安倍政権で固定?国交大臣ポストが13年間も公明党独占である3つの理由【KSLチャンネル】

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 国土交通大臣のポストが13年間に渡り公明党の指定席となっていることについて、日本保守党の百田尚樹代表が質問主意書を提出したことが話題となっています。
国土交通大臣任命に関する質問主意書:参議院
 政府答弁は「任命権者は内閣総理大臣、適材適所」という簡単なもので、これは百田代表が端的に指定席である理由を尋ねただけなので、この回答は予想通りでしょう。第二弾も用意されているので、詳細な質問は次の国会会期に持ち越しです。

 国土交通大臣ポストを自民党が公明党に差し出す理由は「利権が多く汚職事件が怖い」というのが通説です。実際に旧建設省を巡っては田中角栄のロッキード事件や中村喜四郎のゼネコン汚職事件など、歴史に残る事件が起きています。

安倍政権でポストが固定される


 公明党の国土交通大臣は小泉政権が最初ですが、初代国土交通大臣は森内閣の扇千景さん(当時は保守党)、その後に小泉改造内閣で石原伸晃さんが1年、次は公明党の北側一雄さんと冬柴鐵三さんがそれぞれ1年、福田改造内閣で谷垣禎一さんが短期間引き継いだ後は麻生内閣で完全に自民党にポストが戻ります。

 その後は民主党政権が崩壊し第二次安倍政権が誕生したところで、完全に国土交通大臣のポストは公明党の指定席となります。百田代表への政府答弁では任命権者は内閣総理大臣とされていますが、改造内閣のタイミングでも当時の安倍総理の意向で交代はせず公明党の都合でしか交代はなかったように思います。
 事実として、安定した答弁と対応で岸田政権を支えた斎藤鉄夫さんは、石井啓一さんが党代表就任から約1か月で衆院選に落選し急遽、後任の党代表に就任したタイミングで同党の中野洋昌さんに大臣ポストを譲っています。これは完全に公明党の都合であって、後任ポストなども公明党に事実上の決定権があったことが伺えます。

公明党の強みがある

 建設・不動産・観光・運輸と莫大な予算を扱う利権の塊のような大臣ポストを、汚職の危険性を理由に公明党に預けているという通説も理解できますが、公明党側もかなりこのポストに固執しているようにも思えます。自民党としては、利権の塊であるだけに、大臣ポストを持っていると関連団体から献金を受けにくいという裏事情もありそうです。
 また、懲罰委員会や予算審査関係の委員会を除いて、国土交通員会は自民党のイデオロギーに関わるような重要法案の提出も審議もほとんどないというのも指定席となる理由のひとつでしょう。おそらく民主党政権以降は国土交通省絡みの重要法案は皆無と思われます。
 一方で、安倍政権から国土交通大臣ポストを公明党に任せたのは、圧倒的な全国ネットワークと情報網を有し、交通インフラや国土強靭化の盲点を地元住民から吸いあげているからという話もあります。

外免切替デマにご注意を

 ここでひとつ重要なことを説明しておきますが、公明党が国土交通大臣ポストを独占し、外国人の運転免許切替を簡単にしたというのはデマです。外免切替の主管官庁は国家公安委員会なので、本当に外免切替を簡単にしたいのなら、国家公安委員会委員長のポストを狙うはずで、国土交通省は運転免許には関わっていません。実務も各都道府県の公安委員会と警察が担っています。

 そもそも外免切替の難易度は30年前から変更されていません。今年の10月から知識確認、技能確認、住所確認ともに厳格化されることが決まっていますが、これは公明党議員の国会質疑や働きかけがあったとされています。

 公明党が国土交通大臣ポストを独占していても、運転免許関連は所管外なので関係はなく、むしろ外免切替を厳格化するよう政府与党を突きあげていたのが公明党なわけです。

 外国人による土地取得関係も疑う声がありますが、国土交通省だけでは何も変更はできず主に法務省所管の法務委員会で審議されます。地方自治にも関わる部分は総務省、安全保障に関する部分は防衛省や内閣府が所管しています。これに関しても公明党陰謀論は根拠がなく所管も違うというのが事実です。

 公明党が国土交通大臣ポストを独占している理由は

1.自民党に任せると歴史に残る汚職事件を起こす
2.大臣ポストが無いと関連企業や団体からの献金が受けやすい
3.公明党の全国津々浦々のネットワークが最も活きるポスト

 まあ、こんなところではないでしょうか?

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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