ガセネタ「小野田紀美が落選の危機」とは何だったのか?野党陣営の戦略をアシストした自称保守の愚行【マガジン178号】

KSLマガジン



 参院選1人区として全国で唯一、公明党の推薦を得なかった岡山県選挙区の小野田紀美氏が立憲民主党・国民民主党などの支援を受けた野党系無所属候補を大差で破った。

 選挙戦前から情勢調査で常に小野田氏優勢との結果が出ていたが、なぜか保守界隈から「小野田さん落選の危機」などという事実無根の情報が流れ、公明党の対立を煽ることに利用されていた。公示日の出陣式には地元県議らが勢ぞろいしていたが、自称保守のユーチューバーが県議の大半と一部の衆議院議員が小野田氏を応援しないというデマ動画まで流した。

なぜか対立陣営の情報と一致する自称保守

 県議の大半と一部の衆議院議員が応援しないというのは完全なデマで、昨年の衆議院選挙から何十回も岡山入りをしている筆者からしたら、全くあり得ないものだった。岡山県は強固な保守王国であり、衆議院で全選挙区当選、参議院の改選非改選の2議席を独占している。特に参議院選挙においては全県での総力戦となるため、自民党の強力な支持基盤と現職の応援に野党陣営は手も足も出ない。岡山県の重鎮である江田五月氏(故人)が引退してからは、その後継者をもってしても自民党には適わなかった。

 また県議らが公明党票欲しさに小野田氏を見限ったという情報もデマであり、県議選では公明党と戦う選挙区もあり自民党を裏切るメリットはない。安倍元総理が応援に入った7日の個人演説会では、公明党の応援を受けない小野田氏を讃えるものもいて、その時の拍手が最も大きかった。

 一部の衆議院議員が小野田氏を快く思っていないという情報もガセネタで、公示前から小野田氏を全力で応援し自らの地盤地域での活動をサポートしている。とにかく岡山県連の仲の良さは現場を取材すれば誰の目から見ても分かることだ。

 問題はこういった自称保守の流したデマが、対立陣営が公示前から流していた情報とほぼ一致していることだ。公明党との関係を利用し切り崩し工作を行っていたことは公然の事実であるが、出口調査の結果を見ても野党陣営が公明党票を丸取りするには至っていない。公明党内で野党を応援するものが多かったのは事実だが、それでも野党には勝たせてはならんと自主的に小野田氏への投票を呼び掛けた者もいる。

 ここで名前は出さないが、自称保守がこういった情報工作に乗せられ過剰に公明党を攻撃し小野田氏との対立を煽っている状況を好機と見ていた野党陣営関係者もいた。対立を煽って公明党票を丸取りすれば野党候補にも勝機があったからだ。

 保守を自称しながら、真偽不明の情報に飛びついて公明党との対立を煽った者たちは、結果と事実を直視して猛省するべきだ。

小野田氏が語った選挙への思い

 事実として小野田氏が公明党を名指しで批判し連立解消を求めたことはない。筆者が取材して現場の動画をアップしても、応援に駆け付けた弁士への批判を繰り返す自称保守が散見されるなど、小野田氏の顔に泥を塗るような行為ばかりで、本人の意思など完全に無視されたようだった。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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