【独自】大阪万博EVバス導入で西村康稔大臣が嘘?心が張り裂けそうなメーカー担当者の声→悪質ユーチューバーが電話音声を捏造

政治・社会



 大阪万博でのEVバス導入を巡り西村康稔経済産業大臣が「中国製バスを日本製と偽った」とするユーチューブ動画が拡散されている。結論から言うと、この動画で使われているメーカー担当者の電話音声は某株式会社の映像事業部が一般ユーザーを装い事実と異なる質問を行って回答を誘導した音声であり、いわば捏造である。西村大臣が中国製を日本製と偽ったという事実もなかった。
 応対をしたメーカー担当者本人に取材したところ、そもそも西村大臣のSNS投稿を確認しておらず動画で言及されているような内容の話ではなかったという。

事実に基づかない質問、無断録音

 筆者は安倍晋三元総理が暗殺された翌日に動画投稿主から「追悼対談」を収録したいとインタビューを申し込まれ応じたが、内容は参政党に関する質問ばかりで、参政党の良いところは?という質問に答えた部分だけが切り取られ『個人メディアでトップのジャーナリスト竹本氏が絶賛』という動画に利用されたことがある。安倍元総理の追悼企画などそもそも存在せず、私を再生数稼ぎに利用するために暗殺事件を利用したのだ。事件の翌日にこんなことを思いつく発想が常軌を逸している。

 今回の動画に話を戻すが、動画で使われた音声は「いすゞ自動車お客様相談センター」のオペレーターが応対したもので、某株式会社の映像事業部であることも告げられず一般ユーザーとして問い合わせがあり答えたものだという。無論、録音も公開も無断で許可を求められてもいないとのことだ。

 動画内では西村康稔経済産業大臣が、大阪万博でのEVバス導入で「いすゞ自動車」の採用が決まったという虚偽の投稿を行っているとされているが、大臣の投稿にそのような内容はなかった。
 あくまで「大阪・関西万博で民間が運行するシャトルバスでの納入を目指して各社取り組んでいます。」として、いすゞ自動車とEVモーターズ・ジャパンのHPリンクを貼っているだけだ。


 EVモーターズ・ジャパンはすでに先行して大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)への納入が始まっているが、いすゞ自動車に関しては他の自治体との連携もあるが大阪万博での運行も視野に入れていることが報道されており、西村大臣はそれを例に挙げたに過ぎない。
参考:いすゞ、大型路線バスのEV化へ本腰 電動化ノウハウ積み上げバス事業者を支援|日刊自動車新聞

 いすゞ自動車のお客様相談センターとしては、あくまで「万博での採用が決まっているのか」という一般ユーザーからの質問に「決まっていない」と答えただけだ。西村大臣の投稿も確認しておらず、動画で「悲しい悔しい思いをしているのではないか」と言われるようなことではなかった。大阪市が他社のEVバスを調達しているという担当者のコメントも、現状で納品されているのは他社製品であることは報道されているとおりで西村大臣の投稿と矛盾するものではない。
※いすゞ自動車のEVバスは販売されていない。本年10月26日に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」が世界初公開で発売は2024年中を目指す

 また、いすゞ自動車は東証一部上場の企業であり、株価の変動もあることから一般向けに未確定の納入予定や参入予定を告げることはできない。そういった意味もあって万博への参入について「具体的に申し上げられる段階にない」と答えているに過ぎない。

EVMJの中国組立には事情がある

 西村大臣は「納入を目指して各社取り組んでいます。」と紹介したに過ぎないのに、いすゞ自動車に電話をした理由は悪意しか感じないのだが、もう1社のEVモーターズ・ジャパンへの問い合わせも、北九州での組み立て工場建設については触れない恣意的な聞き方だ。

 先行して納入されるEVバスが中国で組み立てされることに賛否の声があるようだが、現状で量産して納入できる日本唯一のメーカーはEVモーターズ・ジャパンだけだ。中国のBYDではなく、日本のメーカーを選ぼうとしたら他に選択肢はなかったのだ。

 そのEVモーターズ・ジャパンも北九州に工場を建設中であるが、現状で中国での組み立てていることをもってして日本メーカーではないとするなら、アップルも中国メーカーということになるが、そんなことを言いだしたらファブレス企業はすべて否定されることになる。
※EVモーターズ・ジャパンはファビュラスではなくOEM委託と表現している

 動画内でEVモーターズ・ジャパンが「日本製」とラベル貼替を行っているという指摘もあるが、事実無根であり重大な名誉棄損である。同社も西村大臣も現状で中国で組み立てを行っていることを公表しており、偽装を行ったという事実もない。

 余談ではあるが動画投稿主が絶賛する参政党も、党の公式グッズ(シャツなど)を中国で生産していた。日本で企画して日本企業に発注しても、最終的な生産ラインが中国となることは避けられない場合もあり、これをもってして参政党を「中国の政党」と呼ぶのは無理があるだろう。

まとめ 動画はほぼ捏造

 問題の動画の不正確さと問題点をまとめると

・西村大臣は、いすゞ自動車に決まったとは書いていない
・取材であることを告げず一般ユーザーを装った

 ※某株式会社の映像事業部が運営している
・無断録音を公開している
・日本製と日本メーカーの定義を故意に混同している
・EVMJがラベルの貼替(偽装)を行っているという虚偽発言
・唯一の国内メーカーがEVMJであったことに触れていない

※いすゞ自動車のEVバスは販売されていない。本年10月26日に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー)」が世界初公開で発売は2024年中を目指す

 一般ユーザーを装い事実に基づかない質問を行い無断録音、それをあたかも担当者が西村大臣を否定しているかのように利用している時点で、限りなく捏造に近い動画と断定して良いでしょう。

 同チャンネルは日本保守党にも秋波を送っているようだが、もとはNHK党を専門に応援していたが、同時にアンチ活動も行っていることがバレて次は参政党を応援。参政党の内紛が始まると双方を煽るような動画を連発し、日本保守党にも保険をかけるようなチャンネルを信用してはいけません。

以下の捏造も同一チャンネルによるもの
関連:ファクトチェック!コロナ罹患、ワクチン接種後の小児死亡「国会で厚労省の数字が訂正」→答弁をカットしつなぎ合わせた捏造動画

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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