
自民党の党大会で、陸上自衛隊中央音楽隊の自衛官が君が代を歌唱した件で、小泉進次郎大臣が14日の外交防衛委員会で「知らなかった」と答弁したことに、国民民主党の榛葉賀津也幹事長が「組織の問題になってしまう」として「現場の職員を守らなければならない。防衛省の職員も三等陸曹も全く悪くない」と質疑冒頭で発言する場面がありました。
動画のあとの後半では、自衛官の党大会出席と歌唱が法的の問題があったのか?制服の着用を陸幕長が指示していなかった問題の解説をしていますので、最後までお付き合いください。
演奏服装は着用してもいい?
この問題はネット上で賛否が分かれています。個人的には自民党の無責任な対応が混乱を招き自衛隊に疑念の目が向けられていることが残念でなりません。
まず法的な問題については、まったく抵触していません。自衛隊法の61条で「政治的行為の制限」がありますが、これは政治的行為の一切を禁止したものではなく、条文では「政令で定める政治的行為をしてはならない」とされています。
その政令の中で、党大会のような場所での国歌斉唱は禁止されていないわけです。極端な話、特定の政党や候補者などを支持、または反対することが禁止されているだけで、国歌斉唱の依頼を承諾したことは、自民党への支持表明とはならないわけです。
一方で、個人で依頼を受け参加したにも関わらず、演奏服装を着用していたことには疑問が残ります。
自衛官服装規則第13条の2では「演奏のため特に必要があると認めて指示するとき、通常演奏服装をするものとする」とされ、今回の場合は陸上幕僚長が指示する規定となっていました。しかし党大会への参加は陸上幕僚監部に報告され私的参加に問題は無いと判断されていましたが、陸幕長は演奏服装の指示はしていませんでした。
小泉大臣が「常に着用しなければならない」と説明したことで、誤解が拡がっているようですが、職務以外で制服を着用する必要はありません。その一方で、着用してはならないという規定もなく、私的行為で制服を着用したことをもって規則違反となるわけではないことを陸幕長が14日の会見で説明しています。
これは完全に規則が矛盾しているわけです。陸幕長が着用を指示するというのは、許可が必須という意味ではなく、あくまで陸幕長が必要と判断すれば指示できるというものです。
その一方で、私的行為での着用は禁止されておらず、事案によって適切か不適切を事後に判断するという曖昧なものになっています。
自民党の問題点は?
結論として、今回の党大会での国歌斉唱は法的にも規則的にも問題はありません。一方で、この問題を「国歌斉唱の何が悪い」などと、論点をピンポイントにして保守的主張に利用するのは間違っています。国歌だからと曲目で批判されているわけではありません。
問題は、自衛官が制服で参加することに対して、自民党側が事前に法的な確認もせず、事後になって「イベント業者が呼んだ」「大臣は報告を受けていない」と責任を自衛隊側に転嫁する結果となっていることです。
小泉大臣が三等陸曹の歌唱を報告するX投稿を削除したのも、問題を指摘されたので確認が終わるまで念のためというお粗末。
明らかに議論を呼び賛否が分かれることに、事前に確認も説明もなくサプライズ登場のような形にしたのは自民党の責任です。党大会への自衛官参加が前例のないことであれば、自衛隊に批判が向けられないように、事前に確認して他の政党であっても自衛官の国歌斉唱は問題ないという見解を出しておくべきでした。
現状では政党から正式に依頼することはできませんが、今後は私的参加ではなく、音楽隊が依頼を受けられるようにすべきです。また現状で他党は私的参加でも自衛官の参加は不適切と判断しているわけだから、このままでは「自民党だから参加した」と自衛官個人の問題になってしまいます。
やはり特定政党の党大会に自衛官が制服で参加し歌唱したことは、あの時点では不適切であったと言わざるを得ないし、指摘を受けてから確認して「何も問題ない」とするのは自衛官の為にもよくありません。
自民党は配慮の無さを詫びるべきだし、自衛隊を守るべきです。そしてこの問題に「国歌の何が悪い」と的外れなネトウヨしぐさを見せている人は、それが政治的議論の的になり自衛官の立場を悪くさせていることに気が付くべきです。
演目が君が代だろうとポップスだろうと、自民党が適切な受け入れ態勢を整えてからお招きすべきで、勝手に自衛官個人が制服で来ちゃいました!みたいな無責任なやり方と説明は感心できません。


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