フジテレビのテラハ検証報告「スタッフの指示・強要は確認されなかった」とにかく木村花さんがキレていたと主張、第三者委員会も設置せず

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 プロレスラーの木村花さんが、フジテレビ「テラスハウス」の出演で誹謗中傷を受け自殺したとみられる件でフジテレビは31日、第三者委員会を設置しないまま内部調査の検証報告を公開した。

 検証報告では、番組関係者やスタッフの言い分だけが延々と記述され、問題となった「コスチューム事件」についても、スタッフからの指示ではなく、とにかく木村花さんが怒っていたというスタッフの証言が列挙され、まるで木村花さんの自己責任と言わんばかりの内容であった。
 さらに、木村花さんの母親や出演者が「ヤラセ」と取れる内容を証言し、一部報道ではLINEのやり取りが公開されていることに関しては具体的な説明もなく、ただひたすら他の報道の誤りを指摘し、それらもすべてスタッフが否定しているという理由ばかりで検証と呼ぶには程遠いものだった。
参考:「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」検証報告(PDFファイル)

第三者委員会を設置せず局側の主張中心

 検証報告では第三者委員会の設置をしなかった理由について以下のように説明している。
 少し長いが皆さんもよく読んでみて欲しい。出演者やスタッフが外部の人間には語りたがらない可能性だの、プライバシー保護だのと延々と言い訳してるが、これが通るならどんな案件でも第三者委員会の設置が不適切ということになる。

 この検証の目的は、事実関係の調査とそれを踏まえた今後の番組制作への提言と考えています。これを踏まえ、今回の検証調査は、社内の責任者らを中心とした内部調査に、複数の法律事務所の弁護士らに参加を依頼し、また、精神科専門医、SNS対応の専門家の協力を得て行いました。
 まず、本件で、出演者が亡くなられたことの重大性は明らかで、これを厳粛に受け止めており、慎重な調査を踏まえ客観的視点から調査を行うべきと考えております。
 しかし、事実調査について、これを詳細かつ迅速に進めるためには、外部の独立委員のみの第三者委員会では、調査対象である番組関係者等が、発言を控えたりする懸念があり、積極的な証言を促すためにはむしろ、番組制作の事情に通じた社内の責任者らを中心とした内部調査が望ましいと考えました。
 さらに、検証における聞き取りの対象となる制作スタッフや出演者の中には、木村花さんが亡くなったことに強いショックを受けている者が複数名おり、外部の独立委員による聞き取りを行った場合、過度な精神的負荷を強いることが懸念されるとともに、却って適切な証言を得られなくなる可能性もあると考えました。
 そのため、本件の検証においては、内部調査を中心としつつ、検証の過程で、弁護士にも参加して頂き、検証の精度および充足性、妥当性、信頼性について確認しながら、実施するとともに、さらに、出演者のケアに関わる事項については精神科専門医、SNSへの対応についてはインターネット上の誹謗中傷対策の専門家の協力を得ながら検討を進めており、これにより十分な客観性、公平性を確保しているものと考えております。
 なお、検証結果の開示範囲ですが、故人ならびにその他の関係者など、制作スタッフ以外の方々の音声記録、通信記録、証言等が多数含まれております。こうした内容を弊社が一方的に公開することは、これらの方々のプライバシーを損なうだけでなく、名誉及び声望を害し、或いは社会的評価に影響を与えるなど、弊社が想定し得ない事態が惹起されることも懸念されます。したがって、これら内容については、やむを得ない場合を除き、開示することは適当でないと考えております。

 この検証報告を読んだ筆者の感想は「卑怯」の一言だ。フジテレビと番組制作側の言い分を羅列しただけの資料を『検証報告』として公開してしまうような認識には呆れる。炎上についても木村花さんに理解を示しながらも、とにかく木村花さんが怒っていたという証言ばかりで、胸糞が悪くなるだけだ。

 自分たちが制作して放送した内容と、そもそもの「リアリティ番組」としての問題点には反省の色もなく、ただひたすら「反応したネットが悪い」と言いたげで、炎上を企図していたという指摘を否定する論拠は何も示されていない。

 報道されている「ヤラセ疑惑」についても、第三者委員会を設置して再検証するべきだ。問題発覚後の出演者の振る舞いなどを見ても、内部での結束力が高まる一方で外部からの指摘に向き合っているようには思えない。また。1名の出演者がフジテレビの聞き取りに応じていないとのことだが、その人物がヤラセを告発した人物であればこの検証報告の全てが信用を失う。

 フジテレビの「責任逃れ」という誹りは免れないだろう。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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