【徹底解説】蓮舫は当選無効?署名に賛同者が殺到!公選法違反となるポイントとインターネット選挙の誤解【KSLチャンネル】

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 立憲民主党の蓮舫さんが、参院選の投票日当日に自身への投票呼び掛けととれるSNS投稿を行ったとして、当選無効を求める署名が開始され多くの賛同者を得ています。
オンライン署名 · 蓮舫の公職選挙法違反による当選無効を求める – 日本 · Change.org

 しかし、ちょっと公職選挙法を誤って解釈して騒いでいる人も多いようで、どの部分が違反で、どの部分は違反ではないという解説をしたいと思います。

バナーやデザインは投票日もそのままでOK


 まず結論から言うと、蓮舫さんがXのアカウント名に「2枚目の投票用紙!」と設定したまま投票日当日に新規の投稿を行ったことは、厳密には違反と言えるでしょう。どう違反しているかは後ほど解説しますが、一方で蓮舫さんがこの投稿を行った当時は、Xカウントのヘッダーに明示的な投票呼びかけの画像が設定されたままで、こちらの方が悪質で告発の対象にすべきではないかという声があります。


 これに関しては完全に誤りで、平成25年の改正公職選挙法で過去に設定されたものであれば投票日当日やそれ以降も残しておくことができると明文化されています。

 公職選挙法142条の3第2項
 選挙運動のために使用する文書図画であつてウェブサイト等を利用する方法により選挙の期日の前日までに頒布されたものは、第百二十九条の規定にかかわらず、選挙の当日においても、その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に表示させることができる状態に置いたままにすることができる。

 要するに新規の投稿でなければ選挙期間中に設定されたウェブサイト等の内容は削除する必要はなく、それを有権者が投票日当日に閲覧したとしても、過去の活動を確認したに過ぎないということです。

 これは平成25年のインターネット選挙解禁時にも、総務省のガイドラインで説明されています。投票日当日に閲覧可能であることが、選挙運動ができる期間を規定した公職選挙法第129条に違反する恐れがあるため、削除せず閲覧可能としてよいという特段の規定を設けたということです。
参考1:総務省|(1) インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等 PDF版
参考2:ガイドライン(第一版:平成25年4月26日)[PDF]

 例えるならば、
【合法】過去に投稿したウェブサイトの内容を受信者が閲覧する
→選挙中に配られた政策ビラを投票日当日に有権者が参考にすること同じ

【違法】投票日当日に新規投稿された内容を受信者が閲覧する
→投票日当日に配られた政策ビラを有権者が参考にすることと同じ

 ここまで明確に条文で「表示させることができる状態に置いたままにすることができる」と書かれているのに、執拗に違反の疑いをかけている方は、その行為自体が名誉棄損にもなりかねないので今後は考えを改めましょう。

投票日当日の新規投稿は違反

 ここで違反の部分に関して解説したいと思いますが、Xアカウントの表示名が「れんほう2枚目の投票用紙!」となっていたことは、このことだけをもって投票の呼びかけがあったとは言い切れないのですが、候補者名と投票の方法を明示することは十分に投票呼びかけを想起させているとも言えるでしょう。
 過去に設定されたものだから、投票日当日に変更する必要がないと主張される方もいますが、設定されたバナーやデザインは投票日当日に変更されたものでなく、閲覧するものが過去の投稿を確認したに過ぎないのに対し、新規投稿は、投稿者が投票日当日に行う行為によって増えたものです。新たに行った運動であり、量的にも増えているので違反と判断される可能性が高いわけです。

 そもそもこれが投票の呼びかけでなかったとしても、禁止されているのは投票日当日の投票呼びかけだけでなく選挙運動そのものが禁止されているということがポイントになります。
 過去の判例から選挙運動とは「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされています。
 蓮舫さんの投稿が直接的でなくとも「間接に必要かつ有利な行為」と解することは難しいことではなく、候補者名と投票方法を新たに投稿した行為は、投票日当日の選挙運動と言えるでしょう。

投票率アップの投稿や落選運動は?

 本来は選挙に関係のない投稿であっても、候補者本人や陣営の関係アカウント、政党名が入ったアカウントの更新は、それ自体が名前を売る行為であって投票日当日の選挙運動となる恐れがあるので控えるのがインターネット選挙解禁以降の常識でした。
 これが近年、投票率アップの運動だと主張し、投票日当日に候補者本人や関係者が投票の呼びかけをする行為が公然と行われています。各地の選挙管理委員会も、選挙に関わった人の投票呼びかけは違反の恐れがあると判断しています。
 また落選運動として投票日当日に参政党の批判を繰り返したアカウントが多数見られましたが、投票日当日に運動できるのは他の候補の応援や支持を表明していないアカウントのみで、応援や支持表明していたアカウントの行う落選運動は他の候補に当選を得させるための運動と解され違反となります。
 特に参政党は、全選挙区と全国比例に候補者を立てていたので応援した候補は必ず対立候補となります。

 ちなみに蓮舫さんの当選無効を求める署名ですが、署名の数で捜査機関や司法の判断が変わることはないので、ちょっと冷めた目で見ています。違反をしても捕まらなければ何をやってもいいという昨今の風潮に対し、民意を突きつける一つの手段くらいに考えておいた方がいいでしょう。
 おそらく当選無効にはならないし、送検されっとしても相変わらずの甘々判断になる可能性は高いです。それでも蓮舫さんは他人に対しては厳しい態度を取ってきた人なので、自らを律する姿勢を見せてほしいものです。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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