検証!毎日新聞が捏造で野党をアシスト?野党「総理は悪夢の民主党と言って答えない」→総理「言ってない」→毎日「予算委員会などで述べている」(大嘘)

政治・社会

 23日の参議院予算委員会で、野党共同会派の芳賀道也議員が「総理は都合が悪くなると悪夢の民主党政権と言って答えない」と発言したことに対し、安倍総理が「悪夢の民主党政権と言って答えなかったことはない」と反論した。
 このやりとりを報じた毎日新聞は「首相はかつての国会答弁でこのフレーズを繰り返している」「実際は、首相は2019年2月の衆院予算委員会などで「民主党政権は悪夢だった。間違いなく」と述べている。」と総理の記憶違いを指摘している。
参考:首相「国会で『悪夢の民主党』答えたことない」 野党「答弁忘れたのか。全く情けない」 – 毎日新聞

 だが、当サイトで過去の国会答弁を検証したところ、毎日新聞が指摘する総理の発言部分は民主党政権時代の失業率について説明する中で「まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。」と発言はしたものの、経済政策に関する質疑で「悪夢の民主党政権」と言って答弁を避けたという事実はなかった。
 また、毎日新聞は「このフレーズを繰り返している」と指摘しているが、議事録を検索してみると、総理が党大会で「悪夢の民主党政権」と発言したことに対して野党側が説明を求めたもので、総理が自発的に同発言を行った記録は見つからなかった。

検証1 発言の意図が違う

 23日の予算委員会での該当部分書き起こしが以下、

芳賀議員 まったくちょっとびっくりです。私、選挙の時にですね、地元を回っていて「国会中継は子供に見せられない」と言う人が多くいました。総理は聞いたことに答えないんだと。挙句の果てに、都合の悪いことになると「あの悪夢の民主党時代は」と言って一切答えない。あんなものは教育の悪くて見せられないと。そんな国会でいいんでしょうか。

安倍総理 あの「悪夢のような民主党」と言ってですね、答えなかったことは私はないわけでありまして、それは党大会等々において悪夢の民主党政権だったということは申し上げている。経済政策等々においてもですね、それは申し上げているわけでありまして、それを国会答弁で「悪夢のような民主党」と言って私が答えたことはないわけでありますから、子供たちが見ている前であればですね、正確な質疑を行ったほうがいいのではないかと、こういう印象を持ったところでございますので、こう申し上げているところでございます。

 このやり取りが毎日新聞では以下のように変わっている。

芳賀「首相は『悪夢の民主党』と言って一切答えない」
総理「国会答弁で悪夢のような民主党と答えたことはない」
参考:首相「国会で『悪夢の民主党』答えたことない」 野党「答弁忘れたのか。全く情けない」 – 毎日新聞

 総理の発言部分がねじ曲げられているが、実際の答弁は以下だ。
総理「悪夢の民主党政権と言って答えなかったことはない

 総理は「悪夢の民主党政権とだけ言って政策議論に答えなかったことはない」という趣旨で否定したのに、毎日新聞が「国会で悪夢の民主党政権と言ったことはない」という別の意味に変えているのだ。

検証2 総理の過去の発言

 毎日新聞は「首相はかつての国会答弁でこのフレーズを繰り返している」と指摘しているが、国会データベースで検索してみると、岡田克也議員が「(党大会での)発言を取り消せ」と迫ったのを皮切りに、発言の意図を問い質す野党議員に説明する中で使っているだけだった。総理が答弁を避けるために「悪夢の民主党政権」と発言した記録は見つからなかった。

 また、毎日新聞が指摘する2019年2月の衆院予算委員会での発言は、おそらく2月25日の国民・玉木代表との質疑の際のものだ。ただし、これも「悪夢の民主党政権」と発言した事実はなく、玉木代表が安倍政権での実質賃金を指摘したことに対して「民主党政権時代の失業率を計算に入れていない」という趣旨で説明をした際に「相当低くなると思いますよ。民主党政権時代はですね。」と発言した後に続けて「まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。」と失業率を指して「悪夢」と表現したものだ。どこにも「悪夢の民主党政権」などというフレーズはなく、答弁を避けたという事実もない。

○安倍内閣総理大臣 先ほどもファクトとかおっしゃって、実質賃金は下がっているということをおっしゃっていたんですが、別に民主党政権のときのことを自慢していないと。それはそうだと思いますよ。だって、本当に失業者はいっぱいいたんですから。
 要するに、失業者の方々は賃金をもらっていませんから、この平均賃金の中に入っていないんですよ。これをゼロで数えていただければ、相当低くなると思いますよ。民主党政権時代は、まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。
 そこで、これもファクトですから……(発言する者あり)
注)実際は「民主党時代は」のあとに「ですね」が入っている
出典:第198回国会 衆議院 予算委員会 第13号 平成31年2月25日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム

 この発言は野党のヤジでかき消されそうになったが、野田聖子委員長(当時)が静粛にするよう野党に求め、総理は続けて経済に関する問題に答えている。この「民主党政権時代は」という部分は、その前の失業率データを説明した部分への倒置法である。そのあとに「悪夢だったんですよ」と発言した部分は失業率を指している。この二つの言葉を毎日新聞が切り取ってつなぎ合わせているのだ。
 さらに議事録で「民主党時代に」のあとの「ですね」が削除されていることで、前後の文脈がつながって見えることも誤解の要因と思われる。本記事に添付している動画では前後の文脈が別のものであることが聞き取れる。

 また、この委員会の答弁に至るまで、野党は何度も「悪夢の民主党政権」という党大会発言を取り消させるために民主党政権と安倍政権を比較したりデータのとり方を質している。その流れで失業率を「悪夢だった」と説明したに過ぎないのだ。

結論 国会での発言の事実なし

 以上のように、安倍総理が国会答弁で「悪夢の民主党政権」と言って答弁を避けたという事実はなかった。すべてが野党側から国会外での発言の意図を問われた際に説明のために使用しただけで、安倍総理から自発的に発言したことはない。

 唯一、近い発言が毎日新聞の指摘する2019年2月25日にあったが、玉木代表が民主党政権と安倍政権を比較するデータを示したことに対して「(失業率は)まさにこれは悪夢だったんですよ、間違いなく。」と発言しただけで「悪夢の民主党政権」というフレーズはどこにもなく、政策議論をこれで避けたという事実もなかった。

 芳賀議員が支持者から伝えられたイメージを、十分な確認をせず質疑で使用したという結論だ。これを毎日新聞が恣意的に質疑の意図を捻じ曲げ、似たような発言を部分的に切り取ってつなげているのだ。
 安倍総理が国会で「悪夢の民主党政権」と言っているイメージは確かにあるが、芳賀議員の勘違いを毎日新聞が捏造で擁護したことは看過できない問題である。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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