝鮮の拉致は創作された事件」という論文については、1997年に社民党の機関紙である『月刊社会民主 1997年7月号』に掲載された「食糧援助拒否する日本政府」のことを指していると思われる。論文執筆者は“社会科学研究所 日韓分析編集 北川広和"となっており別人である。共著者もない単著であり謝辞もない。
この論文は社民党の公式ホームページから削除されているが、別のサイトに転載されている。
参考:月刊社会民主7月号-事実を求めて
論文では拉致問題を「拉致疑惑事件が安企部の脚本、産経の脚色によるデッチあげ事件との疑惑が浮かび上がる」と指摘し、その目的を「「拉致疑惑事件は、日本政府に北朝鮮への食糧支援をさせないことを狙いとして、最近になって考え出され発表された事件なのである」としている。
1997年当時、社民党は拉致問題は存在しないという主張をしていたが、2002年9月17日の日朝首脳会談(小泉訪朝)で金正日総書記(当時)が日本人の拉致を認めたことで、北朝鮮労働党と友党関係にあった社民党への批判が高まった。論文の存在も指摘されたが一度は削除を拒否、しかし2002年10月4日に問題の論文を削除している。
参考出典:社民党、「拉致は創作」とHPに掲載 | tomomoのブログ
論文著者と誤解された原因が判明
なぜ、問題の論文に名前の無い池田千賀子候補が執筆者とされたのか?
少なくとも、ここ数日で拡散されたツイートの元は以下の投稿を誤読したもので間違いないだろう。
このツイートの以下の部分が二通りの読み方ができてしまうのだ。
それにしても
「#北朝鮮拉致 は創作された事件」なんて主張した論文(月刊社会民主1997年7月号)
まで出した社民党の #池田ちかこ が新潟県知事になったら
投稿者は「論文を出した社民党」と伝えたかったのだが、多くの読み手が「論文を出した社民党の池田ちかこ」までつなげて受け取ったことで論文の著者が池田千賀子候補と思い込んでしまったのだ。また、池田候補は県議選で社民党の推薦を受けており、今回の知事選でも推薦を受けている。小泉訪朝まで拉致問題を認めなかった社民党が、現在も解決に協力的ではないという悪感情が、読み手の判断を誤らせたとも考えられる。
ちなみに、添付されたURLは「土井たか子」のウィキペディアであり、当時社民党に在籍していた辻元清美議員らが拉致被害者家族からの協力要請メールを無視し続けたという「評価」の項目に飛ぶようになっている。池田候補が辻元清美議員の応援演説を受けていることも話題性に火を付けたようだ。
土井たか子 – Wikipedia
結論 誤解では済まされないデマ
本件の経緯と原因をまとめると以下のようになる。
・新潟県では確認された拉致被害者だけでも5名、横田めぐみさんも新潟で拉致されている
・新潟県知事選でも候補者の認識が問われる
・池田候補は拉致問題に非協力的な社民党の推薦を受けている
・社民党の論文問題が再提起される
・論文著者と勘違いされる
誤読が原因であるが、被害を受けた池田候補のイメージダウンを考えると「悪質なデマ」であったと言わざるをえない。
新潟県知事選では、双方支持者によるデマと誹謗中傷の応酬が激化している。最早これは公正な選挙とは言い難い泥沼状態であるが、公職選挙法に抵触すると思われるものも散見される。
間違いに気がついたら早急に削除・訂正・謝罪をするべきであると同時に、選挙に関する情報発信には細心の注意が必要であることも理解してほしいものだ。
※6月11日 選挙後の再検証を行いました
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