共産党の氏名入りタスキ問題、正義感だけで突撃するのは危険!逆に逮捕されますよ【マガジン107号】

KSLマガジン


 都議選を前に日本共産党の予定候補者が、選挙期間中以外は公職選挙法で禁止されている「氏名入りタスキ」を着用して演説を行っている問題で、動画を撮影した人物に触発され現場突撃を煽るようなツイッター投稿が散見される。

 結論から言うと、予定候補者を畏怖させるような突撃をすれば逆に逮捕されます。相手が公職選挙法に違反していると思っても、それを最終判断するのはアナタではありません。私人逮捕ができると主張するひともいますが、捜査や取り調べにあたる行為は私人ではできませんので、この言い訳も通用しません。

私人逮捕や取り調べはできません

 ここ最近、私人逮捕を推奨するようなネット書き込みが目立っていますが、現実問題として私人逮捕はほぼ不可能と思ったほうが良いでしょう。私人逮捕は住居や氏名が明らかでない現行犯が、警察官の到着前に逃亡したり、危害を加える恐れがある場合には可能ですが「逮捕・監禁罪」にならないように遂行するのはハードルが高い。万引きのように明らかな犯罪行為で、声かけ後に逃亡をはかれば可能ですが、相手から暴行や逮捕・監禁罪を主張される危険性もあり警備業でも慎重に対応します。

 氏名入りタスキをしているのは公職の予定候補者であって、この人物は氏名を表示しており所在も明らかで逃亡の恐れがあるとも思えません。ちなみにここでいう「逃亡」とは単純に現場を離れることではなく、犯行の認識があり警察の追及を逃れるために行方が不明となることです。私人からの取り調べに応じる義務もなく、それを嫌がって現場を離れることは「逃亡」ではありません。

 予定候補者を私人逮捕しなければならないという妥当性はなく、身体的な接触や威圧的(相手が思う)に進路をふさぐなどすれば逆に警察の厄介になることも考えられます。そもそも逮捕事例のない氏名入りタスキでは、現場警察官レベルで逮捕してくれないし、私人ならなおさら無理筋でしょう。

現場突撃にも違法性がある

 私人逮捕でなくても、現場に突撃して撮影する行為も気を付けなければなりません。迷惑系ユーチューバーほどではないにしても、相手を畏怖させてやろうとか、おそらく嫌がるであろうことがわかってカメラを向けたりすれば、様々な権利侵害を主張されるでしょう。無論、政治家が説明責任から逃げる口実で主張する権利侵害などは通用しませんが、政治活動としての演説中(準備中も)であったり、通行人への訴えやアピール中に突撃すれば政治活動の妨害となる。

 選挙の自由妨害罪の対象には候補者だけでなく「公職の候補者となろうとする者」や運動者などが含まれますので、事前運動ではないかと疑念を抱いたとしても、それを妨害・阻止することはできません。

 筆者は日本共産党の予定候補者に、氏名入りタスキの着用について現場でインタビューしたことがありますが、これも細心の注意をはらって撮影したものです。はっきりいって政治活動や選挙活動は公然と不特定多数にアピールするために行われているので、撮影されたからと言って文句は言えないのですが、予定候補者や政治家本人を直撃するときにはそれなりのルールがあるのです。