解説!TBS『報道特集』の立花孝志叩きは放送法に違反か 千葉県知事選投票日前日の放送も林官房長官は事実上の容認?【KSLチャンネル】
16日に投開票が行われた千葉県知事選を巡り、TBS「報道特集」が投票日前日の15日に候補者であるNHKから国民を守る党の立花孝志党首を批判する番組を放送したことについて、林芳正官房長官は17日の会見で「虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害しない限り、放送番組を編集する自由を妨げるものではない」という公選法の条文をもとに事実上容認する考えを示しましました。
放送法では抵触する可能性
確かに公職選挙法第151条の3であれば、虚偽事項や事実を歪めたことを証明するのは極めて困難で、この法律でTBSを裁くことはできないでしょう。
一方で、放送法はどうでしょうか?
林官房長官は「放送法は放送事業者の自主自律を基本とする」として今回の報道特集を問題視していませんが、一般的に放送内容で違反が疑われる事案としては第4条があります。
第4条の2「政治的に公平であること」
第4条の4「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」
これに15日放送の報道特集が全く抵触していないかというと甚だ疑問です。これらの条文は選挙中においても公平性が求められる根拠となっています。放送の目的が選挙報道でなかったとしても、特定の候補者だけを取り上げればそれが有利不利となることは明白で、他局を含め過去の放送で例のないことです。
ここでポイントなのが、立花氏の側に立って「不利な放送をされた」ということに固執してはいけないということです。悪名は無名に勝るということを利用してきたのが立花氏であって、結果的に有利となったという見方もできます。要は放送法が求めているのは公平であることであって、有利か不利かは問うてないということです。そういう意味で特定候補を取り扱ったことは有利不利を問わず公平ではなかったということです。
放道特集を擁護する人たちは「内容が事実であり、特筆して取り上げるだけの根拠があった」という趣旨の話をしています。これは確かに一理あって、放送法で求められる公平とは量的公平ではなく質的公平だからです。これだけの騒動になっているのに、立花氏の行動を取り上げなかったとすると質的公平性の観点から、むしろ放送法に抵触するという解釈も可能です。
ここからは個人的な見解となりますが、立花氏の行動は特筆して取り上げるだけの価値はあったと思います。必ずしも報道特集が投票日前日に取り上げることを放送法が妨げるものではないという見解は理解できます。
しかし一方で、その放送内容が異なる意見も多くの角度から取り上げることを求めた第4条の4に適うものかといえばそれは違うでしょう。立花氏を敵視、それどころか悪魔化する批判一辺倒のものです。番組側の明らかな主観をもって構成されたもので、客観性のかけらもなく手前勝手な正義感を振りかざしているように見えます。
しかもこれを襲撃事件の翌日に放送しているのですから、テレビという圧倒的な影響力、いわば権力を行使する責任感も思慮深さも全く感じられません。これをもってTBSを停波しろなど極端なことは言いませんが、少なくとも不適切な放送で放送法の趣旨に反するという政府の見解は欲しいところです。
まあ、その見解を示したらまた野党が、放送への介入だと大騒ぎするんでしょうけど、これを放置したらテレビが政権交代を起こしたとされる椿事件の再来です。