【危険】国民民主党公式チャンネル「永久BAN」の可能性?「こくみんクラブ」でのP報酬は規約違反、公選法と倫理問題も【KSLチャンネル】

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 これ大丈夫なんでしょうか?

 国民民主党が15日にβ版をリリースした『こくみんクラブ』が物議を醸しています。SNSではスパム行為と判定される規約違反や、公職選挙法のグレーゾーンを突くような手法も見られるので詳しく解説したいと思います。

 党員資格のひとつ「ファン」に登録した支持者が、切り抜き動画の作成やSNSのシェア等の活動を行うとポイントが付与され、将来的にはアイテムと交換もできるという試みです。ポイントによりランキングも設定されています。
参考:【お知らせ】こくみんクラブβ版(ベータ版)が開始! | 新・国民民主党
 登録した先の画面などはクローズドな情報なので、ここでは共有しませんが、ユーザーインターフェイスはネットゲームなどのリワード獲得画面と同じような感じです。

公選法と倫理の問題


 アイテムは対価性のないものになるそうで、公職選挙法には抵触しないようリーガルチェックも受けているようですが、政治活動や選挙活動にインセンティブを付与することへの倫理上の問題はあると思います。
 例えば選挙に関する活動であれば法律上は無報酬が原則なのですが、対価性がなく買収にあたらない範囲であっても「何かを得る」を前提にした活動は、純粋な選挙運動とは言えません。対価性のないウェブ上のポイントであっても「投票すればポイントを付与します」と募集をかければ倫理的な問題で批判を受けるでしょう。やってることはこれと同じです。

 活動のなかには「コンテンツ制作部」というものがありますが、これも公職選挙法で原則無報酬で、対価を支払う場合は陣営から詳細な指示をだして製作者は作業のみを行うことが求められています。ここに対価性はなくともポイントを付与することを条件に、得票を得る目的の応援動画を作成させるのは、作為的に物量作戦をかけるようなもので、公職選挙法の趣旨に反しているのではないでしょうか。

 今年の夏にも党への寄付を募る『1億円プロジェクト』で大炎上しています。厳密には販売にあたるリターン型のクラウドファンディングですが、500万円支援のリターンとして国会を傍聴する権利を設定して大炎上しています。
 憲法で保障された国会を傍聴する権利で、議員紹介の枠も限られている傍聴券を金銭の多寡で譲渡する行為に批判が殺到して、後にこれを修正しています。この時の反省で何も学ばなかったのでしょうか?

 また未成年者の選挙運動も公職選挙法で禁止されているので、登録時の年齢自己申告に基づいて一部機能を制限していますが、本人確認があるわけではないので違反を防ぐ体制が万全とは言えません。勝手に運動を行われたという言い訳もできそうですが、インセンティブを条件に募集して行わせた未成年の選挙運動に、党が関与していないとは言えないでしょう。

 これらの懸念点は通常の活動でも同じことが言えるわけですが、やはりポイントインセンティブで募集しているということが、通常の任意の活動とは異なるので違反した場合の党の責任は免れないでしょう。
 また選挙活動の時期についても、国政選挙と違って自治体選挙では党公認候補が通年どこかで戦っているわけで、常に選挙運動に当たる行為を意識して運営する必要があります。運営上は政治活動期間と選挙活動期間を切り分けることができず、ユーザーの行動や制作物のチェックも行き届かないでしょうから、違反が発生しても検知できないし防ぐ手立てもないでしょう。
 国政選挙のない時期を狙ってβ版をリリースして、公選法の問題など様子を見ながら実験的に運用しているつもりなら、それは間違いです。

SNSと公式チャンネルがBANされる?

 さらにもうひとつ、これは決定的な不備だと思うんですが、Xの規約では報酬を付与して「いいね」「リポスト」などさせたり、人為的にエンゲージメントを高めたり交換する行為が禁止されています。公職選挙法よりも報酬の定義は広いものと思われ、規約に反する可能性が極めて高いわけです。

 懸賞などの抽選によるインセンティブは運営が見逃していると言われますが、操作によりポイント報酬が約束されているものは例外としては認められないでしょう。無論、これらの行為を行ってもXの運営側が違反を検出することができない可能性もありますが、公党としてルールを守らないというのは如何なものかと思われます。

 YouTubeライブへの「いいね」にインセンティブを付けるミッションも確認されていますが、これは完全にアウトでポリシー違反により公式チャンネルの永久BANも考えられます。こくみんクラブのミッションにより異常なエンゲージメントして検出され、運営からも目を付けられるでしょう。
 ポリシー違反によるチャンネル削除で明確な違反であれば、弁明による復活申請も通らない可能性が高いです。これについては早急に対応しないと、ライブに不自然な「いいね!」やコメントが殺到して不正検知されてからでは遅いので、ミッションそのものの内容を全面的に見直す必要があるでしょう。

ランキングで支持者が先鋭化

 この『こくみんクラブ』は15日にβ版がリリースされたときにはほとんど話題にならなかったのですが、読売新聞オンラインが27日に報じてから話題として浮上してきました。その際に読売が「参政党に後れを取ったから」「参院選でSNS上の検索数や動画再生数で参政党に先行されたことが契機となった」と記述していたことに、党広報委員長の伊藤孝恵参議院議員が事実ではないと否定していますが、問題は参政党を意識したかどうかではなく、インセンティブ付与や党員を争わせるような行為だと思います。


 計画段階でかなり議論されたそうですが、これにより一部のラディカルな支持者が、さらに先鋭化する危険性は否定できません。いまでも幹部や所属議員による特定支持者への「特別待遇」とも言える距離感は問題視されています。
 この特別な支持者らが外部からの指摘に対して、極めて攻撃的な反応を示してライトな指示を遠ざけているとも言われています。そこにポイント付与によるランキング付けまでやると、支持者のヒエラルキーを党が明文化するようなもので、事態はさらに悪化するでしょう。

 現状のβ版でもランキング上位はSNSでよく見るコアな支持者ばかりで、所属議員らも認知しているであろうアカウントがズラリと並んでいます。またアンチが相当数入っているようで、ランキング画面をスクショしてSNSで誇示している有名アカウントもいて、ポイントの付与方法やシェアの方法などシステム面でも規約面でも考え直した方がいいでしょう。
 任意で頑張ってくれていた人たちに、なんらかの証明を与えたいという気持ちも理解できますが、党勢拡大というものはライトな新規支持者を横に広げるもので、縦のラインを強化しても敷居が高くなるだけでしょう。

 ネット上ではすでに、特定の攻撃的なアカウント名をあげて警戒する動きもあって、現状で喜んでいるのは既存の支持者だけで、選挙で浮動票となる無党派層からはドン引きされているようです。
 それでも熱心な支持者らが、さらなる情報拡散に寄与してくれると確信してのβ版リリースでしょうが、β版だろうが正式版だろうが動き始めたら社会に影響を及ぼすのは同じです。なにか法に抵触したり人に迷惑をかけてから「β版です」と言い訳しても通用はしません。

参政党に見習うところ

 
 あの参政党ですら、と言ったら失礼ですが、国政に挑戦するより前の初期段階で、党員獲得などのランク付けはマルチ商法やカルトと誤解されるという理由で廃止しています。伊藤孝恵さんは否定していますが、もし参政党を参考にしているならば、見習うべきところはそこではなく日常の活動です。
 参政党は早い段階で、ネットでの拡散や街頭へ大勢を集めることよりも、日頃の街頭活動やビラ配りなど、人と人が接する活動を重視しています。支持者同士が寄り合っても新規は一人も増えないので、参政党を知らないひとにこそビラを配り興味を持ってもらうことに汗を流しています。
 これがあったからこそ、選挙で驚異的な爆発力を見せたわけです。どんなにネットで種を蒔いても、畑を耕し農地を拡大していないと意味が無いんです。実際に人を投票所に向かわせているのは、街頭に立って頭を下げている党員です。

 国民民主党も学生部が選挙に関係なく、支部長がいない地域で党の支持を訴えているわけで、畑を耕している人はいるんです。そういう人たちの活動を拡大することに注力すべきでしょう。
 上空から種をばら撒く人手よりも、地上で畑を耕す人手のほうが圧倒的に必要なんです。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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