【検証】参政党議員「クマと共生」炎上の真相!→委員会で駆除反対の発言無し、採決で緊急銃猟に賛成【KSLチャンネル】

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 参政党の北野ゆうこ衆議院議員が、人身被害が続発するクマとの共生を訴えたとして批判を浴びています。クマを駆除した自治体へのクレーム電話が問題視されるなかで、同様の考えを持っていると誤解されてしまっているようです。

 結論から言うと、北野議員が人身被害の恐れがあるクマの駆除に反対したという事実はありません。質疑動画でも議事録でも該当する発言は見当たりません。

生活圏でのクマ駆除に反対していない


 ネット上で批判する人たちは、4月8日の国会質問を予告したサムネイルに「クマ等危険視思想から共生思想への転換を!」と書かれていることに反応しているようですが、この質疑は人の日常生活圏にクマ等が出没した場合に、地域住民等の安全の確保の下で捕獲者に委託して実施させる緊急銃猟を可能とするよう法律を改正するものです。
資料:【概要】鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案[PDF]
 この法律案に参政党は賛成しているので、当然ながら質疑終了後の採決で北野議員も起立賛成しています。委員会では原案と付帯決議が起立総員で可決しているので、参政党含めすべての会派が賛成し反対はありませんでした。

 北野議員の質問は、緊急銃猟を可能とする改正案に賛成したうえで、クマが人間の生活圏に侵入する根本的な原因を解決することに必要な予算を確保することなどを求めた付帯決議に関するもので、質疑の締めで北野議員は「私たち人間の命への配慮を重んじることから、現代社会において緊急銃猟の法案改正は致し方ないことも理解している」と述べています。
資料:第217回国会閣法第27号 附帯決議

 北野議員の言う「共生」とは人間と動物がそれぞれの生活圏で生きていくという意味で、人間の生活圏に入ってくるクマを危険視することは当然のこととして、そもそもそういう状態となる原因への対応が必要だと言うことです。

 また一部では、北野議員がマタギなどの狩猟を否定しているという批判もあるようですが、質疑でも付帯決議でもそのような内容は一切確認できません。むしろ北野議員は質疑冒頭で動植物について遺伝資源であるとし「食べ物という形だけでなく衣料品やバイオテクノロジー、エネルギーなど様々な分野で活用しており、最早それをなくして私たち人間の経済活動はありえません」と述べています。

九州では絶滅、四国では絶滅の危機

 北野議員は動植物を食料などに活用することを必要不可欠なものとしたうえで、その個体数の把握などを行っていく必要性も訴えています。政府参考人として答弁した自然環境局長は「ツキノワグマの個体数については、個体数推計が行われていない地域もあることから、全国的な推計は困難」とし、クマの個体数の推計については下限値と上限値に大きな開きがあることを説明しています。

 北野議員はクマの生息数の推計について精度を高めることを求め「気づいたときには絶滅間近ということも考えらる」としています。個人的には個体数の増加傾向から現状では問題ないとは思いますが、狩猟以外の複合的な要素によって地域絶滅は考えられるでしょう。実際に四国ではツキノワグマが地域絶滅の危機にあり、九州では1957年を最後に記録がなく2012年に環境省が絶滅宣言をしています。
(1987年に大分県で捕獲されたクマは本州から持ち込まれたもの)

 実際の質疑動画や議事録も確認しないで、サムネイル画像ひとつで妄想を膨らませている人たちが北野議員を叩いていることは、これまでの説明でご理解いただけたと思いますが、とにかく一次ソースの示されていない情報には安易に飛びつかないよう気を付けましょう。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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