杉田水脈さんが岸田自民から公認されず引退?ちょっと誤解されているようなので解説しておきます【マガジン223号】

KSLマガジン



 自民党の杉田水脈衆議院議員が、次期衆院選で自民党に公認されず事実上の引退を迫られているという情報が出回っています。過去のSNS投稿が札幌法務局から人権侵犯の事実があったと認定されたこともあり、岸田政権が厄介払いしたかのようなうわさまで流れていますが、これは正確な情報ではありません。

 まず杉田水脈氏の処遇を巡って自民党が苦慮していることは容易に想像できますが、そもそも杉田氏が衆議院選挙での比例ブロック単独候補に公認されないことは厄介払いでも何でもなくルールの問題です。自民党には比例単独での公認は2回までに極力抑制するという内規がありますので、2021年の衆院選が最後となることはルールとして決まっていたのです。安倍晋三元総理の力添えがあったのは間違いないですが、杉田氏は自民党からの優遇をルール内でマックス使い切っているのです。

 安倍元総理の死去に伴う山口4区補選への出馬が噂されたことがありますが、これは自民党の内規では選挙区で1度でも当選すれば比例単独回数制限がリセットされることになっていることから流れた噂です。旧山口4区はいわゆる10増10減で旧3区と統合されることが決まっており、新区割りの新3区公認を巡って激しい党内抗争も危惧されていました。それが杉田氏なら元から比例だったので回数リセットさえすれば問題なく比例単独に戻ることができ、新3区を巡って林芳正氏と揉めることもありません。
 ご本人はこの噂を完全に否定しましたが、安倍元総理の後継となった吉田真次氏が旧4区を含む新3区に選ばれず中国ブロック比例に回されたことで不穏な空気が流れたことを考えると、杉田氏の4区擁立はシナリオとしてはアリだったのかもしれません。

選挙区事情で鞍替えが最善策か?

 2回以上の比例ブロック単独候補が原則認められないことは杉田氏に限らない自民党の内規であり、岸田自民の厄介払いでもなく党のルールだったのです。一方で、人権侵犯の認定を受けたことでメディアから「議員としての資格」にまで批判が及び、比例ブロック単独候補以外の選択肢や参議院への鞍替えも認められず引退を迫られているという情報については、ご本人が語らない限り事実関係は分かりません。ご本人以外から引退など去就が伝わると、支援者などの不信を招くことになるので、あくまで憶測として扱うのが適切かと思います。

 このように、現時点で杉田氏が自民党から切られたという事実は確認できず誤解だけが拡がっているわけですが、では杉田氏を今後どうするのかというと自民党として頭の痛い問題となっているのは否定できません。次期衆院選には出馬せず、参議院比例への鞍替えが現実的ではないかと言われていますが、これは中国ブロックの選挙区事情を考えると最善策と言えるかもしれません。

 杉田氏が参議院比例に鞍替えすることが最善策となる選挙区事情を詳しく解説します。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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