相場より安い?吉本芸人の京都市PRツイート「2回100万円」で市が契約→問題はステマと吉本興業のギャラ配分
京都市が市の重要施策をツイッターでPRするため吉本興業と「ツイート2回で100万円」の契約をしていたことが話題となっている。ツイートでPRをしたのは漫才コンビ「ミキ」の亜生と昴生。
京都市が、市の施策を吉本興業に所属する地元出身の漫才コンビにツイッターでPRしてもらうため、ツイート(つぶやき)1回につき、50万円を支払う契約を2018年度に同社と結んでいたことが京都新聞社の取材で27日までに分かった。ツイートには市が広告主と明確に分かる記載はなかった。市はタレントの発信力に期待したといい、金額や広報の手法について「問題があるとは考えていない」としている。
出典:漫才コンビのツイート1回に50万円 京都市が吉本とPR契約 識者「驚く額、誤解与える手法」|京都新聞
金額が高すぎるという批判もあるが、企業がインフルエンサーに依頼した場合の相場のようだ。ただし、問題は金額よりも市が税金でステマを行いギャラ配分が不明な吉本興業と契約していることだ。
PR相場は思ったより高い
企業がインフルエンサーに商品や施設のPRをお願いするのは珍しいことではなくビジネスとして成立している。インスタグラムの平均的な相場は「1フォロワー3.5円」というデータもある。
参考:1フォロワー3.5円、膨張する「インスタ」バブルを象徴する3つのキーワード | BUSINESS INSIDER JAPAN
ただしこれは原価率が低く広告宣伝費の割合が高い化粧品など、美容関係の商品PRが相場を引き上げているものと思われる。今回の京都市のPRについては「京都国際映画祭2018」という、おそらく収益性はほとんどないであろう施策だ。観光PRで市内の産業などを活性化し、結果的に税収を増やすといういかにも行政らしい効率の悪いものだ。これで自社の売り上げに直結する企業商品PRと同じ経費を使われたら市民が「無駄使い」と感じるのも仕方のないことかもしれない。
また、インスタグラムなどではルール上「PR」と広告である旨を表示させる必要があるが、ツイッターやネット記事ではそれを表示しない「ステマ」が問題になっており野放し状態だ。今回の京都市PRにも広告である旨を伝える表示はなかった。
吉本のギャラ配分は行政の契約に不向き
漫才コンビ「ミキ」の二人のフォロワー数は弟の亜生が29万人で兄の昴生が16万人(2019年10月現在)となっており、京都市との契約は「ツイッターなどで20万人のフォロワー(登録者)を持つタレントが2回にわたって発信すること」であったことから、契約の履行は亜生による2回のツイートと思われる。PR相場で考えると2回で100万円はやや安いくらいなのだが、問題は吉本興業の不透明なギャラ配分だ。世間で噂されるようにタレントにはほとんど払わず吉本興業が100万円のうち大半を利益としていたなら税金の使い道としては疑問が残る。これは吉本が国や自治体から受ける仕事全般に言えることなのだが、労働者と使用者の配分が極端に仲介者に偏るような契約金額の設定は、行政の契約として好ましいとは言えないだろう。
効果に見合う金額であったか?
また、亜生の投稿を確認すると、この問題が報じられるまで拡散はさほどされておらず、フォロワー数の割には寂しい結果となっている。面白みのないツイートが拡散するわけがない。
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ミキのポスターは烏丸御池駅に!他のポスターも探してみてくださいね~!なんと今くるよ師匠のスペシャル構内アナウンスも!#京都市盛り上げ隊 #京都国際映画祭2018#コラボポスター#京都市営地下鉄 pic.twitter.com/6l9RIiHFL8— ミキ 亜生 弟 (@mikiasei) October 6, 2018
京都最高ー♪みんなで京都を盛り上げましょう!!
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これは金額に見合った仕事をしていないと批判を浴びそうな内容だが、そもそも吉本興業は契約金額を一切明かさないと言われている。ミキの二人もまさか1回50万円とは思っていないだろうし、知っていたらもっと工夫したツイートをしていただろう。ここでも吉本のギャラ配分の仕組みが問題となるのだが、あまりミキの二人を責めるのは可哀そうな気がする。
これを機に吉本興業は国や自治体などから受ける仕事くらいは、取引先とタレントに配分を伝える決まりを作ったほうがいいだろう。仮に行政側にも配分が秘密のまま契約していたとすれば、それは不透明な契約と批判されても言い訳できないのではないだろうか。
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