蓮舫が事業仕分け?自衛隊の制服を中国製にして経費削減する提案は本当にあったのか検証【KSLチャンネル】
自民党の佐藤正久議員が5日の参議院予算委員会で、自衛隊員に貸与される制服や下着などが少なく陸海空で貸与数も違うことを指摘しています。自衛隊員の衣類貸与品をめぐっては民主党政権の事業仕分けで、中国製に変えて経費削減をするよう求められ自衛隊が抵抗したことにも言及されています。これは蓮舫さんが発言したと言われていますが、諸説あるので質疑動画の後に詳しく解説をします。
本当に蓮舫の発言だったのか検証
制服を中国製に変えるよう求めたのは蓮舫さんと言われていますが、これには諸説あります。当時の事業仕分けの記録を確認すると、概要と問題点の指摘の項目にこう書かれています。
概要
・近年、衣類の価格は、縫製工賃が安い海外で生産が行われることにより下落傾向にある中で、制服等の単価は、むしろ上昇
問題点
・素材に機密性のある戦闘服などを除けば、国内縫製の条件を付する必要はなのではないか
中国製と指定はしておらず「海外での縫製」の検討に過ぎないので、これはデマではないかという指摘をする人もいるようです。ただしこの資料は事前に用意された説明用のもので、実際に蓮舫さんが議論の中でどういう発言をしたかは不明のままです。
蓮舫さんが事業仕分けの中で「中国製」と発言したとされる根拠としては、件の事業仕分けの約1年後、2010年10月のネット記事で元陸将補で陸上自衛隊需品学校長も務めた方が以下のように記述しています。
天下御免の事業仕分け、国賊と化す民主党 自衛隊の装備、制服を海外調達せよとは何ごとか | JBpress
昨年11月、事業仕分けで「制服は中国で縫製して輸入すればもっと安くなる」という論議が起きたことはまだ記憶に新しい。この論議は本当に独立国日本政府内での会話なのかと、耳を疑ってしまった。
ここでは蓮舫さんの名前は出てきませんが、事業仕分けを担当した行政刷新担当大臣が蓮舫さんだったことと、この当時の衣料品価格低下が主に中国に製造拠点を置く事業者によるものだったことから、自衛隊側が反発したということでしょう。ただし事業仕分けの資料では中国製ではなく「海外縫製の解禁」という表現であることに加え、2009年当時のスポーツ紙や時事通信の記事を転載したブログを確認しても「アジア製」「海外製」としか書かれていなかったようです。
◇必殺仕分け・自衛隊の制服を中国で・・・ – 民主党政権3年3か月の研究
さらに当の佐藤正久議員が事業仕分けの直後、2009年12月に提出した質問主意書で、行政刷新会議のワーキンググループに防衛政策に詳しい仕分け人がいないことをついて政府の見解を質していますが、その中で「銃器類・弾薬のコスト削減」については触れていますが、衣服類貸与品の海外縫製解禁については触れていません。
行政刷新会議による防衛省所管に係る事業仕分けに関する質問主意書:質問本文:参議院
蓮舫さん自身は当時、制服などすべてを海外製にするよう求めたという報道に抗議しています。ここでも中国製というワードは出てこず問題になってはいないようです。
今日出演したテレビ番組で放送されたVTR。自衛隊制服の事業仕分けの内容でしたが、まるで陸海空自衛官の制服を全部海外に発注すると決めたような内容。もちろん、仕分けではそんな議論、結論にはなっていません。靴下やシャツ等のインナーを海外で生産できるか検討し縮減検討という結果だったのに。
— 蓮舫🗼れんほう🇯🇵 (@renho_sha) November 29, 2009
蓮舫さんが「中国製」を求めたという記録は見当たりませんが、当時はユニクロが中国を中心に多くの海外生産拠点を置くことでコストカットし業績を伸ばしていたこともあって、安さを海外に求めると自ずと中国で生産する可能性が出てきたことから自衛隊が激しく反発したのでしょう。ちなみに佐藤議員は「民主党政権で」と表現していますが、当時の北沢俊美防衛大臣は会見で「軍服を海外に依存するなんて話は世界中で聞いたことがない。」「論点がズレている」と蓮舫行政刷新担当大臣の考えに激しく反発しています。
いずれにしても、当時の事業仕分けの内容からしてアジアを中心とした海外縫製を解禁するよう求めていたのは事実のようで、命を張る自衛隊員の気持ちをずいぶんと軽く見ていたんだん後思った次第です。