野党は世襲批判をしている限り政権は取れない!岸信夫・前防衛大臣の長男後継指名は間違っていない【マガジン199号】
岸信夫・前防衛大臣が次期衆院選には出馬せず引退、長男の信千代氏を後継指名した。これに対して野党議員や野党支持者から「また世襲か」と批判の声が上がっている。
自民党に多く見られる世襲候補の当選率が高いことから、野党の新人候補が選挙中に散々と世襲批判をするのが定番となっているが、これは完全に勘違いで悪手でもある。最終的に選挙で判断するのは有権者であって、その判断を批判している野党に票が入るわけがない。世襲が有利であることは否定しないが、そもそも期待できない野党のだらしなさが世襲による「安定」を選択させているのだ。
世襲ならではの苦労もある
世襲が有利と言われる最大の理由は「金」である。世襲で引き継ぐジバン(地盤)・カンバン(看板)・カバン(鞄)のうち、地盤と看板は世襲でなくとも前任支部長からある程度は引き継ぐことができるが、鞄だけはそうもいかない。政党支部以外の後援会や団体からの資金となると、やはり世襲でなければ引き継がせてもらえない。非世襲の野党新人候補でも参議院の野党第一党クラスなら、支部立ち上げ時に数千万の資金が党から投入されることがあるが、選挙に向けて長期の地盤培養活動となると世襲の圧倒的な資金力に太刀打ちはできない。
ただし、世襲と言えども楽をして当選することはできない。そもそも後継指名を受けても、それは後援会内での後継指名であって県連が認めて党が公認するかどうかは別の話だ。今回の岸氏の後継指名も後援会の集まりで後継希望を述べたに過ぎず、県議などが国政チャレンジへの機会を伺っている場合は県連内で選考が行われる。この場合に世襲が優先されているようにも見えるが、世襲への批判もあって後継指名を受けた人物が適格かどうかも厳しく審査される。さらに世襲の後援会には重鎮と呼ばれるような地元の名士が名を連ね、親父を支えてきたという自負から、その息子への接し方は容赦がない。当人のもとに集まったわけではない後援会の指導には、並大抵の胆力では耐えられない。
世襲批判が悪手である理由
世襲には批判も多く、それ自体がリスクとも言えるだろう。世論を見れば憎まれ役のような世襲よりも庶民的な新人候補に票が集まりそうなものだが、世襲批判をする野党の新人はことごとく落選し、自民党の一強体制が崩れるような気配すらない。
この原因は野党候補の言動や振る舞いにあり、これを改善しない限り自民党の世襲候補が次の衆院選でも軒並み当選するだろう。