玉木雄一郎さんを救いたい 備蓄米「動物の餌になるようなもの」炎上発言の着地点はここだ!【KSLチャンネル】

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 国民民主党の玉木雄一郎代表が28日の農林水産委員会で、小泉進次郎大臣に対する質疑のなかで、格安で売り渡される令和3年産備蓄米について「あと1年たったら動物の餌になるようなもの」と発言し批判を浴びています。

 実際に備蓄米は一定期間備蓄したら飼料用に放出しているので、その制度について言及した部分が切り取られたわけですが、まあこれは“燃えるな”と思ったので早めに私はXでその説明をしたんですが大手メディアの印象操作には勝てず玉木さんは大炎上してしまいました。

 一部の方からは「そういう制度なんですね、でも言い方が悪かったと思う」というまっとうな反応もありましたが、備蓄の仕組みを知らなかったのに「知ってた!」とウソをつく人たちは意固地になっていて話が通じません。無論、玉木さんの言い方には相当な問題があって、そこは反省してほしいんですが玉木さんは玉木さんでムキになって反論するだけで事態を悪化させています。

棚上げ備蓄方式とは?


 批判をするなら正しい知識を持っておかないと、双方が火傷をするのでここで現在の備蓄方式を簡単に説明しておきます。

 まず玉木さんの言うように、今回放出される備蓄米のうち最も安価となる令和3年産米が1年後には飼料用となることは農水省の資料にも記載されています。すべてが飼料用というわけではないですが、2011年に方針転換して5年持ち越しで主食用としては売り渡さず飼料用とすることになりました。
 それ以前は回転備蓄方式といって、収穫された米(正確には出来秋)を買い入れて1年か2年の持越しで主食用として販売していました。これが2011年に棚上げ備蓄方式に転換され毎年約20万トン程度を買い入れ5年で100万トン程度備蓄するようになりました。さらに主食用の販売を止め長期保存をしたものは飼料用とすることになりました。

 ちなみに玉木さんの計算は1年ズレているのではないかという指摘もあったようですが、棚上げ備蓄方式の買い入れ時期は播種前契約なので玉木さんが正しいです。農水省の資料にも播種前と書いてあるんですが、最も新しい買い入れ備蓄米は苗すらできていない状況で先行して契約しているものなので1年後の5年持ち越し米は令和3年度産米となります。今年は米高騰のために播種前の買い入れを中止しているのでちょっとややこしい話になるんですが、玉木さんは間違っていません。

言い方の問題は玉木さんに非

 とにかく棚上げ備蓄方式は一般人には理解されないので、無理に触れないほうが良かったのかもしれませんが、玉木さんは炎上発言を始める前に「棚上げだから」と一応前置きはしています。これに対して小泉大臣も同委員会内で玉木さんの発言を念頭に、飼料用米になるという発言をしています。

 結局は理解されず、飼料用にしかならない質の悪い米を国民に食わせるという、まったく異なる意味で伝わって知ったわけです。
 ここは「1年後には飼料用として売り渡す予定だから、これまでの備蓄米と違い1800円で販売できるのは当然」と丁寧に説明すればここまで炎上もしなかったわけですが、終始笑顔だったこともあって、米高騰で備蓄米を待つ消費者の神経を逆なでしたようです。

 この部分は玉木さんに非があるので早々に「表現がまずかった」として謝っておけばいいんですが、ムキになって理解されない棚上げ備蓄方式の説明を繰り返し、この方式を知らなかった批判者も間違いを認めないので泥沼の争いに発展しているわです。

 ちなみに飼料用に回すことまで批判してる人に、ちょっと冷静になって欲しいのは畜産業は海外飼料の高騰で苦しんでいるので専用に飼料用米を作っている農家も少なくありません。米を飼料用にまわすことは畜産を含む農業にとって重要なことです。以前のように繰り返し主食用として放出していたら、政府が常に流通価格低下を招くような方策を取っていることになって農家の収入は減っていく一方です。

 政府が悪い、玉木が悪いと言いたくなる気持ちもわかりますが、正しい知識を持たずに感情的な批判ばかりしていては、農業に従事する方々への理解も深まらぬままの暴論になって、農家に前払いで支払われる概算金よりも安い「2000円で米を売れ」と言い出す人まで出てくるわけです。

 ここはひとつ、玉木雄一郎が言葉のまずさを認めた時には広い心で許してやってください。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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