【保護なめんな】クレストに込められた本当の意味を知っているか?
小田原市職員が着用していた「生活保護なめんなジャンパー」、市が謝罪して着用を禁止することとなったがそれだけでは収まりそうにない。
参考:「生活保護なめんなジャンパー」なぜ謝罪する必要があったのか?
クレスト(エンブレム)をパロディとして利用され、リバプールFC公認の公式サポーターズクラブが抗議の意思を示している。クレストに込められた意味を知るサポーターとしては当然の行動である。
リバプールFCが社会への貢献を重視し、慈善活動に積極的に取り組んでいることは世界的によく知られています。断言させていただきますが、クラブのクレストをこのような形で使用することをリバプールFCや当サポーターズクラブが許可したなどという事実はありませんのでご安心いただければと思います https://t.co/WpffX2Biut
— リバプール・サポーターズクラブ日本支部 (@LFCjp) January 18, 2017
ニュースになっている件につきまして、ご心配いただきましてありがとうございます。日本支部からLFCに報告し、問題点を説明させていただく予定です。それとは別に、日本支部からも、当該市役所に対して抗議することを検討しています。
— リバプール・サポーターズクラブ日本支部 (@LFCjp) January 18, 2017
リバプールFCのエンブレムには過去の悲劇への思いが込められており、それをパロディにすることは許されない。過去にはスポンサーですらエンブレムの改変画像をツイッターにアップして大バッシングを受けている。
リバプールエンブレムの意味
リバプールFCのエンブレムをモチーフにしたエンブレム、これがどうしてサポーターを激怒させるのか?
それはリバプールの歴史を知れば、決して許されるものではないのだ。
「不正受給はクズ」…生活保護担当らが自費でジャンパー作り着用、そのまま受給者宅にも https://t.co/z6qlvX4mUY #保護なめんな #HOGONAMENNA #生活保護 #小田原市 pic.twitter.com/13IZEAdWSq
— 産経ニュース (@Sankei_news) January 17, 2017
リバプールのクレストには左右に炎が添えられている。
この炎は過去に起きた2つの悲劇を表している。
ヘイゼルの悲劇
過激なサポーターの暴力行為、いわゆる「フーリガン」の行動でクラブに重大な処分が下された最初の事件と言われている。
1985年5月29日にベルギー・ブリュッセルにあるヘイゼル・スタジアムで行われたUEFAチャンピオンズカップ1984-85決勝のリヴァプール(イングランド)対ユヴェントス(イタリア)の試合前に起きたサポーター同士の衝突がきっかけとなり、39人が死亡し400人以上が負傷する。
ダフ屋の横行により適切なサポーター席の区分けができず、過激なリバプールサポーターの区画にユヴェントスサポーターが隣接してしまったことが原因とされる。リバプールサポーターは試合前からユヴェントスサポーターに向け投石などの挑発を繰り返し、遂には金網フェンスを破壊して煉瓦や鉄パイプを武器になだれ込み襲撃し、逃げ惑う群衆が老朽化した壁などによじ登るなどしたため壁は崩落し負傷者が出る。そこに押し寄せる群衆が、さらに多くの人を押しつぶす形となる大惨事となった。
この事件でイングランドのフーリガニズムが批判の的となり、イングランドのクラブは数年間に渡り国際試合から追放される処分を受けた。
出典:ヘイゼルの悲劇 – Wikipedia
ヒルズボロの悲劇
1989年4月15日にイングランド・シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで行われた、サッカー・FAカップ準決勝のリヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦において、「テラス」と呼ばれるゴール裏の立見席に収容能力を上回る大勢のサポーターが押し寄せ死者96人、重軽傷者766人を出した事故。
事故原因について当初はフーリガニズムとの関連性が指摘されたが、同年8月と1990年1月に公表されたテイラー・レポートは警備側の観客誘導の不備にあったと結論付けた。この事故はイギリスのスポーツ史上最悪の事故と評されている。
出典:ヒルズボロの悲劇 – Wikipedia
こういった悲惨な事故を表すエンブレムをパロディにされれば、サポーターとして黙っているわけにはいかないだろう。
過去にはスポンサーが謝罪する事案も
このリバプールのエンブレムを改変して、サポートを激怒させた企業がある。
それはなんと、リバプールのスポンサーである「ダンキン・ドーナツ」だ。
ダンキン・ドーナツ社は2015年公式ツイッターで「リバプールのエンブレムが好きかい? 自分のロゴが欲しい人は、ツイートしてくれたら僕たちが作ってあげるかもしれないよ」とツイートしリバプールのエンブレムをモチーフにしたオリジナルのエンブレムを公開した。
この改変されたエンブレムでは、2つの悲劇を表す炎の部分がコーヒーに変更されており、これを見たサポーターは激怒した。
抗議を受けたダンキン・ドーナツ社は「リバプールのエンブレムをモチーフにしたプロモーションで、無神経なツイートをしてしまったことを謝罪したい。リバプールのスポンサーとして、サポーターを傷付ける意図があったわけではなかった」という謝罪文を公表することになった。
出典:リバプールのスポンサー企業、エンブレムを軽視するプロモーションでファンから猛反発 | フットボールチャンネル
このように、リバプールFCのエンブレムには特別な思いが込められている。このエンブレムを「イジる」ことは冗談では済まされないのだ。
公式ユニフォームにおいても、2つの炎が胸から襟の後ろに変更されただけでもサポーターや遺族が難色を示すくらいだ。
本当のリバプールサポーターなら、このようなエンブレムパロディは行わないという公式サポーターズクラブの意思表明は当たり前だ。
こういった経緯を一切調べることもなく、小田原市のジャンパーを絶賛し「大目に見たほうがリバプールの格が上がる」とか寝言を書いちゃうnetgeekは実に「浅い」と思った次第であります。