ブーメラン!立憲民主党・江田憲司さん、こども手当に「バラマキ、所得制限を設けるべき、民主党の選挙が第一」徹底批判の過去
児童手当の所得制限撤廃を巡り、野党時代の自民党が所得制限なしの給付"こども手当"を「バラマキ」と批判していたことで反省を求められている。立憲民主党の泉代表は「落とし前をどうつけるのか」と反省では済まされないという強い姿勢を見せているが、この立憲民主党に特大ブーメランが直撃している。
かつて代表代行を務めた江田憲司衆議院議員が、民主党政権の"こども手当"を「バラマキ」「所得制限を設けるべき」「民主党の選挙が第一」と徹底的に批判していたのだ。当時は、みんなの党の幹事長であったが、野党だった自民党に反省や謝罪を求めながら江田氏のことは無かったことにするのだろうか。
当時のブログで徹底的に批判
江田氏は当時、民主党政権の"こども手当"について、自身のブログ『今週の直言』『日々是好日』で徹底した批判を展開していた。
2010年2月1日
美辞麗句踊って将来不安解消なし・・・初の施政方針演説 – 今週の直言
(前略)その意味で、鳩山首相の施政方針演説は、目先の対策に追われ、マニフェストにはあった「後期高齢者医療制度の廃止」や「年金の一元化」にも一切ふれず、国家財政は規模も借金も史上最大規模なのに財政規律は先送り。これでは益々国民の将来不安や生活不安をかきたてる。結果、いくら子ども手当や高校の無償化等で家計を潤しても、消費ではなく貯蓄にまわり、景気にも効かない。
(中略)財政規律については「本年前半には、中期財政フレーム、財政運営戦略を策定」と言うばかりだ。しかし、「子ども手当」には所得制限をつけず、「高校の授業料無償化」は、本当に困っている生徒への返済不要の奨学金給付で足り、「農業の戸別所得補償」はのべつ幕なし、やる気のない農家にまで税金をばらまく。これでは国家財政はひたすら破たんへの道をたどっていくのは明らかだろう。(後略)
2010年3月15日
こども手当と高校無償化法案を強行採決・・・民主党の選挙が第一 – 今週の直言
先週金曜日、与党民主党は「こども手当法案」と「高校無償化法案」を強行採決した。双方とも、民主党のマニフェストに掲げられていた目玉政策だ。野党では公明党と共産党も賛成に回ったが、我々みんなの党は反対した。理由は簡単だ。それらが、今の極めて厳しい財政事情の下で「理念なき戦略なきバラマキ」だと考えるからだ。「国民の生活が第一」ではなく「民主党の選挙が第一」という底意を色濃く感じるからでもある。(以下、全文がこども手当の批判)
2010年4月19日
「こども手当て」をどうするべきか?・・・再検討の動き – 今週の直言
(前略)それもそのはず。この巨額な支給の前提だった、207兆円にのぼる一般・特会会計の総組み替えもまったくできず、天下りの禁止等の税金の無駄遣いの解消や国家公務員の人件費2割削減もできず、「埋蔵金の発掘」もままならない。結果、史上最大の予算(92兆円)を史上最大の借金(44兆円)で組んでしまったのだから、そうしないと来年度予算がとても組めないという事情がある。
(中略)我々は、明確に現下の最大の課題である「少子化対策」という目的を明確にした上で、経済的な理由で子供が持てない、二人目、三人目が持てないという家庭を救うべきだと考えている。であるならば、この手当には所得制限を設けるべきで「お金持ち」には必要ない。むしろ、それだけの財源があるなら、若年世帯の幼児医療や幼児教育の負担軽減に使うべきだと考えている。
(中略)そもそも、こども手当てに一人26000円、5兆円超をかけるというのが、小沢流の「民主党の選挙が第一」のやり方なのだ。社会民主党の阿部議員がいみじくも厚生労働委員会で指摘していたように、こども一人当たりの平均的な被服費、食費等は一月13000円程度という。それが根拠のない二倍支給になったのは、まさに選挙対策であったわけだ。
(中略)いずれにせよ、この民主党の子育て手当ては、5兆円超の財源が必要になるにもかかわらず、その見通しが全く立っていない。無責任極まりなく、今の鳩山政権を象徴する「理念なきばらまき」の最たるものなのだ。見直してしかるべきだろう。
2011年4月25日
20兆円は明日にでも出せる!・・・労働保険で10兆円、バラマキ停止他で5兆円 – 今週の直言
(前略) さらに、みんなの党は、政府民主党の4Kバラマキ予算にも切り込む。「こども手当て」は、所得制限付きの「児童手当て」に戻せば1.5兆円(年少扶養控除は復活前提で計算)が浮く、高速道路の無料化廃止で0.1兆円。農家の戸別所得補償の廃止で0.6兆円、高校無償化廃止で0.4兆円。計2.5兆円だ。(後略)
2011年10月4日
みんなの党、10年80兆円の復興財源案は?・・・増税の要なし – 日々是好日
(前略)④民主党政権が進めた「こども手当」等のバラマキ予算のストップで1年で3.5兆円、10年で35兆円。(後略)
批判は間違っていたのか?
自民党では特に丸川珠代参議院議員の「愚か者めが、このくだらん選択をした馬鹿者どもを絶対に忘れん」という採決時の発言が印象に残るが、当時は明らかな財源不足で、ありもしない埋蔵金伝説を喧伝して民主党が政権を奪取した経緯がある。支給金額も毎月2万6千円という公約であったが、実際に支給されたのは月1万3千円で財源不足は当時の民主党政権が認めている。
特に丸川氏が批判していたのは、デタラメな制度のために外国人が「本国で多数の子どもを養っている」と主張すれば、厳格な審査もなく多額の手当てが支給される仕組みだ。実際に支給開始当初には実在が疑わしい海外の子どもにも支給が行われて問題視された。不正受給もかなりの数確認されている。
さらに、2011年3月の東日本大震災により状況も一変、復興を優先するために現在の児童手当に移行することが与野党の協議で決定している。震災もあったが、明らかな民主党政権の失政があったにもかかわらず、その責任を自民党に押し付け、こども手当は間違っていなかったという歴史修正は許されない。
そういった意味では、当時の江田氏の批判は現実に即した部分が多く間違っていたとは言えない。立憲民主党は、どうしても民主党政権の失敗を認めたくないのであれば、この江田氏を糾弾してみればいい。これができないのであれば、民主党政権の失敗を反省し、新たに所得制限を撤廃する与党の方針と国民民主党の提出法案に具体的なチェックを行い、現状に則した児童手当となるよう協力すべきだ。
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