メディアが仕組み理解せず対立煽る?西村大臣「(吉村知事は)勘違いしている」→双方が一部報道で生じた誤解に言及
新型コロナウイルス対応を担当する西村康稔経済再生担当相が6日の記者会見で、緊急事態措置の解除基準を国が示さないことに大阪府の吉村洋文知事が批判したとされる報道について「何か勘違いをされているのではないか」と反論した。これをメディアは国と大阪府の対立として報じ煽っているが、西村大臣と吉村知事が一連の報道にSNSで見解を示している。
記事は正確ではない。休業の要請・解除は知事の裁量。解除する基準は当然ご自身の説明責任。また都道府県の裁量・権限の拡大を主張しながら、自身の休業要請の解除の基準を国が示してくれというのは矛盾。仕組みを勘違いしているのではないか。
緊急事態の解除の基準は国の責任。近く明確に示す方針。 https://t.co/LhGxVr0CHw— 西村やすとし NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) May 6, 2020
西村大臣、仰るとおり、休業要請の解除は知事権限です。休業要請の解除基準を国に示して欲しいという思いも意図もありません。ただ、緊急事態宣言(基本的対処方針含む)が全ての土台なので、延長するなら出口戦略も示して頂きたかったという思いです。今後は発信を気をつけます。ご迷惑おかけしました。 https://t.co/IiF5iECsob
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) May 6, 2020
対立を煽りエンターテイメント化
西村大臣は吉村知事の発言について記者からの問われた際に「報道を通じて承知している」として「(吉村知事は)何か勘違いをされているのではないか」と反論している。直接的に吉村知事とやり取りしたわけではなく、マスコミのフィルターを通してのやり取りで誤解が生じているようだ。
参考:西村大臣「何か勘違いをされている」 吉村知事の“大阪モデル”公表の経緯に反論 | ABEMA TIMES
大臣と知事のSNS投稿では「緊急事態宣言の指定と解除は国」「休業要請等の措置と解除は知事権限」という部分で認識は一致している。吉村知事としては、国が緊急事態宣言の解除に一定の数値基準を示してくれれば、その出口に向けて大阪府として措置解除等の基準を定めやすいという思いがあったようだ。これは4日の総理会見で国の緊急事態宣言の出口戦略や数値が十分に示されなかったことに不満を持っているだけで、大阪府の措置解除基準を国に示せとは言っていない。
メディアの報道もよく読めば吉村知事の真意が汲み取れるのだが、見出しなどに対立を煽るような文言が含まれており読み手に誤解を与えるものであったことは否めない。スポーツ紙に至っては仕組み自体を理解せず記事を書いている。
参考:吉村知事「大阪モデル」発表 国がヤラないならオレがヤル!自粛解除のための3指標(デイリースポーツ)
参考:吉村府知事 “大阪モデル”の出口戦略発表 全国初の独自基準「本来は国で示してほしかった」― スポニチ
吉村知事は大阪府としての出口戦略を示し、西村大臣は国としての出口戦略を示すことを明言している。両者の方向性と役割の理解に齟齬は生じていないのだが、あたかも「国の示すべき基準を大阪府が示した」という仕組みを誤解したような報道に問題があるのだ。大阪府以外の各都道府県も独自の基準で解除していくことになるが、大阪府がいち早く明確な数値基準を示したことは今後の参考モデルにされるものと思われる。
メディアが権力を監視するのは当然であるが、今回のように無用な対立を煽ってエンターテイメント化するのは感心できない。メディアは今回の新型コロナを甘く見ているのか、東日本大震災の時に比べて視聴率争いや拡販に躍起で、自らの役割を十分に果たしていないような気もする。
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