
参政党が終わるかもしれません。
自民党の高市総裁が衆院議員定数の1割削減に関し、比例代表の45議席を対象とする方向で調整するよう鈴木俊一幹事長に指示しました。
参考:高市首相、衆院比例45減を指示 自民幹事長に、容認論多く:時事ドットコム
さらに先月28日の衆院選挙制度協議会で自民党と日本維新の会は、比例復活の条件となる最低得票率を現行の10%から引き上げるよう提起しています。
参考:比例復活当選「最低得票率の引き上げを」 自民・維新が提起 – 日本経済新聞
参政党は衆議院の15議席すべてが比例ブロック選出で、選挙区を除く比例定数176からのみ45議席減とすると25%減となります。さらに比例復活の最低得票率を引き上げると、2月の選挙で選挙区と重複立候補した候補はほぼ全員が権利を失い、比例単独の豊田真由子さんくらいしか残らないことになります。
参政党は消滅の危機へ
選挙制度改革で小選挙区定数289に手を付けないとなると、選挙区定数289のうち86%の249議席を獲得した自民党は安泰で、比例の定数削減はあるものの選挙区の強さから単独過半数に届きやすく、比較第一党の座は揺るぎないものになります。
一方で、選挙区候補の知名度は低いものの、神谷代表の顔と党の知名度で比例票を稼ぐタイプの参政党は大量の死票となって議席は大幅に落ち込むことになります。
維新も橋下松井の二枚看板だった時はこの傾向にあって、低得票率の比例復活議員が多い政党でした。いまでもその傾向はあるものの、大阪府を中心に選挙区が盤石になったことで、以前ほどの影響は受けないものと思われます。
比例は各党が同じ条件で議席の足切りを受けることになりますが、その切られる1議席2議席の重みは少数政党ほど痛みを伴うもので、れいわ新選組などは今回の選挙で事実上のゼロ議席だったことから、次の選挙で比例で1か2を獲得しようにも山本太郎を選挙区と重複、次に戦えそうな人間を比例単独にしても議席獲得の見込みは、あって1議席でしょう。
少数政党はこれからもずっと小さいままで、すでに一定の規模を持つ大きな政党同士でしか争えない選挙制度となることは間違いありません。参政党はこういう現状を問題視して、全国11ブロックの完全比例代表制を提案しています。
あくまでシミュレーションですが、2月の衆院選を定数削減と最低得票率が引き上げられた基準をあてはめてみました。
まず比例北関東は50万票以上を獲得しているので、比例ブロック単独の豊田真由子さんは大丈夫でしょう。
問題は選挙区に出ている候補者です。今回、重複で比例復活した14人を得票率の高かった順に並べて見ました。
群馬4区 青木ひとみ 22.58%
鹿児島1区 牧野俊一 14.97%
宮城2区 和田政宗 14.74%
東京22区 鈴木美香 14.62%
千葉13区 中谷めぐみ 14.19%
東京15区 吉川里奈 13.13%
大阪7区 石川勝 13.50%
福岡2区 木下敏之 12.98%
山口3区 島村薫 12.82%
石川1区 川裕一郎 12.54%
千葉4区 工藤聖子 11.26%
愛知5区 渡辺藍理 10.74%
兵庫6区 谷浩一郎 10.72%
岐阜3区 伊藤恵介 10.48%
現行の制度での最低得票率は10%なので、いまでも参政党は比例復活の権利を得るのが厳しいことがわかります。
選挙制度改革で、この最低得票率をどこまで引き上げるのかは未定ですが、仮に20%にすると青木ひとみさん以外は全員が権利を失います。15%でも同じで生き残るのは青木ひとみさんだけです。
こうなると少数政党は比例単独を多く立てないと、この最低得票率の足切りにあって死票を増やすだけです。しかし選挙区に候補を立てないと比例票は稼げないので、少数政党の選挙区候補は当選見込みのない比例掘り起し要員として玉砕するために立候補するようなものです。
最低得票率に届かず足切りされた比例復活枠は、惜敗率の順位で繰り上げが行われますが、参政党の場合はそもそも惜敗率の順で並べても得票率で基準を満たす候補が少ないので、比例名簿不足で他党候補が繰り上げになる可能性があります。2月の衆院選ではチーム未来が比例枠を獲得しながら、得票率が10%に満たない候補ばかりで、2議席を維新と中道に分ける結果となっています。
ますます新興政党は伸びる余地を失うという構図なわけです。
無論、参政党は選挙区での得票率を前回よりも大幅に上げているので、次の選挙では足切りにはあわないということもことも考えられますが、いずれにしても現状で大きい政党に有利で少数の政党に不利であることは間違いなく、対策を迫られることになるでしょう。
比例復活制度への批判も
少数政党に不利で参政党などが反発するのは必至ですが、一方で選挙区落選した候補が比例復活できる制度に疑問を持つ人も多いようです。
小選挙区内で3人の当選者が出てしまうケースや、沖縄や佐賀のように県内全選挙区の全候補が当選し、落選者が一人も出ないという制度のバグも発生しています。
低得票率での比例復活に対する批判も多く、自民党では高い得票率を得ながら比例復活できなかったケースも度々発生します。その一方で、低得票率の少数政党候補が比例復活をしてしまう歪な構図は、有権者の意思を反映しているとは言えないでしょう。
参政党の比例復活14名も、ほとんどが選挙区当選には遠く及ばない得票率で、選挙区内3位で当選しています。選挙区内で当選者と競り合った2位の候補が比例復活できず、2位にダブルスコア以上で負けている3位が復活当選するのはどう考えてもおかしいでしょう。
政党の比例名簿内での順位が、単純に選挙区内での惜敗率で決められる一方で、議席の配分は複雑なドント方式で振り分けられるため、選挙区での結果に見合わない当選者が出てしまうわけです。
近年では、れいわ新選組の大石晃子や八幡愛が、選挙区で惨敗しているのにドント方式で比例復活枠が割り当てられ、我が物顔で国会で吠え回ることが多くの批判を浴びましたが、こういうことが起きないように、政党ごとの名簿内順位ではなく、ブロック内の全候補で惜敗率順に並べて定数を割り振ればいいのではないかと思います。
これがベストのようにも思いますが、おそらく惜敗率のブロック内上位は自民党と民主党系が独占しているので、これはこれで少数政党に不利です。
現行制度自体が、少数政党への救済策のようなもので、どうしても低得票率の候補が当選してしまうものなんですが、これを変えてしまおうというのが、いまの自民維新なわけです。
比例に偏重する公明党が連立から離脱し、もとから議員定数削減を訴えていた維新が連立入りしたことで、一気この流れになっているわけですが、多数決で物事が決まる議会においては、選挙制度改革が与党に有利な制度になるのは避けられません。
政治資金を政党助成金中心にして、各党が政治資金を集めることを抑制しようという流れになった時も、いまは泡沫政党に陥った党の党首にも話したことなんですが、新興政党や衰退した少数政党が絶対に浮上できない制度設計はおかしいわけです。
現行の小選挙区制が導入されたのも、政権交代が可能な二大政党制を実現するためと言われていますが、この時点で少数政党は選挙区当選の見込みが無くなったので、その代わりに救済策として比例復活枠を採用してるわけです。
その救済策を議員定数削減の対象にしてしまえば、これまで以上に新興政党や少数政党が議席を得ることが難しくなるということです。
与党と民主党系の二大政党制ならまだしも、民主党系が衰退した状況で新しい政党が誕生することもできないなら、権力が暴走し始めたときに止めることもできません。ましてやそれが選挙制度の問題であれば、今の与党は永遠の権力を手にすることになります。
これはオール野党で阻止に動いた方がいいと思うわけですが、皆さんはこの選挙制度の問題についてどう思いますか?ぜひコメントでご意見をお聞かせください。


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