中国系記者が書いた?WSJ記事、トランプ「台湾を刺激するな」日本政府が抗議「事実ではない」【KSLチャンネル】

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 中国人記者による捏造か勘違いか?それとも日本を貶める工作だったのか?

 アメリカのトランプ大統領が高市早苗総理大臣との電話会談で、台湾に関して中国を刺激しないよう日本側に求めたとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた問題で、木原稔官房長官が27日の会見で事実関係を否定し同社に申し入れを行ったことを明かしました。
 一部ネット上では記事を書いたのが中国人記者(米国籍に帰化)であったことや、ウォール・ストリート・ジャーナルが日本政府からの申し入れに対して、挑発するように記事の再投稿を繰り返しているという指摘がありますが、このあたりの詳細は会見動画のあとに解説します。

中国人記者とは?


 まあ、ガセネタでしょう。高市政権に批判的な人たちは、ロイターなど他社も同様の報道をしているので真実性が高いと言っていますが、どれもウォール・ストリート・ジャーナルを引用して所感を述べているものや、後追いの独自解釈による記事ばかりでファクトが示されたものではありません。

 問題の記事を連名で書いたうちの一人が中国人ということが話題となっていますが、ウォール・ストリート・ジャーナル自体が共和党寄りで中国共産党からも敵視されているので、そこまで強い悪意は感じられません。ただし、中国人として習近平を刺激されることを快く思っておらず、情報の取り扱いと発信にバイアスがかかっていることは否めません。
 この記者は第一次トランプ政権の時に中国外務省から記者証の返還を求められ、事実上の国外追放で香港やマカオでの活動も禁じられたうちの一人らしいので、バイアスがかかっていると言っても極端に中国政府に有利な言説を展開しているわけではないようです。
 ウォール・ストリート・ジャーナルとしても東京支局からの発信を公平に扱っているので、あまり「中国人」という部分を強調すると本質を見誤るような気もします。

 また一部では日本政府からの申し入れに対して、ウォール・ストリート・ジャーナルが逆ギレしてXへの再投稿を繰り返しているという話もありますが、これは勘違いでウォール・ストリート・ジャーナルはUS版も日本版もSocialFlowというSNSツールを使って、過去の投稿を自動的に再投稿してエンゲージメントを最適化しています。問題となった記事に限った話ではなく、話題となった記事などを最適な時間を狙って複数回再投稿して新しいエンゲージメントを獲得する仕組みです。
 単純な話で、機能としての過去投稿のリポストでは読者側は同じ投稿に「いいね」も「リポスト」も1回しかできないので、一度取り消して再度同じ操作をする必要がありますが、新規に同じ投稿をすれば普通に反応や拡散できて新しいエンゲージメントを獲得できるからです。

 今回は中国人記者がバイアスのかかった偏った解釈で記事を書いたというのが真相のようで、トランプ大統領が日本側に立って「中国を相手にしてもしゃーないで」くらいのことを、独自の解釈で「台湾問題で中国を刺激するな」と変換してしまったのでしょう。
 こういう独自解釈を、あたかも本人が話したかのように伝えるマスコミの悪い癖は、海外でも日本でもかわらないんだなと思った次第です。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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