【検証】奈良公園のガイドは元官邸記者でヤラセ?映像で確認してみると…12年前からデマ拡散、経緯とテレビ朝日の失敗【KSLチャンネル】
※日本テレビが被害者救済のために本人特定不可にしたスクショにも著作権侵害を訴えて削除要請しているため関連画像の一部を削除しました
奈良公園で鹿が外国人観光客に殴られたり蹴られているという問題について「攻撃的な観光客の方は基本的に見かけない」とテレビで証言した女性が、局員がガイドを装いインタビューに答えているというデマに晒されています。
一連の騒動と過去のスクショ含め、すべて調査が完了したので報告しておきます。(スクショの引用では、こちらで画像処理をしています)
検証 12年前のスクショは本物か?
今回、日本テレビのインタビューを受けた女性と、過去に話題となった「官邸記者と火災現場の一般人が同一人物」と言うスクショの女性が同じではないかということがネットで指摘され、さらに一部の自称識者が「元テレ朝の官邸担当記者で現在は共同通信の記者のTさん」などと、それっぽい情報を付け加えたもんだから、似ても似つかない両者を同一人物だと信じた人が多いようです。

出回っているスクショを見ればわかるはずなんですが、テレビ朝日官邸記者と奈良公園のガイド女性は全くの別人で見た目も年代も違います。動画で確認しても奈良公園の女性は関西訛りがわかりやすく、官邸記者は標準語です。声も違います。ちなみにテレビ局の動画は、引用であっても通報によりチャンネルBANが相次いでいるので、一切ここでは使いません。
奈良公園のガイド女性に関しては、ネットの誹謗中傷で心身が衰弱しているということを、勤務先である奈良の歴史ナビゲーター会社がXで報告しています。相手の出方によっては刑事事件化もありえるので、拡散した人は謝罪の上で削除しましょう。
ここからは検証と調査の結果です。
テレビ朝日官邸記者と奈良公園ガイドの女性が別人であることは、その見た目と官邸のスクショが12年前のもので年代も違うので、冷静になればアレを同一人物だと思える人は少ないでしょう。
まず12年前のスクショですが、これは2013年2月の北朝鮮の核実験強行を受け官邸入りした当時の岸田文雄外務大臣にぶら下がるテレビ朝日の記者のスクショと、その翌月の2013年3月に赤坂のマンションが火災となり、高齢の女性が意識不明の重体となっているというニュース映像で、インタビューに答える女性のスクショです。この火災現場の女性は官邸でのテレビ朝日記者と同一人物で間違いありません。


動画が一部残っているので確認しましたが、手前の後ろ姿が現場レポートをする市川寛子アナウンサーで現在は広報局広報部にお勤めの方です。インタビューを受けているのは官邸にもいたテレビ朝日の記者で、たまたまこのマンションに住んでいたようで、同じマンションに住む高齢者から聞いた話を市川アナに伝えている様子です。
よく見てもらえばわかりますが、火災直後で電気や火が使えないとしても、年頃の女性が室内でビジネス用のコートを着ているわけがありません。これは火災現場の住人とはいえ記者として現場に臨場しているということです。
テレビ朝日の致命的ミス
ではなぜ、ヤラセでもなんでもないニュース動画が話題となったのか。調べてみると当時流行った恣意的まとめサイトがヒットします。これは匿名掲示板に立てられたネタスレッドを、あたかも真実であるかのようにコメントを恣意的にまとめた収益目的のサイト群です。

(まとめサイトや匿名掲示板は醜悪なのでここにはURLを貼りません)
元のスレッドは完全な「ネタ」であり、ニュース映像にテレビ朝日記者が出ていることを面白がり、同一記者の出ている他の動画を見つけてきて、それがヤラセであったかのようなストーリーを作っているのです。当然ながら、これが現場マンションに住んでいた記者への取材動画であるという指摘もあるわけですが、そういうコメントを除いて否定と肯定を織り交ぜながら恣意的にまとめているわけです。
これが12年経っても繰り返し利用されているわけですが、そうなった理由にはテレビ朝日の致命的なミスが絡んでいるようです。なぜなら、火災のあった現場を俯瞰で写しながらレポートし、テレビ朝日記者の住んでいるマンションの自室と思われる場所を放送すると、当該局員の住所をテレビ朝日がセルフ開示したことになるわけです。記者の住所を晒すなど命に関わることで、この件が話題となっていることを知ったのか、テレビ朝日はすぐに動画を記者の映っていないバージョンに差し替えていたことがスレッド内でも語られています。
その動画も2週間後に記事ごと削除されていますが、これは定期的な自動削除かもしれません。
(アーカイブから削除した履歴が確認できる)
要するにテレビ朝日としては、この件に触れると女性記者の住所を再拡散することになるわけです。YouTubeにコピー動画を上げているチャンネルも、著作権侵害の通報により削除されているので、おそらく引っ越していると思われますが、この物件はいまでも分譲や賃貸が行われているので、テレビ朝日としても所有者に迷惑をかけないように対応しているものと思われます。
鹿を守って人間を傷つける矛盾
今回の奈良公園の女性も、日本テレビから十分な説明を受けておらず、ただ外国人観光客への印象と鹿と観光客の距離について個人的に知る限りの範囲で述べただけで、外国人観光客が鹿を加害しているという話を真っ向から否定するものではありません。
勤務実績が違うという指摘もあるようですが、勤務先によるとバスガイドやホテル従業員として周辺ガイドをしており、この会社に入ってから2年目というだけで、10年ほど奈良公園を観察しているのは事実のようです。
日本テレビの放送の仕方に重大な問題があったと思われますが、だからといって本人を特定しようと奈良公園内で聞き込みをするような迷惑インフルエンサーを称賛するのは違うでしょう。これによって奈良が好きで観光ガイドに関する仕事を10年も続けた女性が現場に立てなくなっているわけです。
個人的には、外国人観光客の増加に伴い、日本人の感覚では到底ありえない鹿への扱いがあったのは事実だと思ってます。鹿に角で突かれたり押し倒される怪我人のうち、外国人が8割を占めているという事実も何らかの因果関係があると見るのが妥当でしょう。
そういう一部の外国人観光客から鹿を守ろうという人たちが、なぜ奈良公園でまじめに働く女性を傷つけて人前に出ることさえ恐怖を感じるまでに追い詰めているのか。本末転倒どころか、人間への加害行為で注目を集める人間が「鹿さんを守れ」といって、それを称賛できるのだろうか。
総裁選でも奈良公園の鹿加害問題は話題になっていることだし、今後は適切な判断と行動ができる人たちが問題の解決に乗り出してもらいたい。無論、鹿を足蹴にしたり手で払いのける、ゴミを与えるという行為を加害行為にカウントしてこなかった人たちは論外だ。迷惑インフルエンサーと言われる彼も、そういう行為にスポットを当てた功績は認められるべきでしょう。
それでも彼はやり過ぎた。今回の女性被害者に詫びる気持ちがないならば、デマをばら撒いた人たちも含めて加害側の人間として指弾せざるを得ない。
クライシスアクターなどという陰謀論者の言説を鵜呑みにし、またそれを収益目的で動画にするチャンネルを見ている人たち。何を信じるかは貴方の自由ですが、今回のように奈良が好きで一生懸命働いている一人の女性を、ここまで追い詰めておいて、それが真実だと胸を張れますか?










































