【検証】琉球新報『嫌中、嫌韓と同様に「嫌沖」と言われる沖縄ヘイト』←嫌沖がいつから使われ始めたのか調べてみた

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【検証】琉球新報『嫌中、嫌韓と同様に「嫌沖」と言われる沖縄ヘイト』←嫌沖がいつから使われ始めたのか調べてみた

 川崎市で可決した差別禁止条例をテーマにした琉球新報15日付の社説で使われた「嫌沖」というワードが話題となっている。嫌中、嫌韓と同様に意味なのだとか。

 さらに国のヘイトスピーチ対策法も川崎市の条例も外国出身者を理由とした排除や危害の扇動などを違反の対象としている。しかし、昨今の「嫌中、嫌韓」などと同様に「嫌沖」と言われる沖縄ヘイトが存在するのも事実だ。
出典:<社説>ヘイトに罰則条例 差別あおる言動の根絶を – 琉球新報

 この『嫌沖』というワードにネットでは「初めて聞いた」「勝手に作るな」と疑問の声が上がっている。確かに聞きなれない言葉ではあるが、調べてみると数年前から使われていたことが判明した。

初出は2012年ツイッターか?

 ツイッターや過去のニュースを調べてみたが、現存する投稿で初出はこれだ。

 テレビアニメ「エウレカセブンAO」の作中で沖縄が独立していることから「反日アニメ」などと批判されたことを受けての投稿のようだ。アニメ以外の話題でも個人の造語として使われていたようだが、この他には数件の投稿しか見つからなかった。

 2009年に普天間飛行場の移設問題で鳩山由紀夫が「最低でも県外」と宣言し政権を奪取したが、2010年には県外移設を断念したことで基地反対運動が激化、2012年末には第2次安倍政権が誕生し引き続き辺野古移設を進める方針を示し「反安倍+反基地」の構図が作られていった時期でもある。

2014年リテラの書評で使われる

 2012年に登場した『嫌沖』だが、一部の基地反対派が保守層を揶揄する意味で使う程度で、流行や常用と呼ぶには程遠い状況がしばらく続く。
 2014年8月にはリテラの記事で初めて「嫌中、嫌韓」と絡めた形で「嫌沖」が使用されている。
 室谷克実氏と三橋貴明氏の共著を取り上げた書評で「このままいくと“嫌韓”本に続いて“嫌沖”本も出しかねない!?」という一説が登場しているが、嫌韓にちなんでたまたま使われただけのようだ。
参考:もはやヘイトスピーチ? 嫌韓本トンデモ発言ランキング(前編)|LITERA/リテラ

翁長氏の県知事就任

 2014年11月に翁長雄志氏(故人)が沖縄県知事選で勝利し、国と県の対立構図がさらに鮮明となる。これと同時に基地反対運動への他国勢力参加や、反対派による暴力が問題視されるようになるが、大手メディアがそれらの問題を伝えないことへの不満が保守層の間で一気に高まり、基地反対派へのバッシングがネット上へ溢れることとなった。
 2015年4月あたりからは、沖縄タイムスや琉球新報の論調が基地反対運動を煽っているとして「嫌沖を広めている」という指摘が見られるようになる。このころから「嫌沖」というワードの使用頻度が基地反対派から保守層に移行しているようだが、それでもごく一部の使用だ。

一部メディアが使い始める

 報道機関では日経新聞が2015年6月の記事で「嫌沖」という言葉を使っている。

▼太平洋戦争の沖縄戦終結からきょうで70年になる。注目はいやが上にも高まるが、世の関心はやはり偏っていて、普通の人々の普通の暮らしには向かわないようだ。それどころか昨今では、沖縄の抱える矛盾をあれこれ難じてみせる「嫌沖」の風潮さえ一部に漂う。同じ国のなかで、ことさらに非を言い立ててどうしよう。
出典:春秋  :日本経済新聞

 2016年5月の日刊サイゾーが「嫌沖」をネットの話題として取り上げている。
参考:嫌韓・嫌中から“嫌沖”へ!? 沖縄基地問題をめぐり、ネット上でくすぶる「沖縄ヘイト」|日刊サイゾー

 2016年4月には沖縄タイムスが掲載したシンポジウム内の発言で「嫌沖」のワードが出てくるが、これは同紙による使用ではない。記事としては2016年10月に大阪府警の機動隊員が「土人」と発言した問題を取り上げた社説で使われたのが初出のようだ。

 ネット空間の影響を受けたかのように、機動隊員が「土人」や「シナ人」など日常生活では使わない差別用語を吐くことが「嫌沖」の根の深さを示している。
出典:社説[機動隊「土人」発言]県民を愚弄するものだ | 社説 | 沖縄タイムス+プラス

 沖縄タイムスではこの「土人発言問題」の他に、2017年1月の「ニュース女子問題」などで5回ほど「嫌沖」をキーワードに設定しているが、記事内ではこの言葉を使っていない。

 ニュース女子問題が起きた2017年には琉球新報や東京新聞のコラムでも使われているが、これ以降はほとんど話題にもならず使っているのは一部のツイッターアカウントだけだ。

結論 流行っていない

 少なくともネット上では常用されておらず、一部メディアがまれに使っているだけだ。今回の琉球新報の記事に対する反応を見てもわかるように、新語としても全く受け入れられていない。

 沖縄米軍基地をめぐる対立は、機動隊員による「土人発言」と「ニュース女子問題」を契機として、防衛問題から差別問題にすり替えられた感が否めない。そういった意図を持つ一部メディアが「嫌中、嫌韓」に便乗する形で『嫌沖』を流行らそうとしたが失敗したということだ。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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