国民民主がアフリカ移民推進?デマ動画に玉木代表が怒り!榛葉幹事長の質疑動画に事実無根のキャプション付け拡散【KSLチャンネル】

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 国民民主党の榛葉賀津也幹事長が岩屋外務大臣とつながって、アフリカから日本への移民を推進しているというデマが拡散されています。玉木代表は16日の会見で、事実ではないと否定し「悪質なものについては然るべき対策を取りたい」と述べています。

 問題の投稿に添付された動画は、4月10日の外交防衛員会での質疑の切り取りですが、その切り取られた部分だけを確認しても移民に関する発言は一言もなく、アフリカでの日本式野球の普及に関するもので、岩屋大臣からも移民に関する答弁は一言もありません。
 榛葉幹事長の質疑の内容解説と、デマのカラクリについては後ほど解説しますので、まずは問題となっている動画と玉木代表の会見を続けてご覧ください。

実際の質疑は野球の話


 恐ろしいのが、動画内で移民には一切触れていないにもかかわらず、投稿者がキャプションで「移民」と入れているだけで多くの人がこれを信じ込み、おひれはひれ誇張して再拡散していることです。
 投稿者は自称保守の政治家全般を応援しているようですが、誇張して再拡散しているのは参政党の支持者らです。参政党の名誉のために言っておくと、これを再拡散しているアカウントは参政党支持者のあいだでも意見が分かれ、過激な投稿が参政党のイメージを棄損し、排外主義というレッテル貼りの原因を作っていることで評判の悪い連中です。

 こういうデマに釣られる人の特徴として「JICA」に言及していれば、それがすべて移民政策と思い込む洗脳状態に陥っていることです。
榛葉幹事長の質疑は、アフリカでの野球普及において日本式の礼節や他者への思いやりの精神を伝えていく重要性を説いたものです。そのうえで人口が増加するアフリカが、日本の基幹産業である自動車など新たな市場開拓先となるという話でもあります。

 最近の自称保守は、隣国である中国の脅威よりもアフリカ人のマナーの悪さや一部の国の治安の悪さを攻撃の的にしていますが、榛葉幹事長はこの質疑の中で、かつて森元総理がTICADでアフリカ各国のリーダーを招いた夕食晩餐会でのエピソードを紹介しています。
 とにかく時間を守らない、平気で一時間二時間待たせる、来たと思ったた10席の晩餐会に一族郎党を何十人も連れてきてしまう。これが昨今のTICADではそういうことがなくなってきたと述べています。中国が相手ならアフリカ諸国もこういう精神の面を気にもしないでしょう。

 また中国が途上国に資金援助しながら借金漬けにして、返済ができないとインフラ権益を取り上げ相手国を支配する「債務の罠」にも触れていて、それに対して日本は野球を通じて「相手を思いやる、時間を守る、礼に終わる、グランドに落ちていたゴミを拾う」という日本式のベースボーラーシップを伝え、中国にはできない形でパートナーとなり市場開拓するという趣旨の話をしています。

JICAだけでなくTICADまで悪者に

 最近ではJICAだけでなくTICADまでネガティブなイメージで語る自称保守がいますが、第二次安倍政権以降の対アフリカ外交はODA一辺倒から脱却し、アフリカを支援相手ではなくパートナーとしたうえで、経済発展を見越した投資を重視するようになりました。
 この対アフリカ外交の起点となっているのがTICADなわけです。アフリカは重要な資源の供給地であることに加え、世界人口に占める割合はこれからも増加する見込みで、日本の重要な取引先となり得ます。
 対アフリカ外交を重要視した安倍元総理が亡くなったことに関して、アフリカ開発銀行の総裁は「偉大な地球規模の政治家」と称賛し「シンゾウ・アベはアフリカに特別な愛情を抱いていた」と死を悼んでいます。これはアフリカへの投資が現地で感謝されていた証左と言えるでしょう。
参考:外交辞令を超えた追悼の言葉が次々と アフリカの人々が安倍元首相の死を深く悼むわけ:朝日新聞GLOBE+

 とにかくネットでバズる陰謀論ワードとして「JICA」「移民」などが最近のトレンドで、嘘と分かっていても収益目的で拡散する人もいれば、今回のように政治的意図が疑われるケースもあります。
 デマや陰謀論が高い収益性がある一方で、これを打ち消すための解説は収益性が低く拡散もされません。前回動画の公明党陰謀論の解説も同じで、再生数も収益も通常の10分の1以下だったりします。
 ということで、皆様からの支援で何とかやってますので、引き続きよろしくお願いします。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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