マスコミの印象操作?江藤大臣「コメ買ったことがない」発言の内容は米ではなく○○の流通だった【KSLチャンネル】

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 江藤拓農水大臣が「私はコメを買ったことはありません、正直。支援者の方がたくさんコメをくださるので、まさに売るほどある。私の家の食品庫には」と講演で発言したことが報じられ、米の価格高騰が続く中で不謹慎ではないかと国会でも追及を受けています。

 まあ、余計なことを言っちゃたのは事実なんですが、佐賀新聞が報じた実際の発言では少し異なる印象を受けるのも事実です。実はこの発言は、皆さんが普段購入するコメのことではなく、玄米のことです。発言には続きがあって江藤大臣は精米する前の備蓄米を玄米で流通させる考えを前提に「わざとじゃないだろうが、いろんなものが混じっている。黒い石とか入っている。家庭内精米をした上で精米機に持って行く。精米できなければ玄米で売ることも可能にするので効果は期待できる」と発言したようです。
出展:【音声あり】「私はコメを買ったことはない」江藤拓農林水産相 「支援者がたくさんくださる」 佐賀市の講演で | 佐賀新聞
 19日の参議院決算委員会で立憲民主党の羽田次郎議員から追及を受けた際の大臣答弁がこちらです。

農家からは玄米で譲り受ける

 講演会で玄米流通を可能とすることについて語るうえで話を盛ったようですが、実際に農家とお付き合いのある人は今でもスーパーで米を買う機会は少ないというのは事実です。農家は自家消費や個人譲渡を一定数行っているわけですが、精米した白いコメを譲っても先方の家庭内在庫があれば長期保存ができないので傷んでしまいます。だから比較的保存がしやすい玄米で譲渡するわけです。
 コイン精米所がいたるところに存在するのも、農家の自家消費と玄米による譲渡が一定数行われている証左です。スーパーで見る精米したコメは保存がきかないので、仲介する業者が少しず精米して袋詰めし頻繁に店頭に並べているわけですが、これが玄米であれば店舗でのストックが可能になるわけです。
 中間業者の中抜きがどうとか素人がしったげに批判していますが、温度管理できる超大型倉庫で玄米を管理し精米して袋詰めして店頭への配達をするコストもあって、これを担うことができる人たちがその手数料を取るのは当たり前のことです。
 備蓄米の大半をJAが落札したのも、何十万トンもの量の玄米を一時保管して取り扱える能力が他の企業になかったからです。

 江藤大臣の発言は不用意だったとは思いますが、野党の政治家だって農家から農産物を貰っていることを、いつもSNSで自慢しているわけです。玄米は5Kg単位とかではなく30Kgとかの大袋で管理するわけで、常に家庭内で在庫がある状態になるのは普通のことです。

 普段から江藤大臣の会見や国会答弁を見ていれば、これが玄米に関する発言で精米されたコメの話ではないことはすぐに理解できます。一般消費者の神経を逆なでしたことは事実ですが、マスコミがことさらに報じて、それをネタに国会議員が批判したところでコメは安くなりません。価格を落ち着かせる策として、せっかく玄米の流通について触れてるんだから、そこに注目してもらいたいものです。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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