奈良弁護士会長が安倍氏銃撃事件の報道巡り声明「銃撃時の映像が繰り返し放映され、容疑者の供述が大量かつ即時に報道されている」
安倍晋三元総理が奈良市内で銃撃され死亡した事件を巡る報道について、奈良弁護士会は10日、銃撃時の映像が繰り返し放映され、容疑者の供述が「大量かつ即時」に報道されているとし「刑事手続きの根幹に触れる問題を含んでいる」とする会長声明を発表した。
声明文は奈良県警や警察庁にも送っているという。
出典:奈良弁護士会長「意図的で行き過ぎたリーク」 安倍氏銃撃事件の報道巡り – 産経ニュース
安倍晋三元内閣総理大臣に対する銃撃事件に関する取材及び報道についての会長声明 – 奈良弁護士会
(前略)
ところで、本件については、以下のような報道がなされている。
(1)第1に、特に事件発生直後から、銃撃の場面の映像が幾度となく繰り返し放映された。
(2)第2に、逮捕勾留中の被疑者の取調べにおける供述が極めて大量かつ即時に報道されている。
(3)第3に、被疑者の供述内容以外の捜査情報、例えば犯行の準備状況等があたかも正しい情報であるとの前提で大量に報道されている。
(後略)
山上容疑者の目論み通り報道
奈良県警がリークしたと思われる山上容疑者の供述内容が、連日に渡りテレビや新聞で報道されている。内容は山上容疑者の一方的な主張であり、事実関係が明らかになっているわけでもない。
特にテレビは山上容疑者の供述リークに踊らされる傾向にあり、今では安倍元総理への銃撃など関心がないかのように旧統一教会と自民党の関係をワイドショー的にネタにしているだけだ。事件前日に山上容疑者が訪れた岡山市を取材していた筆者からしても、供述内容は事実に反する部分があり信用するのは危険だ。
犯行についての批判報道はほとんど見られず、山上容疑者の目論み通りに旧統一教会だけに批判の目を向けているのだ。供述をリークする奈良県警としても、自分たちの失態を隠す意図があるのか、犯行当日に関する供述はリークしていない。
何かと政治色の強い声明を出しがちな弁護士会であるが、今回の声明は刑事訴訟の大原則を破壊しかねないリーク報道に苦言を呈するもので、弁護士会としての重要な役割を果たしていると言えるだろう。
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