【公明党陰謀論】国交省がマンションオートロックの宅配解除を共通化?実はセキュリティ向上のためだった【KSLチャンネル】

国土交通省が宅配荷物の持ち帰りを軽減するために、マンションのオートロック開錠のためのシステムを共通化するというニュースが話題となっています。
参考:「置き配」利用拡大へ支援、配達員によるマンションのオートロック開錠を共通化…防犯上のリスクは : 読売新聞
批判として多いのは、オートロックというセキュリティの意味がなくなるのではないか?というものですが、これは誤解です。国土交通省としてはすでに民間各社が導入している配達員によるオートロック解錠システムについて、防犯上の課題について慎重に検討したうえで宅配の効率化を上げていこうというものです。
また公明党に関する陰謀論的な情報が飛び交っていますが、マンションのオートロック解錠を自由にするわけでもなく犯罪を助長して公明党が得をすることもないので冷静に情報を精査しましょう。外国人の運転免許証に関するデマも、そもそも運転免許証は公安委員会の所管で、公明党議員が常に国土交通大臣であることとは無関係ということで、批判して恥をかいた人もいるでしょう。
宅配ボックスの推奨
オートロック解錠システムの詳細は後ほど解説しますが、まずはいくつかの論点を整理したいと思います。
まず最初に『なぜ宅配ボックスを推奨しない』という指摘に関して。
国土交通省では宅配ボックスを推奨し、住宅によりますが設置に関して数十万円の補助金を出しています。それでもマンションの景観やスペースの問題で、宅配ボックスを設置できずオートロック解錠システムを導入するマンションが増えています。
資料:宅配ボックスの設置に関する支援策等一覧表(PDF形式)
民間の住宅敷地内のことに政府は首を突っ込めませんので、宅配ボックスを推奨しつつ、オートロック解錠システムの防犯上の課題を整理していこうということです。
ちなみにマンションに宅配ボックスを設置しても、オートロックを解錠しないとエントランスに入れないことがほとんどで、結果的にオートロック解錠は必要となります。しかも国土交通省が行ったアンケートでは、宅配ボックスの容量や数が足らず持ち帰りになったという回答が、8割もあったということです。(約6割が不十分と答え、約8割が持ち帰りを経験)
宅配ボックスを設置するか、オートロック解錠で置き配を可能とするかは、マンション管理会社と管理組合が決めることで、国土交通省はその選択によって補助したり助言を行うことしかできません。
配達員の素性問題
次に『配達員の素性は確認されるのか』という課題です。
これに関しては請負業者など信用に不安があるという、宅配業者全体の問題でもありますが、オートロック解錠は基本的に置き配や宅配ボックスの利用なので、むしろ対面の受け渡しのほうが怖いです。置き配を推奨するほうが防犯上は有効なので、この不安に関してはオートロック解錠を含めた課題を解決していく方向は間違っていません。
宅配業者を装った押し込み強盗も、対面での受け渡しによって発生しているわけで、在宅でも置き配にしてもらうほうがいいでしょう。そもそもこの問題を今回のオートロック解錠問題と結びつけるのは無理筋で、配達員に限らずエアコン修理や各種点検清掃業者など、自宅を訪問する形態の事業者全般に言えることです。
また従業員の素性を確認したとしても、その人が犯罪を行わないという確証もないわけですが、宅配業者に関しては解錠する方法によって防犯上のリスクがクリアできる部分もあるので、解錠システムの解説部分で説明します。
システム共通化とは?
もうひとつ多かった批判で『システムの共通化は危険』というものです。
これに関しては共通化によるセキュリティの低下を具体的に指摘している人が皆無で、正直なところ何を言ってるのか意味不明でした。
そもそもここでいう「共通化」とは、誰でもマンションに入れる簡素化ではなく、宅配業者ごとの伝票番号や配達データの処理方法が違うため、それらを共通化できないか課題を整理するものです。分かりやすく言うと、あるマンションではヤマトは入れるけど佐川は入れないというパターンがあって、購入者が配達業者を指定できない場合は、置き配できず持ち帰りになることがあるわけです。
また共通化によって、大手以外の信用度の低い業者もオートロック解錠ができるという方もいましたが、いまどき個人事業のような会社が宅配を直接受けていることもなく、基本的に大手からの下請けです。扱う荷物も伝票もシステムも大手のものを使っているわけで、追跡不能な謎の業者が入ってくることは考えにくいでしょう。
宅配業界における「大手」とはヤマトや佐川など規模が規格外なわけですが、その大手以外の事業者といっても一般の荷物を全国配送できる所は限らています。(上位3社だけでも95%のシェア)今回の共通化でも、結果的に名前を聞いたことがある事業者しかシステムの統一は不可能と思われます。
オートロック解除のシステム
ここからオートロック解錠の説明に入りますが、これは今に始まった話ではなく、宅配ドライバーへの過剰な業務負担が社会問題化したことで、置き配の推進が始まりました。そこでコロナ禍での感染防止も相まって、対面での受け渡しを軽減する方向は一気に加速します。
オートロック解錠については国土交通省による実証実験も行われていますが、マンションに関しては持ち帰りがほとんど発生しなくなったことはもちろんのこと、オートロックを通過しているので盗難被害もなかったようです。
解錠するシステムについては防犯上の理由から原則非公開ですが、2022年3月に国土交通省が公開した非接触・非対面型配送の資料によるとAmazonの「Key for Business」が紹介されています。
資料:多様なライフスタイルをささえる持続可能な宅配の実現に向けた手引き (PDF形式:4.2MB)
専用の機器を管理会社と管理組合の同意を得て設置するわけですが、ドライバーが荷物を持っていないと「ロック解除」のボタンは表示されません。この解除ボタンを押すと、アプリがサーバーと通信し、ドライバーIDやタップした時間、持っている荷物等の情報を確認。問題がなければロックが解除されるということです。
まとめると
· ドライバーがそのマンションに配送すべき荷物を持っているときのみロック解除が可能となる
· ドライバーにオートロックの暗証番号は伝わらない
· 配達を完了するとロック解除が出来なくなり、再度の入館はできない
このシステムであれば、宅配業者を装った人物にマンション内に侵入されることもありません。注文した荷物が無ければ再訪もできないということです。
他社のシステムによってはドライバーの顔認証で解除できるものもあるようですが、さすがにこれは怖いので、防犯上の課題を解決し安全なシステムでの置き配を推奨している国土交通省の方針は批判されるようなことではありません。
結論!非対面置き配が安全安心
少なくとも宅配事業者をめぐっては、置き配の推奨が防犯上も有効と言えますが、住民の通過時に便乗して侵入する事件は実際に起きていて、オートロックそのもののシステム強化は必要でしょう。
宅配のオートロック解錠ではなく、インターホンで解錠を求めるタイプのデリバリーなどは、何か注文したかな?と思って解錠したら以前来た配達員が住人の女性に好意を寄せて再訪してきたという、いくらなんでも気持ち悪すぎる事案もネット上で報告されています。
オートロック解錠システムへの不安もあるでしょうが、対面しない、通話しない置き配システムが結果的に安全なんじゃないでしょうか。事件はインターホンで確認して解錠する方法で起きているわけですから。
こういう詳しい説明を、なんでお前がやってるんだというツッコミもあるでしょうが、国土交通省の説明もなく報道が独り歩きしているという批判はご尤もです。
いずれにしても、このインターネット業界は、公明党陰謀論や財務省陰謀論などが金になりやすいということもあって、正しい情報よりもあえてデマを扱う不届き者の巣窟となっているわけです。オートロック解錠への懸念はどんどん指摘してもらって結構で、国土交通省もその懸念事項を収集していると思います。ですが、これで公明党が犯罪を助長して日本を壊そうとしているなんて、ファンタジーにもほどがあるので冷静に考えてみてください。










































