カブトムシを飼うということ、死を受け入れる覚悟


昆虫ゼリーとカブトムシ
今年もカブトムシの発生時期となりました。
昔に比べ随分と少なくなったとはいえ、多くの子供たちがカブトムシを飼い、多くのことを学ぶ季節です。

そこで、カブトムシを飼う前に知っておいてほしいこと、注意してほしいこと、考えてほしいことをまとめてみました。
上辺だけの綺麗事や感情論ではありません。
科学的知識と死生観にかかわる重要なことです。カブトムシを飼う子供だけではなく、大人たちが考える機会になればと思います。

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逃がすなら殺すという覚悟

一度生態系から切り離した生き物は野に放ってはいけない。
もし、飼育できなくなったりしたときに、自分の手で殺すくらいの覚悟が必要です。できないなら生き物を飼うべきではありません。殺すことがどうしても嫌なら、意地でも最後まで買い続けることです。

残念ながら、世間では人工繁殖したカブトムシやクワガタを野に放つ「放虫活動」をしている人がいます。
この人たちの理屈では、カブトムシさえいれば豊かな生態系が回復した気になるようだ。実に非科学的で独善的な考え方である。
皆さんは実際にカブトムシを捕まえに行ったことがありますか?
畑の腐葉土から発生するカブトムシではありません。
山や森で自然発生し、定着したカブトムシです。
そこにはカブトムシだけではなく、カナブンや蛾、オオゲジ、ムカデ、スズメバチなどの危険で不快な虫も多数存在します。こういった多くの生物が混在しながら山や森の生態系は保たれています。
人間にとって不快な虫を受け入れることなく、小奇麗に整備された自称「森林」にカブトムシだけが存在するという状況は「自然」ではありません。
人間が腐葉土を持ち込みでもしない限り、そこにカブトムシは定着しません。
それは自然ではなく、単なる屋外飼育です。
これを生態系の保護活動だと勘違いした人々が放虫活動をしているのです。
この活動についての問題点は以下の記事に詳しく書いているので参照されたい。


一生を虫かごで過ごさせるのは可哀想。
生まれた山に返してあげたい。

だったら最初から飼うなと言いたい。
都合よくカブトムシの良い部分だけを楽しんでおいて、いざ死期が迫ると綺麗事を並べて死から目をそらす。自己を正当化する。
生き物の死を直視できないものが「生」を考えるなど愚の骨頂である。

非科学的な俗説に惑わされない

カブトムシを飼う以上は、出来るだけ長く飼育したいと思うのは当然でしょう。
しかし、巷で語られる飼育方法には「嘘」が多いことにも注意しましょう。

スイカでお腹を壊す?

代表例が「スイカでお腹を壊す」という俗説。
カブトムシはお腹を壊しません。そもそもそのような構造ではありません。
カブトムシがスイカやトマトといった農作物を食害することは珍しくありません。カブトムシにとってスイカやトマトの水分は命の源でもあります。

昆虫ゼリーや飼育用品の普及により、より長生きするようになったのは事実ですが、それは「スイカによる早死に」ということではなく、昆虫ゼリーを与えると自然界よりはるかに長生きするようになったということです。
これを勘違いした人が「カブトムシにスイカは厳禁」などという都市伝説的なことを言い出し、それが一般的な説になってしまったようです。

秋には死んでしまう?

自然界では秋にはほぼ全滅し、夏のうちに産卵した次世代が来年の夏に羽化するというサイクルです。
しかし、家庭での飼育では餌が豊富で良質なうえ、温度変化も少ないのでもっと長生きします。
昆虫専門のブリーダーなどは年中飼育部屋を25℃前後に保っているので、カブトムシとお正月を過ごしたという事例もあります。
温度管理をしなくても、最近の家屋は外気の温度変化の影響が少ないので10月くらいまで生きることは珍しくありません。
夏休みの間だけと思って飼い始めても秋までは世話をしなければなりませんので、その覚悟と用意が必要です。

カブトムシを飼うということ

カブトムシを飼うことで学べること。

昆虫の生態
生命のサイクル
自然と人工の差
生と死

いろいろとあります。
しかし、この中から都合のよい部分だけをつまみ食いするような飼育は逆効果かも知れません。
生き物を飼うということは、つらい「死」と向き合うということ。
死に直面することで「生」の大切さを学ぶことができるのです。

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