北海道新聞女性記者が旭川医大侵入で現行犯逮捕→マスコミの擁護は的外れ、これが悪質な事件である理由

マスコミ・報道



 旭川医大の看護学科棟に侵入したとして、北海道新聞の女性記者(22)が同大職員に現行犯逮捕され旭川署員に引き渡された。この日は同大学長の解任を議論する学長選任会議が開かれており、複数社のマスコミが集まっていた。
参考:旭川医大を取材中の道新記者を逮捕 建造物侵入の疑い:朝日新聞デジタル

 逮捕の報道を受け、マスコミ各社の記者らがSNSで「逮捕はやりすぎ」「報道を委縮させる」「取材で入ったのでは?」と一斉に擁護する声を上げている。新聞社などに所属する記者であれば、今回のケースが極めて悪質なケースであることが推測できるはずなのだが、これはマスコミ同士で悪事を庇い合っているとしか思えない。

正当な取材や迷い込みではない

 あたかも女性記者が正当な取材行為として、看護学科棟に入ったかのようなコメントも散見されますが、そんなことはありえません。まず、この日は学長解任を巡って多くのマスコミが集まっていたはずだが、新型コロナウイルス対策として棟内への立ち入りを制限するFAXが大学側からマスコミ各社に送られている。

 報道によるとFAX送信が午後3時50分で女性記者の現行犯逮捕が午後4時30分となっている。立ち入り制限が現場に伝わる前に逮捕されたともとれるが、北海道新聞はこの後の記者発表を取材して記事にしているので複数人で現場に来ているものと思われる。この記者を含め、他の記者やカメラマンが医大中央玄関前で待機している中で、22歳の新人記者だけが総合研究棟から隣の看護学科棟4階まで移動しているのは不自然だ。仮にこの新人記者だけが先に現着していても、職員に場所を問い合わせることなく「どこで会議をしているか探していた」ということは、新人とはいえありえません。
※そもそも看護学科棟は元から関係者以外立ち入り禁止

 旭川医科大学の航空写真を見れば分かりますが、これだけの施設をあてもなく彷徨う「取材」などありえません。省庁などと違い、勝手の分からぬ施設で許可取りするのは新人ならなおさらでしょう。

潜入と侵入、立ち入りの違い

 現場では他社の記者とも情報共有し場所や時間を確認し合うので、新人が指示もなく棟内に入って「探していた」なんてことは考えられません。学生と同年代の新人記者が"選ばれて"棟内に侵入させられた可能性すら疑われる。

 ここで問題になるのが記者の服装と装備品です。記者がみんなスーツを着ているわけではないのだが、いかにも記者風のスーツ姿で記者証(腕章やカード)を見える位置に装着していたか。記者証も見せずに私服で入っていた場合は完全に「潜入」であり、バレたら逮捕される覚悟があってのこと。一方で記者証を見える位置に装着していたのなら犯意は無かったものと思われる。

 それでも許可無く立ち入ったのであれば不法侵入であり、報道目的であれば許されるなんてことは聞いたことがありません。報道であれば許可が出ることはあっても、報道だから許可はいらないということにはなりません。警告により退去をさせるよりも、現行犯逮捕を選んだという事は、職員が「潜入」と判断した可能性も高く、警察も私人逮捕として引き渡しを受け、そのように処理していることは重要なポイントだろう。

 取材等の公益性のある目的ならば不法侵入にならないというトンデモ論を語る記者もいるようですが、公益性は取材の正当性主張のひとつであって侵入を許すものではありません。施設管理者側が申し出により立ち入り可否を判断する場合に、公益性に重きが置かれるかの問題であって、取材であれ何であれ許可なく他人の土地に入ってはいけません。
 また、大学構内は誰でも入れるという主張もあるが、構内と棟内は違う。あの看護学科棟が市役所や商業施設のように誰でも入れる場所だと思っているなら、記者以前に社会人としてどうかしている。商業施設には入れたからといって、バックヤードにまで入る馬鹿はいない。

「壁耳」という言い訳も無理

 これをただの「壁耳」だったという擁護も見られるが、壁耳とは非公開の会議であっても付近の人払いをせず室外に漏れた声を"わざと聞かせる"ということ。会議での発言を記事にさせ、世論の反応を見て不評なら「非公開の会議」を理由に否定するというパターンはよくみられる。いわゆる観測気球です。

 政党や自治体などのように担当記者と暗黙の了解があるなら理解できますが、旭川医大のように普段から出入りしていない施設で「壁耳」などありえません。壁耳は立ち入りが許可されていることが前提で、不法侵入の言い訳にもなりません。仮に侵入ではなかったとして、いったい誰との暗黙の了解で壁に耳をあてているんだ。

結論 擁護してる記者は怪しい

 どの角度から見ても、どの部分を切り取っても「不法侵入」である。

 擁護している記者は、普段から不法侵入によって情報を取り「関係者」など架空の情報源を作っている自覚があるのではないか。状況からして、これが上司の指示であったこともすぐにわかったのだろう。なんならマスコミを代表して新人記者が入ったことも考えられる。もしそうであるならば、逮捕は覚悟のうえでやるのが記者だ。仲間が逮捕されてピーピー泣いたり抗議するのは筋違いだしカッコ悪い。

 世間と乖離した「報道の自由」を主張するなら、もっとカッコイイ姿を見せてくれ。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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