無知による誤報か?NHK「新型コロナのワクチン 臨床試験の参加者死亡」→新型コロナワクチンで死亡の事実なし

政治・社会

 NHKが22日に配信したニュース「新型コロナのワクチン ブラジルで臨床試験の参加者が死亡」で、あたかも新型コロナワクチンの接種によって死亡者が出たかのような誤解が広まっている。結論から言うと記者の無知か、NHKのテレビニュース用の原稿で専門用語を言い換えたことにより生じた誤報で、正確には「新型コロナワクチンを接種しなかった被験者の死亡」である。これはNHKの知識不足によりプラセボ(偽薬)を「別の薬」と表記してしまったことが原因だ。

新型コロナのワクチン ブラジルで臨床試験の参加者が死亡 | NHKニュース
ブラジル政府は21日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験に参加していた男性が死亡したと発表しました。政府は詳細を明らかにしていませんが、地元メディアは関係者の話として、男性は開発中のワクチンとは別の薬剤を投与され、新型コロナウイルスに感染して死亡したと伝えています。

ブラジルの保健規制局は21日、イギリスの製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発を進めている、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で、参加していた男性1人が今月死亡したと発表しました。
(中略)
また、地元紙「グロボ」は関係者の話として、男性には試験の一環として、見た目は同じですが、開発中のワクチンではない別の薬剤が投与されたと伝えています。

「プラセボ」と「別の薬」では大違い

 NHKが「別の薬」と誤認したのは臨床試験の基本である「プラセボ」のことで、日本語では「偽薬」と表記されることがある。これは実際には効果のない薬を投与しても「良くなった気がする」と心理的に安定して症状が改善することを指す。このプラセボ効果は開発中の新薬に効果が無い場合も現れるため、試験中の新薬を投与した被験者と偽薬を投与された被験者のデータを取る必要がある。
 また、偽薬と言っても薬ではなく、経口摂取の場合は澱粉や糖分を入れたカプセルであったり、ワクチンの臨床試験においては生理食塩水など効果のないものを注射する。

 NHKの記事では「別の薬」と表記しているが、朝日新聞などでは正確に「偽薬」としプラセボであったことを伝えている。正確に伝えた結果、NHKのようなインパクトが無くあまり拡散されていない。
参考:コロナワクチン治験、参加者が死亡 接種は「偽薬」か [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

 要するに新型コロナワクチンで死亡したという事実は無く、逆に新型コロナワクチンを接種しなかった被験者が死亡したということだ。逆の印象を与えるNHKのタイトルに問題があることに加え「新型コロナワクチンの別の薬」ともとれる表現は完全な誤り。このテーマの記事で「プラセボ(偽薬)」と明記しないのは記者の無知からくるものだろう。もしくはNHKの記事がテレビニュースの原稿も兼ねていることから、専門用語を排した結果、誤った情報となったのかもしれない。

関連:鳥越俊太郎さん「マスクなんてしなくてよい。新型コロナは単なる風邪だ。頭の悪い人がマスクをして歩いている、情報弱者のアホども」医師の投稿をシェア
関連:NHK「専業主婦の4人に1人、夫の在宅勤務を望まない」→4人に3人、75%が夫の在宅勤務を望んでいることの方が驚きだろうとツッコミ殺到

皆様の支援が必要です KSL-Live!からのお願い

【ご支援をお願いします】取材・調査・検証記事はコピペまとめサイトのような広告収入は期待できません。皆様からの支援が必要です。各種支援方法詳細

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

OFUSEで支援する

このサイトをフォローしよう