参政党が大阪府知事選で存在感を示すには?粉もん文化の大阪で小麦粉批判は致命的【マガジン208号】
参政党が今年4月の大阪府知事選にボードメンバーの吉野敏明氏を擁立することを発表した。注目度の高い選挙ではあるが、大阪で圧倒的な支持を得る維新の会と、反維新を掲げる自民党と野党の連合軍、共産党の元参議院議員で争う様相を呈しており、ここで参政党が存在感を示すことは極めて困難と思われる。
参政党が擁立する吉野氏は、以前から「小麦粉で癌になる」などの発言をしてきたが、粉もん文化の大阪で小麦粉批判ができるのか注目されている。このことは記者会見でも質問が飛んだが、要領を得ない回答で支離滅裂、まったく説明になっていなかった。筆者は25日に岡山県で行われた神谷宗幣事務局長の街頭演説を取材したが、やはりこの「小麦粉批判」に対する説明が実際に吉野氏が行ってきた発言と整合性が取れず苦しい言い訳にしか聞こえなかった。
※動画開始30分42秒あたり
支持者の前で吠えても仕方ない
そもそも吉野氏の小麦粉危険説は、メリケン粉と呼ばれることから戦後アメリカから持ち込まれたという誤った認識がもとになっている。日本においては弥生時代に伝来したとされ、江戸時代には"うどん"が一般化されているという事実からして吉野氏の言説はでたらめなのだが、単にパン食などの食生活の急変に起因する病気もあるという指摘にとどめておけばいいものを「メロンパンを食った翌日に死んだ人をたくさん見てきた」などと大げさなことを言うから批判されているのだ。大阪府知事選出馬に際して、これを早々に撤回して謝罪すればいいものを「切り取られた」などと他者を悪く言う癖はいつものこと。支持者はそれで納得しても、大阪府民は許してはくれないだろう。
府知事選で存在感を示すには
府知事選を巡っては、大阪で圧倒的な勢力を誇る維新の会に対して、自民党は独自候補を擁立することができず、これまで散々と自民党を批判してきた谷口真由美氏を立憲民主党とともに自主支援するという恥も外聞もない醜態をさらしている。共産党候補との評割れも予想され維新の牙城を崩せそうにもない。
完全に蚊帳の外となっている参政党であるが、存在感を示すチャンスは十分にある。しかし、参政党側がそれに気が付かず、独自路線で戦おうとしているのが痛々しい。参政党が本気で大阪府知事選を戦う気であるならば、このチャンスを逃すべきではないのだが、以下にそのチャンスについて説明する。