福山市長選2024 市議9割と与野党国会議員が支援、オールスター現職陣営と新人女性候補の戦い・・・サボった市議も【マガジン234号】

KSLマガジン



 8月11日に投開票が行われた福山市長選(広島県)は自民、公明、立憲、国民と連合が推薦し市議会議員の約9割が支援に回った現職の枝広直幹氏が3回目の当選を果たした。新人で福山青年会議所の元理事長・宇田貴美氏は一部の市議や有志の支援を拡げたが及ばなかった。

当 枝広直幹、無・現 5万5705票
  宇田貴美、無・新 3万984票

 本記事では選挙前から現職の圧勝が伝えられながら、双方が大規模な選挙戦を繰り広げた現場の様子と市議会議員らの動きをレポートする。

湯現職出陣式には崎英彦広島県知事、宮沢洋一(自民)森本真治(立憲)の他、宮口治子(立憲)三上えり(立憲会派)や西田英範(自民、参院選出馬予定)に小林史明(自民)の与野党オールスターが駆け付けた


 当初はゼロ打ちも予想され新人の無謀な挑戦と揶揄されることもあったが、現職陣営の出陣式には与野党の国会議員や広島県知事、近隣市町村の首長まで駆けつける総力戦の様相を呈していた。
 新人の宇田氏も日を重ねるごとに無党派層からの支持を受けるようになり、最終日には陣営のイメージカラーである黄色のシャツを着た支援者は100人近い大所帯となり、駅前広場に多くの有権者が集まるまでに拡大したが23.43%という低投票率もあって現職の圧倒的な組織力には及ばなかった。

新人陣営の最終日には果てが見えないほどの人数が選挙事務所から駅前広場までの練り歩きに参加した(写真はそのごく一部)



混戦予想の参院予定候補が仲良く並んでしまう

 前回が無投票であったことで8年ぶりの選挙となったが、立憲民主党と国民民主党に加え連合も現職を推薦した。連合広島は8年前の選挙から枝広氏を推薦しており当時の民進党も自公に相乗りで推薦をしている。よってこの布陣は予定通りなのだが、来年の参院選では広島選挙区定数2に対して立憲民主党は森本氏と宮口氏の二人の現職を要することに対して、広島再選挙で宮口氏に敗れた西田氏が自民党から再挑戦することを表明していることで、与野党の現職参議院議員と予定候補が仲良く並んだことに一部の野党支持者からは不満の声が聞こえてきた。

 今年の4月に行われた市議会議員選挙では定数38に対して史上最多の56人が立候補する大激戦となったが、共産党関係者によると市長選に向けて最後まで独自候補を模索したが間に合わず、いまいち対立軸と争点の見えない現職と新人の一騎打ちとなった。両陣営の盛り上がりに反して市長選としては希にみる23.43%という低投票率となってしまったが、前述のとおり自公と立国が相乗りをしたことも投票の棄権を増やす一因であったと思う。

 市議会は9割が現職支援、サボった新人市議も

 現職の枝広陣営によると、市議会議員38名のうち33名が現職支持を表明したという。一方で新人陣営側は「34名の市議が現職支持」という認識を示した。ここで生じた1名の誤差はなんのか?

 関係者に取材したところ、新人陣営には4月の市議選で初当選した貝原大和市議がいち早く加わっている。同じく石岡久彌市議も新人への支持を表明していたが、この石岡氏は市議会で激しく現職市長と対立してきたという流れで、積極的支持というよりも「許容できる」というスタンスで選挙戦には直接関与しなかった。共産党の2名が自主投票ということで、残りの34名が現職支持と見たという。

 話をすり合わせていくと、1名の市議が完全にサボっていたことで両陣営から「敵方」と見られ数が合わなかったことが判明した。あの人ならさもありなんというところだが、年収1000万円ともいわれる福山市議会議員が市長選に全く興味も示さず、これからの議会で市長に何を問うというのか?

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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