これで逮捕?立憲支部長に”ヤバい人”と投稿した男を逮捕!国民民主党では女性議員が中傷被害で法的対応へ【KSLチャンネル】

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 立憲民主党の支部長(当時)を侮辱した41歳の男が逮捕されました。また国民民主党では現職の女性議員に対して支持者から不適切な投稿があり、法的対応に移行するというトラブルも発生しています。この件に関しては後半に解説します。

 MBSの報道によると去年9月27日、立憲民主党衆議院兵庫10区支部長(当時)の隠樹圭子さん(54)を念頭に置いて、Xで自らのアカウントから「人としてヤバい人認定をしてます」などと投稿。隠樹さんを公然と侮辱した疑いということです。
参考:「人としてヤバい人」X上の投稿で立憲民主党支部長を侮辱か 41歳会社員を逮捕 兵庫県警 | MBSニュース

ヤバい人で逮捕されたわけではない


 この報道に対しては「ヤバい人の一言で逮捕されるなら、高市総理や与党の議員はもっと酷い中傷を受けている」と過剰な対応ではないかと疑問視する声が上がっています。また兵庫県政を巡る斉藤知事の周辺や、参政党の演説現場での罵声はもっと酷いという声もあります。

 MBSの報じ方だけを見ればご尤もな意見なんですが、この事件は「ヤバい人」という一言で逮捕されたわけではなく、1年半以上に渡り執拗に事実無根の虚偽内容を投稿し、ストーカーのような粘着を繰り返した結果のようです。
 被害者に対する事実無根の中傷ですので、その内容を詳細に報じることが二次加害につながることから、数ある侮辱表現のなかでも軽微な「ヤバい人」が報道できる限界であったものと思われます。

 MBSの報道で政治家側による言論弾圧という誤解も広がったことで、ご本人が20日になって事実関係を説明しています。

事実無根の内容は、私個人だけでなく、共に活動する周囲の方々にまで及ぶ形で発信され続けていました。そうした方々をこれ以上巻き込むことがないよう、私は慎重に対応してきました。
今回逮捕された人物は、過去に政治家を志す相談を受け、「弟子にして欲しい」との申し出があり、一定期間、活動を共にした人物です。そのため、あたかも内部事情を知る立場であるかのような装いで、事実無根の内容が長期間にわたり発信され続けました。内容には、事実に反するものだけでなく、人格を否定するかのような表現も含まれていました。

長期間にわたり事実無根の誹謗中傷を受けながらも、私が感情的な対応を避けてきたのは、本人が再び政治家への志を持って歩み直す可能性を、心のどこかで信じたいという思いがあったからです。

 この声明からも分かるように、単にネットで批判されたというレベルではなく、実際の政治活動で知り合った男性からの度重なる侮辱投稿とあって、周辺への実害が出てきたということでしょう。
 被害者はこの声明文で、ストーカー規制法の整備についても言及していて、現行法では恋愛感情その他の好意の感情、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情でなければ警察がなかなか対応できないという現実があります。
 今回のように政治的な関係のもつれから怨恨の感情を持たれたことは同法が適用されませんが、被害の態様としては同じであるため、SNS投稿の内容に侮辱罪を適用したものと思われます。

 MBSの報道とはずいぶんと印象が変わったと思いますが、一方で在宅事件ではなく逮捕し身柄拘束しなければならない理由については疑問が残ります。
 加古川署によると罪証隠滅の恐れなどを踏まえ、逮捕に至ったとのことですが、SNSの投稿であれば証拠を押さえて記録すれば、削除されたとしても証拠能力は失わないはずなんですが、SNS以外になんらかの証拠となり得るものがあったということでしょうか。

 いずれにしてもストーカー的な問題に関しては、警察の対応のまずさで最悪の結果を招くということが相次いでいたので、今回は厳しい対応となってのでしょう。そういう観点から言うと、思想の違う政治家を差別主義者と決めつけて、遊説先にまで押しかけて侮辱的な言葉を浴びせ続けている集団にも、今回と同じような対応をすべきではないでしょうか。

国民民主党でもトラブル発生

 さて国民民主党で起きているトラブルですが、これは1年以上も前に伊藤たかえ参議院議員が被害を訴えていた問題です。親族までもが気に病むような内容を繰り返し投稿していた支持者アカウントが、一度は謝罪し法的対応を見送っていたにもかかわらず、また同様の内容を投稿するようになりました。


 内容としては酷いもので伊藤たかえ議員が女性であることを利用して政治的にのし上がり、党の男性幹部との恋愛感情が伴っているかのような誹謗中傷でした。


 政治を論評する仕事をしているものから見ても、到底看過できる内容ではなかったことから、一昨年の時点で法的な対応をすべきだったとも思います。批判を伴う論評と誹謗中傷・侮辱の境界線は曖昧ですが、性的な要素を含むものは過去の事例からしても言論の自由としては認められず、論評の範囲を超えていることは明らかです。

 国民民主党でこういうトラブルが発生する背景には、推し活というアイドル戦略を基にした考え方があります。今回の加害側の投稿者は女性ですが、投稿内容からは男性幹部が伊藤議員を特別扱いしているのは、そこに女性としての部分や恋愛感情があると思い込んでいるようで、アイドルの熱愛報道を期に過激なアンチになるという事案と酷似しています。
 こくみんクラブという支持者の活動にポイントが付与されるシステムも、結果的に支持者のランク付けが行われることになり、支持者の間で不適切なヒエラルキーが形成されることなどが指摘され、ランキング表示が廃止されています。

 今回の加害側の行為はまったく擁護できるものではありませんが、議員同士だけでなく特定支持者との距離感も露骨なところがあり、支持者の間で嫉妬が生まれる構造は改善すべきでしょう。
 現場で取材していても、セキュリティの都合で聴衆エリアと関係者エリアを分けているのに、一部の支持者だけが議員の直近にいることを許されていたり、議員側からも特別に接触をするという場面をよく目にします。

 これは嫉妬されることを避けるというよりも、セキュリティの観点から支持者を区別するというやり方はやめにしておくべきでしょう。党も大きくなってきたわけだし、与党や野党第一党の幹部クラスの警備体制になることも予想され、そういうなかで特別な支持者がすべてのセキュリティを形骸化させてしまう恐れもあります。

 まあ中傷する人間が全部悪いわけですが、驚いたことに今回の事案で言論弾圧を主張する支持者もごく一部ですがいます。


 なんでも「手は面識のある国民民主党の特別党員であり、こくみん政治塾にも参加されていたコアな支持者で女性」という理由ですが、これが免罪される理湯になるとでも思っているのでしょうか。むしろ伊藤議員からすれば接近可能な人物による侮辱投稿は恐怖だろうし精神的な不安も大きいはずです。
 この支持者は「相手が死ぬかもしれない」と批判していますが、これに対して伊藤議員は「私が死ぬかもしれないとは思わないのですか」と返信をしています。国会議員としてはかなり強い言葉で反論していますが、それだけ家族ともに追い詰められているということでしょう。


 とにかく国民民主党は熱心な支持者によって支えられている一方で、コアな支持者の言動や行動がライトな支持者を遠ざけてしまい、結果的に伸びきらないという傾向にあります。
 今回の事案は伊藤議員個人の問題というよりも、支持者を含めた特別な環境が悪い方向に働いたともいえるので、党として全面的なバックアップと再発防止策を講じるべきでしょう。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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