検証！三浦瑠麗のスリーパーセル発言「大阪は朝鮮人が多い」放送では発言なし、情報ソースも５ちゃんねる
国際政治学者の三浦瑠麗氏が１１日に放送された「ワイドナショー」（フジテレビ系列）で、国内に潜伏する工作員「スリーパーセル」に言及した際に、在日朝鮮人が多く住む大阪を根拠なく危険視したとして批判されている。
ネット情報サイトのBUZZAPでは「朝鮮人が井戸に毒級」と糾弾し、映画評論家の町山智浩氏は「韓国朝鮮系の子どもたちがどんな辛い思いをするか」と関東大震災時のデマに絡めて批判をしている。
三浦瑠麗さんはワイドナショーで発言する際、関東大震災で朝鮮人がデマで虐殺され、アメリカで大戦中に日系人がスパイとされて収容所に入れられ、今、イスラム系の人々がテロリスト扱いされていること、それに自分の発言で韓国朝鮮系の子どもたちがどんな辛い思いをするか少しでも考えたのだろうか？
— 町山智浩 (@TomoMachi) February 11, 2018
だが、これらは実際のVTRを確認せず５ちゃんねるなどネットのデマを信用して批判しているようだ。なぜなら、実際の放送ではそういった趣旨や一般の在日朝鮮人を特別危険視するような発言は一切無かったからだ。切り取られた一部だけを見て、前後の文脈を妄想して「差別があったに違いない」と決めつけているのだ。
当サイトでは番組の録画を再度チェックし、問題とされた発言の前後を含め書き起こしを行った。結果、三浦瑠麗氏は「米の先制攻撃で報復されるのは日本、戦争が起これば東京以外の都市も狙われる、戦争してほしくない」という、普段は平和活動家が主張することと同じ趣旨で発言をしていることがわかった。
しかも、三浦瑠麗氏は「今、大阪が危ないと言われている」と発言しており、歴史的な大阪と在日朝鮮人の関係ではなく「今」と限定し、現在の状況として狙われやすいと都市として「大阪とソウル」を挙げている。このうち、ソウルの部分は完全に無視されていることも重要なポイントだろう。
書き起こしで分かる批判者の創作
番組内での話の流れとしては、オリンピックが北朝鮮と韓国の融和が強調され、政治利用が公然と行われていることなど、日本・アメリカ・韓国・北朝鮮の思惑などについて出演者がコメントするというもの。
当サイトでVTRを確認し、前後を含めて書き起こしたものが以下だ。どこを探しても「在日が多い」などという発言やそれを彷彿とさせる関連発言も見当たらない。
三浦＝三浦瑠麗、松本＝松本人志、東野＝東野幸治、長嶋＝長嶋一茂
松本「ムンちゃんために、みんなやってるみたいな、ムンちゃんの点数集めのためにやってる感じがするよね」
東野「文大統領はね、いろいろと各国首脳と会うんですけどもね。あの、瑠麗さんはどのようにこう」
三浦「今、ムンさんとしては、まあ、けっこう得意だと思うんです」
東野「これ、得意なんですか？」
三浦「だって、金与正氏が入るっていうのはなかなかね、朝鮮戦争以来の話なので、そりゃ彼としてはこれだけ大物が来たという話で。ただペンスさんの問題というのがあるんですね。つまり韓国というのは完全に米軍に同化していて、もう本当に米軍に組み込まれている存在なので、米軍無しには国防は出来ないんですよ。で、今回核態勢の見直しっていうNPRって呼ばれるものが更新されて、その中で小型の核をたくさん作って、そして戦略核と言われる、すごくそのソ連との間でやり取りしていたような大規模な核、減らしますっていう方針が出されたんですね。で、そうすると核兵器をより使える兵器にする方向に舵を切ったんですけど、じゃあその、考えてみましょうと、もしアメリカが北朝鮮に核を使ったら、アメリカ大丈夫でも我々けっこう反撃されそうじゃないですか。」
東野「ノドンとかたくさんありますし」
三浦「そう。で実際に戦争が始まったらテロリストが仮に金正恩さんが殺されてもスリーパーセルって言われて、もう指導者が死んだって分かったら、もう一切外部との連絡を絶って、都市で動き始めるスリーパーセルっていうのが活動するって言われているんです。」
テロップ挿入“スリーパーセル 一般市民を装って潜伏している工作員やテロリスト"
東野「普段眠っている、暗殺部隊みたいなものが」
三浦「テロリスト分子がいるわけです。それがソウルでも、東京でも、もちろん大阪でも、今けっこう大阪ヤバいって言われていて」
松本「えっ、潜んでるってことですか？」
三浦「潜んでます。ていうのは、あの、いざという時に、その最後のバックアッププランですよ。で、そうしたら首都を攻撃するよりかは、正直、他の大都市が狙われる可能性もあるので、東京じゃないからってふうに安心はできない。っていうのがあるので、正直我々としては核であろうが何であろうがとにかく戦争して欲しくはないんですよ、アメリカに」
長嶋「そりゃそうですよ」
三浦「で、じゃまあ核って言ってもやっぱり、アメリカは核使わないよと、建前なんだよってことにすると、じゃ核を入れる小型の核をたくさん作る代わりに、いま日本を守ってる海兵隊やらなんやら、そのいわゆる通常戦力っていうのを減らしていきますっていうのとセットなので。じゃあ防衛は薄くなるわ、核兵器はたくさんお金かけるわで、えっ私たちどっちに転んでもいいことなくないですか？っていうのが今私の一番の懸念です」
東野「日本とアメリカの関係をさらに考え直さなければいけないという」
三浦「いけない」
在日朝鮮人の多さではなく都市規模
三浦瑠麗氏の発言趣旨は、
「アメリカが核を使ってら反撃されるのは日本」「その反撃は東京以外でも想定されるので安心できない」「警戒される首都以外では大阪のような大都市が狙われやすい（ソウルも挙げている）」
どこにも在日朝鮮人が多い大阪は危ないなどという言葉は無かったのだ。
三浦瑠麗氏は、東京以外の大都市では大阪とソウルでもテロリストはいることを例に挙げたに過ぎず、都市規模として危険と指摘した「大阪」という部分をイコールで「在日朝鮮人」としたのは三浦瑠麗氏ではなく、批判をして騒いでいる側である。
また、三浦瑠麗氏は、大阪を例に挙げる際に「今、大阪が危ないと言われている」と「今」という言葉を使っている。大阪に在日朝鮮人が多いということを差別的に取られていたなら「今」ではなく「戦前から」だったはずだ。
批判内容に事実なし、創作による言いがかり
書き起こしを読んで、町山智浩氏の批判をもう一度見てみましょう。
三浦瑠麗さんはワイドナショーで発言する際、関東大震災で朝鮮人がデマで虐殺され、アメリカで大戦中に日系人がスパイとされて収容所に入れられ、今、イスラム系の人々がテロリスト扱いされていること、それに自分の発言で韓国朝鮮系の子どもたちがどんな辛い思いをするか少しでも考えたのだろうか？
— 町山智浩 (@TomoMachi) February 11, 2018
しかも情報ソースは５ちゃんねる・・・
内容のすべてが発言内容には無かった過去の事案で構成され、スリーパーセルの存在を「デマ」と断定しているのだ。また、町山智浩氏は、普段自分が解説している実話に基づく映画でのスパイ描写を「差別」と批判していただろうか？
大阪と北朝鮮を語ること自体を差別と決めつけるのは、逆に大阪や北朝鮮の人々を下に見る過剰な擁護になっている。
このスリーパーセル発言を取り上げたBUZZAPも、内容は全編が創作で三浦瑠麗氏が発言をしていない別の事案を延々と書き立てている。
そもそもタイトルに「風説の流布」などと書いているが、風説の流布とは金融商品取引法で有価証券の価格を変動させる目的の虚偽情報を差し、その他では経済的信用を貶める信用棄損罪・業務妨害罪で稀に使用されるが、誰の経済的信用も落ちていないし業務も妨害されていない。
タイトルという入り口から根本的にデタラメと断言してよい。
そもそも北朝鮮に限らず世界中どこの国にも工作員が存在していることは歴史が証明している。三浦瑠麗氏が批判される一因として「根拠」を求める声もあるが、根拠がなければ動かない警戒しないという考えは日本がスパイ天国と揶揄される原因でもある。
大阪は在日朝鮮人が多いからスリーパーセルについては言及しないというなら、それは善意ではなく大阪だけをテロ防止策から除外する差別ではないだろうか？
いずれにしても、三浦瑠麗氏は「大阪は朝鮮人が多い」と発言しておらず、関連発言すらしていない。
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