立憲民主党・市民クラブの今井雅人議員にブーメラン?公選法違反の巨大看板設置疑惑←誤解もあるので解説
立憲民主党・市民クラブ(院内会派)所属の今井雅人議員が、公職選挙法に違反する巨大看板を設置しているという指摘記事が話題になっている。
政治ニュースサイト「政治知新」の記事によると、今井議員が岐阜県郡上市の事務所に設置している看板が、片山さつき大臣が追及されている書籍宣伝看板と同様に公職選挙法で禁止される「事前運動」にあたるというのだ。しかし、記事の内容はお世辞にも公職選挙法を理解しているとは言えず誤った解釈・指摘も散見される。
すでに夕刊フジが今井議員に取材し17日号(16日発行)に掲載しているが、この看板は政治活動用のために設置されたもので、選挙期間中には取り外している。よって、公選法で定めるポスターサイズの規制にも一応はかからない。看板の設置方法「ベニヤへの裏打ち」に関しても、選管や県警と相談して設置を継続していたようだ。
断定は出来ないが言い逃れも難しい
政治知新が指摘している部分で、概ね合ってるようで微妙に誤解している部分が散見されるので以下に詳しくまとめておく。
事前運動にはあたるのか?
政治知新では、今井議員の看板設置を公選法違反の事前運動と断定しているが、その根拠として示している坂出市ホームページの記載が以下。
言論による選挙運動
言論による選挙運動は,有権者にとって候補者の人物や意見を知るのに役立ち,また,候補者や政党にとっても直接訴えられる利点があります。おもな言論による選挙運動は次のとおりです。・個人演説会
・街頭演説
選挙運動について – 坂出市ホームページ
今井議員は現在無所属で、許可された「政党の政治活動」に該当しない可能性がでてくるため看板の撤去を検討している。政治知新は、政治活動の告知に「個人演説会」が含まれていることを理由に公選法で禁止される事前運動だと断定しているが、憲法で国民の思想・信条・表現の自由が保障されているため政治活動の規制は必要最低限とされ、安易な判断と断定は危険だ。
多くの政治家は、ポスター類が事前運動による違反と判断されないように、遥か遠い期日の演説会告知ポスターとして掲示しているが、その演説会のほとんどが架空のもので「中止」されたことになっている。ただし、今井議員の場合は看板に政党名を明示してはいるが、左下に追加掲示された掲示物に「個人演説会」と書かれており、これが政党の政治活動ではなく個人的な事前運動と指摘される可能性がある。選挙中に行われる個人演説会なら告知も事前運動になってしまうので公示後に行うのがルールだ。
単なる演説会や報告会に誤って「個人」を付けてしまったという言い訳をすれば逃げ切れそうだが、開催予定日が任期満了日に近く選挙期間が予想される場合は言い逃れできそうにない。また、政党の政治活動と説明しながら「個人」が強調され顔写真は今井議員のみ、もう一人は今井議員がホームページ等で使っている剣道着のキャラクターだ。これは政党党首らを起用した2連ポスターとは言えず(そもそもポスターではない)個人ポスターと判断されても仕方がない。
ポスターサイズの規制に違反?
政治知新では個人演説会は選挙活動に分類されるのでポスターサイズの規制を受けるとしているが、これも微妙である。
ここでも今井議員が銘打った「個人演説会」というタイトルが問題になるのだが、憲法で保障される政治活動は原則的に自由であるべきで、任期満了日の6カ月前からのみ規制されるものもある。例えば、今井議員が次期衆院選や他の公職選挙への出馬を明示して演説告知したり、特定選挙への投票を呼び掛けた場合は問答無用の事前運動として違反となるが、あくまで今井議員は政党政治活動の演説会として掲示しているのだ。
片山さつき大臣の書籍宣伝の巨大看板が問題になっているのは、選挙中にも掲示されていたためであるが、今井議員は選挙中は撤去し政治活動としての掲示であるため公職選挙法のサイズ規制は受けないと判断しているようだ。また、巨大看板横の立て看板のサイズも定められた150センチを超えているように見えると政治知新は記事で指摘しているが、その根拠は何も記載されていない。工事中の交通規制看板がだいたい160センチ弱なので、それより小さいものは問題なく、看板製作する側もある程度は規制を把握している。(巨大看板の高さは約1.8メートルらしいのでセーフっぽい)
突っ込むところが間違っている
法案・政策とは無縁なことで揚げ足取り質問を繰り返す野党を叩きたいなら、こちらもブーメランを浴びないようにしなければならないのだが、今回の今井議員の看板は「個人演説会」と「離党」がポイントである。
個人演説会と言えば選挙活動の事を指すのが一般的。事前の選挙運動と判断されないための架空の演説会を設定したまでは良かったが、これを「個人演説会」としたのは明らかな間違いだ。そもそも離党届を提出、もしくは党から除籍処分が下された時点で速やかに撤去するべきだったのかも知れない。(除籍処分は10月24日)
こうやって、それなりに詳しく書いても専門家から多くの意見は寄せられる。政治知新に関しては以前にも蓮舫議員に関する誤報を流して謝罪・撤回しているので、情報の取り扱いにはもっと留意してもらいたいと願うばかり。