【取材レポート】どっこい!土俵際で踏ん張った社民党はいかにして国政政党として生き残ったのか?【マガジン179号】

KSLマガジン



 今回の参院選で政党助成金を受けるための政党要件を満たせるかの瀬戸際にあった社民党が、福島瑞穂党首の1議席と得票率2%以上の条件を満たし土俵際での踏ん張りを見せた。

 選挙を重ねるたびに党勢は衰退し、野党共闘に参加しても社民党はその中で埋没するだけだった。今回の参院選では比例代表が全国を飛び回り、呼びかけるテーマが「社民党が必要」という分かりやすいものになったことで、立憲民主党などに流れていた左派票が返ってきたのだろう。

 日頃から社民党には厳しい目を向けている筆者も、この歴史的な選挙戦を記録するために福島瑞穂党首、大椿ゆうこ氏(2回)、村田しゅんいち氏の街頭演説を取材した。

比例候補が各地を飛び回る

 福島瑞穂党首の岡山県での演説には多くの支持者が集まり、知名度の高さを見せ付けた。ハードなスケジュールで街宣予定が組まれており、演説後に多くの支持者から写真撮影などを求められ最後はスタッフに引き剝がされるように駅に向かい新幹線に飛び乗った。


 大椿ゆうこ氏は福島党首の前日に出身地である岡山に入ったが、やはり知名度が低く人の集まりが悪かった。予定時刻が1時間早まったということを考えても厳しい状況であることが見てわかる。隣県の広島県尾道市での演説も取材したが、ここでも注目を集めるには至らなかった。
 しかし副党首として踏ん張る大椿氏の演説は、若き日の福島党首を彷彿とさせるような迫力がある。社民党が今後党勢を回復するための活動をけん引するのはこの大椿氏しかいないだろう。


 最年少候補でもある村田しゅんいち氏は、見た目の親しみやすさからは想像できないようなしっかりとした主張ができる人物で、社民党が若返りを図るためには必要な人材だ。尾道市での演説後に筆者が保守系の読者が多いメディアであることを伝えると「党派の異なる人に聞いてもらうことが重要」と、30歳の最年少ながら選挙に必要なことを理解しているようだった。

比例票を大きく伸ばした要因

 社民党が比例票を伸ばし踏ん張れた要因に「同情票」があったことは否定できない。分裂により所属議員と党員が立憲民主党へ流れていたが、社会党から続く護憲政党としての社民党が消えてしまうと思うと、割れに割れていた左派層が今回は社民党にしておこうと思うのは必然でもある。

 だが、それだけで生き残れるほど選挙は甘くはない。そこには党員や地方組織の努力があった。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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