国民・大西健介議員が中日新聞に苦言「この似顔絵はない、似てない」市長選候補の紹介に公選法の問題は?


国民・大西健介議員が中日新聞に苦言「この似顔絵はない、似てない」市長選候補の紹介に公選法の問題は?

 中日新聞が安城市長選挙候補者の紹介で、本人写真ではなくイラストが掲載されていることについて、国民民主党の大西健介衆院議員は「中日新聞さん、この似顔絵はないでしょ。」と苦言を呈した。

中日新聞さん、この似顔絵はないでしょ。

大西 健介さんの投稿 2019年1月29日火曜日

 コメント欄では「未成年で投票権を持つ方が、親しみやすいように書かれたと思う」という指摘もあったが、これに対し大西議員は「3人とも似てないのと、これだけ見ると、すごく老けて見える候補もいたりして、この似顔絵は当事者の皆さんはいろいろ思うところがあるんじゃないかと思います。少なくとも私が候補者なら「おいおい頼むよ」と思います。」と返信している。

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公平・中立性・法の問題は?

 公職の選挙に関する新聞報道等については、公職選挙法で以下のような条文がある。

(新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)
第148条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第百三十八条の三の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。

 中日新聞のイラストが「似ていない」という指摘については、極端な悪意を感じるデフォルメとは言えず上記条文の「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する」にはあたらないものと思われる。ただし、中日新聞は別の記事で本人写真を使用しており、公平中立の観点から描くものの内心が反映されるイラストをわざわざ用いるのは適切ではないのかも知れない。
国民・大西健介議員が中日新聞に苦言「この似顔絵はないでしょ、似てない」市長選候補紹介に写真使用せず
出典:安城市長選、3氏の争い 保守分裂、激戦予想:中日新聞

 公職選挙法第148条に関する日本新聞協会の統一見解が1966年に出されているが、それに照らし合わせても法的問題はなさそうだ。

 第148条は、新聞が選挙について報道、評論する自由を大幅に認めている規定である。この報道、評論の自由を個々の記事の具体的扱いにあてはめてみると、従来の選挙訴訟をめぐるいくつかの判例でも明らかなように、はじめから虚偽のこととか、事実を曲げて報道したり、そうしたものに基づいて評論したものでない限り、政党等の主張や政策、候補者の人物、経歴、政見などを報道したり、これを支持したり反対する評論をすることはなんら制限を受けない。そうした報道、評論により、結果として特定の政党や候補者にたまたま利益をもたらしたとしても、それは第148条にいう自由の範囲内に属するもので、別に問題はない。いわば新聞は通常の報道、評論をやっている限り、選挙法上は無制限に近い自由が認められている。したがって、選挙に関する報道、評論で、どのような態度をとるかは、法律上の問題ではなく、新聞の編集政策の問題として決定されるべきものであろう。

 従来、新聞に対して、選挙の公正を確保する趣旨から、ややもすれば積極性を欠いた報道、評論を行ってきたとする批判があった。このことは同条ただし書きにいう「……など表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない」との規定が、しばしば言論機関によって選挙の公正を害されたとする候補者側の法的根拠に利用されてきたためだと考えられる。

 しかし、このただし書きは、関係官庁の見解あるいは過去の判例によっても明らかなように、一般的な報道、評論を制限するものでないことは自明であり、事実に立脚した自信のある報道、評論が期待されるのである。
出典:公職選挙法第148条に関する日本新聞協会編集委員会の統一見解(要旨)|取材と報道に関する見解等|声明・見解|日本新聞協会

 法的には完全にセーフであるが、大西議員が指摘するように「似てる、似てない」の問題や、イラストの顔の表情等はイラストレーターが如何様にも印象操作することが可能である。手の表現も3人とも違い、それぞれが「自信」「親しみやすさ」「力強さ」などを表現しているが、これは候補者の意志によるアピールではなく本人の主張とかけ離れる危険性もある。
 やはり、候補者紹介には本人提出でない限りイラストは適さないと思われる。

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