【榛葉幹事長】比例復活ゾンビを痛烈批判「就職活動みたい」維新の定数削減案に小野田紀美議員も危惧「地方の声届かない」【KSLチャンネル】

国民民主党の榛葉賀津也幹事長が17日の会見で、自民党との連立協議を進める日本維新の会が「議員定数削減」を絶対条件としていることについて、自民党の小野田紀美参議院議員との会話を例に出しながら、定数削減よりも比例復活を廃止するなどの選挙制度改革の必要性を訴えました。
会見動画のあとに小野田議員の主張する「地方の声」の意味と岡山の事情、定数削減の問題点を解説しますので、最後までお付き合いください。
岡山県の事情
維新の吉村代表が連立条件とする議員定数削減は、具体的には衆議員の比例枠を削減するということです。選挙区はそのままなので小野田議員が言うような「地方の声が届かなくなる」という事態には陥らないという理屈なのかもしれません。
しかしこれは維新の拠点である大阪府のように、人口が多く選挙区の区割りが細かいところはいいですが、北海道や岩手は小選挙区の面積が異常に広く一人の議員でカバーすることができません。東京都の人口密度の高い選挙区と北海道の選挙区では300倍から最大で500倍以上の面積の差があります。
ちなみに維新の拠点である大阪市周辺の選挙区と北海道12区の面積の差も500倍程度あります。この歪な区割りを是正せずして大阪の理屈を全国に適用しようにも理解が得られるわけがありません。
小野田議員の地元である岡山県では、昨年の衆院選で初めて適用された新区割りにおいて岡山3区が、広島県との県境から兵庫県との県境の山間部まで拡大され面積で言うと福岡県全域と同程度になりました。もとから岡山3区は人口の少ない過疎地が中心で、活動地点に連続性もなく難しい選挙区でした。新区割りによって加藤勝信さんの岡山5区と合併した形になりますが、その加藤事務所のある笠岡駅前から東の端の西粟倉村までノンストップで車を走らせても最短で3時間以上、交通事情によっては4時間以上かかります。
この広大で交通事情も悪い岡山3区では、現行では3人の衆議院議員が活動しています。選挙区選出は旧岡山3区の加藤勝信さんですが、旧3区で現職の平沼正二郎さんと阿部俊子文科大臣がそれぞれ津山市に事務所を構えています。新区割りで平沼さんは比例中国ブロック、阿部さんは比例九州ブロックでの当選となりましたが、所属としては岡山県連のままで3区を中心に活動しています。
この状況で比例の定数を大幅に削減すると、選挙区面積の大きいところ、特に過疎地の状況まで把握して国政に声を届けることは困難です。大阪府や東京都なら定数削減の影響はほぼないでしょうが、北海道や東北地方の選挙区で活動する議員にしてみれば堪ったものではありません。
選挙制度と公設秘書
榛葉幹事長の言うように選挙制度を根本的に改善しないと、単純な人口比での区割りや比例ブロック分けで定数削減して困るの地方です。維新の身を切る改革というのも心構えとしていいですが、それによって国の財政が潤うほどではなく、無理な削減によって失われるもののほうが大きいわけです。
定数削減するなら逆に予算をかけて公設秘書の定員を大幅に増加させ、地方の地元事務所の体制を強化するなどの改善は必要です。東京都なんて国会にも近く選挙区は北海道の500分の1と狭いのに、新区割りで選挙区が25から30に増加して参議院の半数改選定数6で合計12人の参議院議員も都内で活動しているわけですが、地方では地元事務所を維持するのも困難なので、公費で賄う公設秘書の増員は必須でしょう。
比例無ければ大政党に有利
比例定数を減らして小選挙区中心の選挙となると、自民党と立憲民主党に維新のように選挙区当選できる規模になった国政政党に極端に有利で、新興政党など規模の小さい政党は全国に候補者を散りばめる人員と資金がないので、以後は党勢を拡大することも困難でしょう。
現行制度のまま比例定数を削減すると、最初の選挙では自民党など現有議席の多かった政党が議席を減らすことになりますが、小選挙区だけの議席比率でみると少数政党が伸びる余地はありません。新しい政党が、まずは比例で勝ち上がって実績をつくり、いずれ選挙区でも勝てるようになるという流れはもう起きません。
例を挙げると参政党がまさにそれで、人気と勢いはあるものの衆議院は比例区が中心で、小選挙区との重複で復活が無ければすべて死票になって1議席も得ることができません。結果的に既存の巨大政党が安泰となって、国会に新しい風が吹くことはなくなります。
国会議員の定数削減に関しては、消費増税をめぐる協議で民主党政権と自民公明の3党が約束したことでもありますが、これを秋の臨時国会で選挙制度改革を含めて改正するというのは日程的にも無理があり過ぎて、連立の絶対条件とテレビ番組で発言したのはマズかったと思います。










































